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woman's face with a letter

2011-04-10 | bookshelf
 未だ心にひっかかっている「手紙をくわえた女の首」の絵。一九先輩の草双紙に出てくる前からどこかで画を見たことあるような記憶があり、山東京伝が出した『手拭合(たなぐいあわせ)』を見てみたら、ありました、手紙をくわえた女の首の手拭い。デザインは京伝自身で、艶氣(うわき)染めと題してあります。
           色が薄くて見難いですが
 「手拭合の会」が京伝の14歳になる妹(その2年後に早死にしました)名義の主催で開かれたのは1784年天明4年のこと。一九が19歳の時で、江戸の何某侯に仕えていた頃です。手紙をくわえた女の首は、この頃既に話題になっていたのでしょう。
 それが、29年後に入墨の画として人気を博し、45年後には一九の滑稽本『串談しつこなし』に登場したりと、どうして江戸の人々はそんなにこの首が気に入ってたのでしょうか。
 『金草鞋』で描かれた女の首の入墨は、一九の草稿にはなかったものなので、これは当時流行っていたからという理由で描かれたものだと思います。歌舞伎の當り演目かなにかだったのではないでしょうか。しかし、1829年に『串談しつこなし』で一九が書いたのは絵ではないので、山東京伝へのオマージュだったのかもしれません。京伝だけでなく彼に代表される天明・寛政期の戯作への回顧かもしれません。一九は京伝の弟子・感知亭鬼武と親友で、『串談しつこなし』執筆時にも鬼武は一九の後ろに居たくらいです。きっと京伝本人にも可愛がられたのだと思います。

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