邦画ブラボー

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「氷点」

2006年02月20日 | ★人生色々な映画
氷点=水が氷結するとき

北海道旭川にある総合病院の院長宅。
昼下がりにショパンを弾く夏枝(若尾文子)。

出張を早く切り上げた啓造(船越英二)を優しく迎えるが
夫の目に映ったのは、テーブルの上におかれた
「ふたつのコーヒーカップと灰皿」だった。

そそくさと片付ける夏枝を見る夫の疑いのまなこ。
船越英二は微妙な感情表現がとにかくうまいです。

その日の夕方、遊びに出かけたまま帰らなかった幼い娘ルリ子が
河原で絞殺死体となって発見される。

駆けつけた医師の中には
妻と密会していたっぽい村井(成田三樹夫)の姿もあった。
娘の亡骸を抱きしめながら怒りと嫉妬に燃える夫!

世間で人格者として通っている啓造は
なんと娘を殺した犯人の娘を引き取り、
育てることを決意する。

「汝の敵を愛せよ」

ここからが大悲劇の始まりなのです。

それは娘をほったらかして
男と会っていた妻への恐ろしい復讐だった。

何も知らない妻は、女の子を溺愛するが、
あるとき書斎で夫の日記を読んでしまう。

天使のように清らかな心を持つ
養女洋子(安田道代)に向けた夏枝の憎しみ。
船越英二の妻へのまなざし。
兄(山本圭)の妹を気遣う目。

複雑な感情を表現する俳優さんと
監督の意を的確に汲むカメラ。

「女は子宮でものを考えるのさ」なんていう、
問題発言もある脚本(水木洋子)も素晴らしい。

旭川の自然と真っ白な雪が人間の罪深さを際立たせる。

同時期にテレビドラマにもなって大変な人気を博した。
ドラマでは洋子を内藤洋子が、夏枝を新珠三千代が演じた。

残酷であると同時に再生の希望も見える。
とてつもなく重いテーマを山本監督が
サスペンスタッチで見せてくれます。若尾文子が美しい。

1966年 山本薩夫監督作品 原作:三浦綾子 :脚本 : 水木洋子  撮影 : 中川芳久
音楽 : 池野成 美術 : 間野重雄

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