TheProsaicProductions

Expressing My Inspirations

trip to edo,or tokyo 7

2013-04-27 | trip
メトロリンク日本橋は無料巡回バス
東京駅八重洲口‐室町‐京橋地域を10分間隔で運行 

 広重の住居を訪ねて京橋へ
 江戸へやって来てから、地下を走る駕籠を足にしていましたが、この日は地上を行き来する乗り合い駕籠を大いに利用しました。なんせ、その駕籠代は無料なんですから。もちろん酒手も要りません。なんでも、江戸に大店を構える豪商たちが協力して、江戸の住人や旅人の足として、無料で駕籠を運営しているのだそうです。
 始発は10時から。宿の近くのCOREDO室町前から駕籠に乗りました。小型バスの中には駕籠が走るルートのチラシが置いてあり、ルートの近くに点在する歴史的スポットも地図に示してありました。京橋駅と宝町駅の間にある停車場で降りて、山東京伝店を探します。首都高をくぐり、東銀座出口付近の路地を歩いてみると、小さな画廊やギャラリーが目に付きました。ひょっとして、江戸時代この界隈に京伝店や狩野派が住んでいた名残りなのかも?と胸をときめかせながら中央通りへ出て、高速道路と化した京橋川を渡ってみると京橋記念碑があり、、、
中央通りを挟んで西側に案内板がありました。
その奥には歌舞伎発祥の地と大根河岸青物市場跡の碑があります。京伝店は、あっちの方角かなぁと思って写真を撮ったのですが↓、帰郷後『絵でよむ江戸のくらし風俗大事典』(柏書房)を見ていたら、地図に場所が示してあって、上↑画像地図の現在地という赤枠の左角の上あたりにあったようです。歩いた小路の反対側でした。

 再びメトロリンク日本橋に乗って、ブリジストン美術館前で降り、広重宅へ向かいます。 
 八重洲通りの一本東の筋を入って、きょろきょろしながら歩いていると、ビルの脇に案内板が立っていました。
ここはオフィス街の裏通り。カメラで撮影するのもちょっと恥ずかしい。完全におのぼりさん状態です。足早に停車場へ戻ります。乗合い駕籠の待ち時間はせいぜい10分かそこら。次は三井越後屋(現三越本店)へ向かいます。
途中、竹久夢二の港屋絵草紙店跡↑を通り過ぎ、日本橋を渡るときは、橋中央に埋め込まれている道路元標(橋の脇にあるレプリカはこのblogにも掲載)を見ることができて満足。越後屋からは、半蔵門の駕籠に乗って、神保町へ行きました。
 神保町へ来たのは、あらかじめ調べておいた和本を購入するためです。山積みされた古書の中から、蔦重刊行の草紙や一九先輩の黄表紙など、当時のものだと10万前後の値段で手が出ませんが、一応恐る恐る手にとって見てみます。さすがに古いものは汚れて判読できない箇所があったりして、コレクター商品です。私は読むのが目的なので、復刻本を探します。お目当ての本は意外とすぐ見つかりました。
 カフェの入口
 さて、本を入手して丸の内三菱一号館のCafeへ行き、一九先輩の本を取り出して広重の絵をながめながら紅茶で一息つきます。ランチの時間帯や土日は列ができる、という情報だったので、平日のアフタヌーンティの時間に行ったら、すいていました。岩崎弥太郎の三菱財閥の本拠地で、カフェになっているのは旧三菱銀行。高い天井と木造カウンターがその面影を偲ばせます。値段が高くて飲食だけが目的の人には向きませんが、隣接する歴史資料館は無料ですし、明治レトロの雰囲気にひたるのにはもってこいの場所です。
 丸の内側にも無料巡回バス・丸の内シャトルがあります。こちらは海外からの観光客の利用が多いようでした。メトロリンクは、文庫本を持った身軽なおじさんがふらっと乗って三越で降りたり、おばあさんが孫を連れてあやすのに使ったり、と庶民的な感じで意外でしたが、東京駅から日本橋界隈へ行くにはとても便利でした。
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trip to edo,or tokyo 6

2013-04-23 | trip
江東区深川江戸資料館
江戸天保年間の深川佐賀町の一日を体験
入館料400円 開館時間9:30~5:00

 半蔵門と名のる地下を走る駕籠に乗って、清澄白河駅で降ろしてもらいました。清澄白河庭園の清澄白河通りを挟んで反対側の路地を入った所に深川江戸資料館があります。
 立派な建物ですが、展示室の入口には深川所縁の著名江戸人が勢揃いしていました。
きょ、きょーでん先生、ここに居られましたか!先生を手鎖の刑に処した松平定信も近くにいますよ。
 と心の中で突っ込みを入れながら奥へ進むと、江戸時代の小さな町が出現。なんだか薄暗くてよく見えませんが、とりあえず町を散策。数人の若者や子供連れの家族が歩いています。この町の住人らしき男性と熱心に話をしている年配の男性もいました。ひと通り見て回った後、もう少し詳しく見ようと、長屋の路地をうろうろしていたら、その住人らしき男が来て、町の説明をしてくれました。長屋の住人の名前や職業、ここに住むことになった事情、更には屋根の上の猫の名前まで細かく知っていました。話を聞いているうちに、辺りがさっきより明るくなっているのに気付きました。ここは、日の出から日の入りまでが20分。開閉式の天井と照明で明るさを調節していました。
町は写真撮影できるのですが、昼間の明るい時間が少ないような気がしたのは私だけでしょうか。もう少し写真を撮ろうと、次の昼間を待つ間、茶店で休憩。若者グループが天婦羅屋ごっこをしてるのを眺め、時間を潰します。
 夕刻にここを出て、大江戸空の大木の建っている所へ移動しました。空の大木の根元にある、空町(ソラマチ)で江戸の友人達と宴会。世界中のうまい麦酒を飲み散らかし、生酔いで宿へ戻ってバタンキューかと思いきや、久しぶりの友人と楽しんだからか、疲れも吹っ飛び、翌日の予定を練ったりしていて、寝ついたと思ったら一番鳥ならぬタイマーで起こされました。
 江戸東京博物館より手っ取り早く江戸に親しめます。
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trip to edo,or tokyo 5

2013-04-22 | trip
不思議な時空に迷い込んだ午後
狐の置物:浅草神社の裏のお稲荷さんにて

 浅草寺から地下を走る駕籠に乗って、予定ではそのまま新橋まで行くことになっていたのですが、荷物を置きに途中人形町駅で下車しました。その時、ちょっともようしてきたので、駅の雪隠へ寄りました。あいにく雪隠のある出口は、旅籠に近い出口と反対側でした。改札を出てしまっているので、地上へ上がりましたが、旅籠の方角が解らなくなってしまいました。交差点にお役人さんがいたので道を尋ねると、しばらく真っ直ぐ行って右に曲がる、と教えていただいたので、その方角へ歩き適当な路地を右折しました。
もうちょっとしっかり地図を見せて聞いておけばよかった、と後悔するのに時間はかかりませんでした。似たような細い筋なので、東西南北がわからなくなり、地名をみるとどうも反対方向へ向かっているように思えたからです。昨日から歩き疲れているので、できるだけ戻りたくはない、という思いで「えいやっ」とある角を曲がりました。すると東京スカイツリーが見えます。やはり旅籠から離れて行っている・・・でもこの時には自分の正確な位置があやふやになっていました。仕方なく、長屋の住人に道を尋ねることにして、思い切って戸を開けてみます。
 「こんにちは~。すみませ~ん。」
 褌と半纏が干してあって、どうやら独身男性の部屋みたいです。どこかに出かけてるのか・・・留守なので、次のお宅へ行ってみました。
「ごめんください。」「お留守ですか?」
 富本節のおんな師匠さんのお宅なんでしょうか。先程の部屋より家具も整っています。でもやっぱり誰もいません。
町には人っ子ひとりいませんでしたが、屋根から猫の鳴き声が。心細く歩いているうちに、馬喰横山駅のサインが見えました。ということはこの界隈は、一九先輩が書いた『金草鞋』の主人公たちが江戸で最初に宿泊した旅籠のあった場所?では、こちら側に行けば通油町!
 自分の旅籠からどんどん離れて歩いていたことが解りましたが、こんなこともなければ、通油町まで来れませんでした。実は、旅の計画を立てていた時は、今度はできるだけ正確な場所を探そうと考えていたのです。しかし、足の疲れのため、その計画は反古にするつもりでした。これは、つまり蔦重や村田屋が呼んだのだと思いました。
 「そうだよ。よく来たな。」
 不思議な感覚に心を奪われて、足の痛みも忘れて歩いていると、小舟町の旅籠の看板が見えました。部屋へ入り、荷物を下ろすとどっと疲れを感じ、しばし休憩。次に行く予定だった新橋の引札を見に行く時間がなくなり、深川へ向かいました。
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trip to edo,or tokyo 4

2013-04-21 | trip
浅草寺はいつもお祭りみたいに人・人・人

 上野から浅草へ移動。ここでは人力車の人足が旅人を乗せようと、ずらっと並んで呼び込みをしていました。馬子みたいな人たちです。人を掻き分けながら仲見世を通り抜け、浅草寺へのお参りを後回しにして、まず伝法院を訪れました。
今回の江戸旅行の目的が、ここの大絵馬寺宝展と庭園拝観だったからです。年に2回ほどの特別公開の大絵馬は、ほんとうに「大」きくて圧倒される作品。勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟―「幕末の三舟」の扁額もあり、その書を見比べることもできました。
 そして私の一番の目的だった歌川国芳の『一つ家』。浮世絵版画の『当盛見立人形之内 一ツ家之図』とはまた違い、興味深く拝見しました。国芳の絵馬『一ツ家』は、吉原の妓楼の主人から、伝説「一ツ家」の場面を絵馬に描くよう依頼されたもので、浅草寺に奉納された国芳の絵馬を見た生人形師・松本喜三郎が生人形を作って見世物にしたところ、それを見た国芳が写して浮世絵版画を製作した、という曰くつきの作品です。
大絵馬展示室を出て、小堀遠州が築庭したといわれている回遊式庭園を散策。パンフレットには、中央の池には放生された鯉や亀が泳いでいる、と書いてありましたが、なんと鰻が居ました。これもお寺の人が放ったんでしょうか?
さて、裏手に回って、山東京伝の机塚を探します。浅草寺の隣りにある浅草神社の裏の駐車場にぽつんと建っていました。塚の裏には、大田南畝の碑文が彫ってありますが、煤けたようになっていました。隣りに説明板があります。画面奥に写っているのが浅草寺の裏側です。↑
裏ばかりなので、浅草神社の正面へまわってみました。浅草寺は何回か来ていますが、神社に来たのは初めてでした。
そして、ようやく浅草寺へ。参拝して振り返ると、仲見世はますます人でごったがえし。そんな人ごみの中、ふらふらとお店を見て回ったり、土産に雷おこしなど買ったりしているうちに、次の目的地、手染めの手拭い屋「ふじ屋」さんに到着です。

  ここでしか作られていない京伝の「艶次郎」手ぬぐい。
手染めなのですごく高いかと思っていたら、他の手拭屋さんの手拭いと変わらない価格だったので、国芳の「猫の東海道五十三次」も購入。レジカウンターでお店の人と少しおしゃべりもしました。
 お腹も減ったので、調べておいたラーメン屋を探そうかと歩いていたら、すぐ見つかって、行列もできてなかったから入って基本の醤油ラーメンを注文しました。隣りの席には普通に異国語を話す人たちがラーメンをすすっています。出てきたラーメンは柚子風味のさっぱり味東京ラーメン。柚子が入っていなければ、私の求める東京ラーメンに近かったんですが…でも、おいしかったです。
 この日観光する場所は残り2箇所でしたが、時間に余裕があるように感じたので、荷物を置きに旅籠へ一度戻ることにしました。この予定変更が、思わぬ番狂わせになるのですが。。。
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trip to edo,or tokyo 3

2013-04-19 | trip
増上寺大門から東京タワーを見る

 増上寺へは、正しく大門から入りたいと思いました。あいにくの雨の中、境内への入口にあたる三門をくぐり、本殿へ参りました。向かって右手のお地蔵さんが並んでいるところから、徳川将軍家墓所へ通じる小路があり、行ってみました。
御霊廟は、公開される時期があり、参詣した日は公開日でしたが時間が遅かったので拝めませんでした。1258年作の四菩薩像(普賢、地蔵、空虚蔵、弥勒)の奥に見えるのが、御霊廟の門。
 雨脚も強くなり、そろそろ旅籠へ向かうことにします。
 宿泊するなら、日本橋と決めていました。日本橋通油町の近くのよい旅籠を探し、小舟町の旅籠へ落ち着きました。
 明治から昭和にかけての女流作家・長谷川時雨の『旧聞日本橋』の中で描写された、彼女の生れ育った通油町の街並みを思い出しながら、この先を馬喰町へ向かえば蔦重の書肆・耕書堂があって、十返舎一九もその界隈に住んでいて、北斎や京伝も通い、『膝栗毛』を出版し、一九と共に噺の会を催していた板元・村田屋治郎兵衛の栄邑堂もあった町がある―と妄想。今や本屋らしき店はなく、長谷川時雨の生れた頃には既に問屋筋になっていたらしく、通油町はたったの一町だけの小さな一画だったそうです。塩河岸のあったのは、COREDO室町から昭和通りまでの間。昭和通りから東は、夜は飲食店も少なくひっそりとしています。
 翌日は、上野不忍池の南にある下町風俗資料館を訪ねました。ここも江戸時代の下町を再現したコーナーや、レトロなカフェや銭湯の入口などが展示してありました。
  江戸川乱歩の小説に登場する浅草にあった凌雲閣
 このすぐ近くに旧岩崎邸がありますが、今回はパス。地下を走る駕籠に乗って、浅草寺へ行きました。
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trip to edo,or tokyo 2

2013-04-18 | trip
内藤新宿は大田南畝が住んでいた地域:新宿歴史博物館内

 地下を走る駕籠から下りて、内藤新宿を訪ねました。曙橋駅と四谷三丁目駅の間の地区に新宿歴史博物館があります。この辺りは細い道が入り組んでいて、そんな中に博物館を見つけました。
以前大田南畝の企画展をやっていたこともあり、今も関連したものが展示してないか見てみましたが、特にありませんでした。でも館内には新宿の歴史を物語る物が再現してあり楽しめました。そう、夏目漱石先生も新宿でしたね!文人の町、新宿。
地下1階にある常設展示室を出ると、なにやらワークショップをやっていて、無料でお茶とお饅頭をふるまっておりました。全くの部外者の私もおよばれにあずかり、小腹を満たしました。  
  
 甘いもので元気も回復。再び地下の駕籠に乗り、浮世絵を見に太田美術館へ向かいます。
 若者の街、原宿。ラフォーレ原宿の裏手に位置し、洒落たカフェのお向かいに美術館はあります。とりあえず、浮世絵を見てみたい人にお薦めな浮世絵専門の美術館。履物を脱いであがります。肉筆画もありましたが、展示会場が狭いと思いました。
そこから徒歩でも行ける距離にあるのが、たばこと塩の博物館。ここでちょっと煙草職人のお宅にお邪魔して、山東京伝店を知っているか聞いてみました。
「きょうでん?しらねぇな。てやんでぇ~こちとらいそがしいんだ。とっととうせねぇ」
「あい、すみません・・・」
とほほ…追い払われてしまいました。考えてみれば、京伝は煙草入れなど小間物を売っていて、煙草そのものではないから、職人さんが知ってるはずないですね。弥次さん喜多さんが使ってたそうな煙草盆とか、世界のキセルとか、塩の展示コーナーも見ごたえありました。他の美術館や博物館の期限切れポスターを自由に持っていっていいように置いてあったので、サントリー美術館の歌舞伎ポスターをもらいました。受付のお姉さんは、人当たりのよい人でした。
 この博物館も、若者の街渋谷にあって、場違いな感じ。と思ったら、墨田区横川に移転リニューアルするそうです。9月2日から休館。
 話は飛びますが、宿を取った旅籠へ行く途中、「塩河岸」跡を通りました。
 渋谷駅まで歩き、新しくできたヒカリエの8階へ。ここに人形映像作家・川本喜八郎氏(故人)の無料ギャラリーがあるのです。
  チェコ人形アニメ、イジー・トルンカに興味がある人は必見。NHKの三国志の人形を創った方です。
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trip to edo,or tokyo 1

2013-04-17 | trip
江戸下町の街並み:江戸深川資料館内

 日和もいいので、江戸へ旅に出かけました。東海道を“のぞみ”という高速駕籠に乗って到着。さすが花のお江戸は人がいっぱいです。丸の内側で雪隠を探しましたが、すごい混みよう。時期的に、紅毛人の出で立ちをした黒い上下を着た若者が、あちこちに溢れていました。さて、まずは江戸城へご挨拶に上がりました。
大手門は予想していたほど大きくもなく、この日は門番のチェックなしで城内へ入れました。
同心番所、百人番所、大番所の前を通って、天守閣を目指します。1657年明暦の大火で焼失してしまった天守の跡には、土台の石垣がありました。1657年以降既になかった天守…広重や北斎など後の絵師に背景として描かれた江戸城は、あれは天守閣じゃなく櫓なのでしょうか。
忠臣蔵で有名な松の大廊下は、観光客が群がっていたのですぐ見つけられました。
天守閣の土台に昇り、ひと通り眺めてから汐見坂を下り、梅林坂、天神壕を通り過ぎ、大奥の通用門だった平川門(不浄門)から出ます。
門をくぐって直角に曲がり、堀にかかる木橋を渡って城外へ。
渡りきってから振り返って平川門を見ると、大手門より江戸の風情を感じます。
 さて、そこから地下を走る駕籠に乗って、城下町見物と繰り出しました。
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Japanese-style binding

2013-04-13 | product
"the elephant vanishes" written by H.Murakami
bound by sti
材料:コピー用紙、和紙、糸

 新刊発売に合わせたのか、この春からスタートした『世界のなかの日本文学』というラジオ番組で、村上春樹氏の初期短編『象の消滅』が取り上げられています。
 先月、この短編収録の短編集(同タイトル)を読んでみました。
 これまで、彼の作品はほぼ読んだことがありませんでした。初期短編は1980年代に書かれたもので、ニューヨーカー誌に認められたというのが頷ける作品群でした。ブレット・イーストン・エリスとかジェイ・マキナニーとか…バブルが大きくなってる最中の世の中にアラサーだった人々の日常風景――的な物語で、読みやすいといえば読みやすい、内容的には別に読まなくても済むような、主人公の日記みたいなストーリー仕立てになっています。
 時代や国籍などの枠がないから、全世界で翻訳されて読まれるのだと思います。でも、この『象の消滅』The elephant Vanishes にも云えますが、80年代の男性ならではの概念が際立っているように感じました。まず、主人公と恋人(または妻)は必ず男性が3~5歳年上ですし、女性は専業主婦でなくキャリアウーマン(共働き)、当時流行したDouble Income No Kidsという設定―80年代のトレンディ・ドラマを読んでるような感覚になりました。BGMで流れるのは、小田和正でしょうか・・・。
 ラジオ番組では翻訳英語で読まれるのですが、元々英語に訳しやすい日本語なので、原本を見ながら聴いていれば、リスニングの訓練にもなります。
 それで、テキストとして和綴じ本に仕立ててみました。題箋に描いた象の絵は、何故か躊躇なく後ろ向きの黄色い象さんになりました。飼育員と一緒に消滅した象のイメージが、なぜ黄色なのか自分でもわかりません。
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collaboration of Ikku and Hiroshige

2013-04-12 | bookshelf
十返舎一九作、歌川広重画『宝船桂帆柱』上・下
1827年文政十年刊行 岩戸屋板


 私にとって、夢のコラボ作。一九先輩の作に広重が画を描いた合巻。一九63歳、広重30歳の時に出版されたものです。広重は浮世絵版画はよく見ますが、版本の挿絵はあまりみかけません。有名な『東海道五拾三次』の製作にとりかかる7年前のもので、広重がまだ日の目を見ない頃の画です。
岩戸屋板の複製本。十丁×2 \6800
複製でもなかなか出回ってないので、この値段は仕方ないかと。

 一方、一九先輩は死ぬ4年前。戯作界の大御所といっても過言でないでしょう。
 売れない時代の広重は、友人の戯作者東里山人(とうりさんじん:本名細川浪次郎。山東京伝門下。広重より6歳年上)の挿絵を描いたりしていたそうですから、一九の挿絵を描いたということは、だいぶ認められてきた時期だったんだろうと思います。この1年前に『御膳浅草法』という合巻でもコラボしています。
 この2作は共に岩戸屋という地本問屋が出版しています。栄林堂岩戸屋喜三郎は、若い頃の東里山人と広重の草紙を出版しているので、彼が一九に依頼して(広重の出世のために?)作ったのかもしれません。
 内容は、当時の職人の仕事や道具の説明が、絵付きで解り易く書いてある読み物です。私がこれを買おうと決めたのは、お話でなく絵が多いのも理由の1つでした。江戸変体文字は、読むの大変ですから。これなら絵を見てるだけでも楽しいですし、当時の仕事がどんなものか勉強にもなります。何んといっても、黄表紙なので表紙(タイトルも)が正月らしくおめでたく、色彩がきれいです。作は一九でなくてもいいようなものですが、ネームバリューだったんでしょうね。
 職人は、番匠(←と書いて「だいく」と読ませています)から始まって、本屋(岩戸屋)の「めでたしめでたし」で終ります。板元の岩戸屋は薬種も営んでいて、上巻の最後に「運利香」という「守り薬」なる怪しげな薬の広告文を載せてます。一包233文と値段も明記してあります。3500円くらい?たか~い。でも、「細川起規(←夫が矢になっているので正しい表記ができない)精製」となっていて、販売所が「岩戸屋喜三郎」と書いてあるので、ひょっとして精製人の細川という人物が東里山人で、滑稽小噺なのではないか?という疑いも消えません。もし本当に売られていたら、あくどい商法ですよ。
 『宝船桂帆柱』下巻の最終頁の新刊本の告知には、東里山人作・渓斎英泉画『三日月太郎物語』全六冊というのも載ってます。
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tokyo in rain

2013-04-10 | photo
増上寺と東京タワー

土砂降りの中、増上寺へ行きました。

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kumamon

2013-04-05 | prose
昨年、熊本市を旅行したとき出会ったくまもん。
その後、自宅の近くのお店にくまもんのステッカーが貼ってあるのを見つけ、
どうしてこんな所に?と不思議に思っているうちに、
全国区の人気になっていて、驚きました。

ちょっと前、母が近所のドラッグストアで買ってきたくまもんのカップ麺。
熊本名物、タイピーエン。懐かしさもあって食べてみました。
予想通り、スープはるさめでした・・・
食べ終わった後、容器を捨てられません。
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