邦画ブラボー

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「ほらふき丹次」

2012年09月19日 | ★愛!の映画

観始めたらぐぐぐっと

引き込まれてしまった。

 

藤田進が

原作に惚れ込んで企画を持ち込み

自らが主人公の丹次を演じたそうな。

切り替えが鋭いシャープな演出が冴えると

思ったら監督は中川信夫。

きらきらとこもれ陽が差し込む

山林の描写は

黒澤の「羅生門」を思い出させる。

 

藤田進っていえば「姿三四郎」を思い出す方も多いと思うけど

四角い顔に大きな目、まるで

野生の熊みたい。

豪放磊落でワイルドな魅力が

キャラクターにぴったりはまっている。

でも、たたずまいになんとなく哀愁があるんですね。

 

三船敏郎とかこの人とか

勝新太郎みたいな、

画面が狭く感じるスケールの男優さんって

今いませんね。

黒澤映画「隠し砦の三悪人」でも達者な乗馬を披露していたけど

ここでも見事な手綱さばきをみせてくれてます。

 

前半は小さな村の人間模様と

ふとしたことから同居することになった

無垢な少女(安西郷子)とのほほえましいエピソードが綴られていく・・

が、

後半ではがらりと、息つけない展開に変わっていく。

このタッチの切り替えが素晴らしい。

 

あまりにも純粋で無垢な魂は

この世では

生きづらかったのか。

丹次が娘のように可愛がる少女、はつ子を演じた

安西郷子の美しさが

作品をより切なく、より光り輝かせています。

 

巡査役の

東野英治郎もまことに素晴らしく、

藤田進の純情、安西郷子の愛らしさに泣けた夜でした。

****

 

蛇足ですが

安西郷子って、日本人と思えないような美貌の持ち主ですね。

それがなんと、三橋達也夫人になって引退したとは知りませんでした!!

三橋達也、やっぱりやるもんですね~~!と、妙なところで感心してしまいました。


「高倉健」プロフェッショナル インタビュー特集

2012年09月11日 | ★TV番組

最後の大スター高倉健の

俳優としての矜持と

人間としての生き様を浮かびあがらせる内容だった。

大滝秀治の、

たった一言の台詞に感動し

「負けられないねえ」という姿が印象的だった。

俳優が出来ること・・ということをいまだに模索しているようにも見えた。

現場のスタッフへの「一番働いている人たちが一番お金もらってないんだよね」

という言葉も人間性を感じさせてくれた。

 

編集で言葉をブツブツ切ってあるのは不満でしたねえ。

NHKの番組によくあるけど、

ぶつ切りで

バッチリ編集されていて。

 

それと 

健さんのことを

「孤独を感じる・健さんくらいになると、誰も反対意見を言わないようになる」

みたいなことをたけしが言うシーンはちょっと違和感。

大スターの孤独は

プレスリーとかも

「イエスマンの取り巻きばっかりで

あんなに太っちゃった」・・とか、マイケル・ジャクソン等々、

散々言われてきたし

俳優の田村正和がインタビュー番組で

「僕にはもう誰も注意したり演技つけたりしてくれないんだよね」

と自身の口から寂しそうに言っていたし

いまさらおこがましくも言うことでないと思いました。 

たけしもたけしなら

編集もあざとい。

 

糸井重里が

ツィッターで

「たけしは自分と重ねている」ってつぶやいていたけど

それにも違和感。

健さんの孤独と、

女房子供もいて、軍団といわれる弟子やらを引き連れている

たけしの勝手な孤独とはまた全然別個のものである。

 

ただ、「健さんはシロナガスクジラみたい」

っていう表現は面白いと思った。

ただ大海原を泳いでいるだけで美しいという。

 

最後に、健さんの真実の言葉!

「おふくろが法律」

やっぱりか!

と頷かされた!!新藤兼人監督は90過ぎてもお母さんのことを語る時

涙を流しておられた。

 

どんな人でもやっぱりか!!!

母の力は絶対的にすごいですねえ~~一番エライ!


「プロフェッショナル 仕事の流儀 高倉健」

2012年09月10日 | ★TV番組

健さんの男としての美学、矜持、

プロとしての

生き様が現れた内容でした。

 

新作「あなたへ」の貴重なメイキング映像もたくさん。

最高の牽引効果ですね。 

 

最後に「プロフェッショナルとは?」と質問されて

「生業(なりわい)ですね」・・・・そっけないようで

重みのある言葉でした。

  

もはや日本人にとっては

最後の砦のような方ですね。

ビートたけしと並んで立ったショットでは

丹田に力が入りびしっと背中が伸びてる高倉健のたたずまいに対し

ぐにゃりとした軟体動物みたいなたけしとの対照が

クッキリ!

 

健さんの愛読書だという

 「男としての人生―山本周五郎のヒーローたち  木村弘彌」

を読みたくなった人も多いと思います。ですが絶版なんですねっ

 

その女版ともいえる「日本婦道記」は以前読みましたが

「日本女性の鏡」的オムニバスで

穴があったら入りたくなりました!逆立ちしてもムリ!


「銀幕のスター 永遠の歌声」

2012年09月09日 | ★TV番組

BSジャパンで

「銀幕のスター 永遠の歌声」を見た。

番組の白眉は

ピアノの側でリラックスした表情で歌う

勝新太郎の「粋な別れ」。

最高。

越路吹雪を彷彿とさせるような

抜群の音のとり方、アドリブが

素晴らしい。これがほんとの芸に能ある人。

 

そして

番傘を持った着流し姿の

鶴田浩二の「傷だらけの人生」、

トレンチコート姿で歌った

「好きだった」も良かった。

この曲、色んな人がカバーしているけど

やっぱり鶴田浩二、いいですねえ~~

 

(余談ですが、斉藤和義の例の「好きだったんだぜ~!♪」も

時は変われどテーマは同じですね。)

 

他には松方弘樹、小林旭、高橋英樹、

石原裕次郎、高峰三枝子、吉永小百合など。

俳優さんは声がいい上

抜群の表現力ゆえ、歌にも特別の味わいがある。

表情豊かですしね。

 

司会進行は徳光和夫と浜田光夫でした。

満足な夜をありがとうございました。