TheProsaicProductions

Expressing My Inspirations

the gap between…11:folklore accepted as japanese history

2018-04-14 | ancient history
 

 現在の日本国家の形成の土台となった「ヤマト政権(或は王権)」という古代勢力。その始まりは、『古事記』『日本書紀』に記されている神代史にさかのぼります。そこには、日本国土や日本の神々の誕生、神々から脈々と続く天皇や豪族の祖先の物語が叙述されています。
 現代では、神代史を歴史的事実と捉える人はいません。しかし、大日本帝国(明治~太平洋戦争終結まで)時代は、全くナンセンスな事が行われていました。帝国主義による政府が、国民統合と戦争動員のために神代史を利用したのです。古事記や日本書紀に貫かれている「日本誕生から天皇の血統は続いている」という観念を都合よく解釈して、日本国民に「皇国史観」というものを植え付けました。
 戦後生まれの日本人なら、「天皇は神様(現人神)だと信じなさい」と言われても、信じる人などいないでしょう。しかし、全体主義体制下、記紀の日本神話を歴史として教育されて育った世代の人々の間には、「万世一系」が常識としてまかり通ってしまいました。それは戦争終結後、昭和天皇が『天皇人間宣言(通称)』の詔書で自らの神格を否定しなければならない(GHQが発案)ほど強固なものでした。
 ところがこの呪縛、現在も残っているのです。子供の頃、日本史を真面目に勉強しなかった私は、記紀を読むようになって初めて「皇国史観」という言葉に出会いました。特に『日本書紀』に関する書籍には、必ずこの文字が出てきました。純粋に『日本書紀』を理解したかった私は、そんなイデオロギー論は不要だったので、皇国史観に呪縛されていない戦後生まれの学者の著書を選んで読んできました。
 昔と違い、今は考古学サイドの発掘調査による研究成果から、過去の学説の成否ができるようになりました。
 中国の歴史書に記された「讃 (さん) ,珍 (ちん) ,済 (せい) ,興 (こう) ,武 (ぶ) 」(通称:倭の五王)のうち、武が雄略天皇に比定されていましたが、稲荷山古墳出土鉄剣銘に記された「獲加多支鹵大王(わかたけるだいおう)」という文字の発見により、雄略の諱(いみな)が「大泊瀬幼武(おおはつせわかたけ)」であり在位期間も一致することから、400年代後期に熊本から埼玉という広範囲を支配したワカタケル大王が、日本書紀でいう雄略天皇:古事記では大長谷王と一致し、倭王武だというのが定説になりました。しかし、残り4名の大王は、中国側の史書が記す血縁関係と、記紀の天皇系譜が矛盾するという理由で、特定されていません。
 素人の私が不思議に思うのは、記紀の天皇系譜は万世一系に改竄してあるという事が明白となった現在でも、記紀を基にして作られた古代天皇家の系譜を重要視していることです。しかも、神代史に出てくるような古代の天皇(大王)は世襲制ではなかった事が明らかになってからも、記紀関連の書籍には神武天皇からの皇統図が載っています。記紀を読む上では相関関係が解るので必要ですが、万世一系を否定した後にこの系譜を基準に置く意味はないと思います。漢風諡号の雄略天皇は存在がはっきりしませんが、400年代後期に「獲加多支鹵大王」が日本に君臨していたというのは歴史的事実です。讃・珍・済・興・武の親子関係と、記紀を基にした皇統図が合わないのは当然と捉えて、「讃」や「興」などに当たる大王の痕跡を発見できるよう発掘調査を続ければ、いつの日か本当の歴史がわかってくると思います。
 卑弥呼や神武の実体を探るのは困難だと思いますが、倭の五王の時代に関しては、百舌鳥・古市古墳群の巨大古墳を発掘調査すれば、歴史的収穫は大いに期待できると思います。古代の大王の古墳は、天皇の御陵として管理されていますが、これも現代の文明国家としておかしな事です。現代に続く天皇制で即位した天皇と古代の天皇は全く違うからです。少なくとも継体天皇より前の天皇は天皇ではなく大王であり、その王統は次世代の継体と呼ばれる天皇(大王)の血統とは別なのですから、古代の古墳を発掘調査することが現在の天皇家の祖先を冒涜することにはならない事を、反対者には理解してほしいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Marr's new album out 15 June (^^♪

2018-04-10 | music
Johnny Marr - Call The Comet - Official Album Trailer [HD]


これはelectronicぽいです

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする