邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「洲崎パラダイス赤信号」

2010年05月22日 | ★イカス!映画たち
カッコイイ映画みっけ!

日本映画専門チャンネルで
「東京映画散策-
銀幕に見る失われた東京の風景」と題し
今はなき街並みを、当時作られた映画の中に見る超ナイスな特集を組んでいる。

昔の東京を知っている方々はもちろん
知らない世代も楽しめる好企画だ。
記録としても大変貴重ですよね。

橋の袂にかかるネオンに大きく書かれた
「洲崎パラダイス」は江東区にあった遊郭地帯だそうで
売春防止法制定前、賑わっている様子が良くわかる。

全体に漂うけだる~いムードが
なんとも気分~~!!

元娼婦の蔦枝(新珠三千代)と義治(三橋達也)の腐れ縁カップルが
だらだらくっついたり、離れたりやっぱりくっついたり。

男と女は流れ流れて遊郭の入り口にある飲み屋にたどりつく。
橋を渡れば洲崎パラダイス。
遊びに行く前に一杯ひっかけるお客が入ってくる店なのだ。

女手ひとつで店を切り盛りしている女将に轟夕起子

蔦枝はその店で酌婦になり、
義治は女将の口利きで蕎麦屋で働くことになった。

新珠三千代が演じている、
身体の半分は冷酒で出来ているような
あっけらかんとしたハスッパ女と
三橋達也の、腹をすかせた野良犬みたいなギラギラ男のコンビネーションが最高だ。

芦川いづみ、河津清三郎 、小沢昭一といった
脇役もキラキララメみたいに光っていて
川島雄三にかかれば
ひとつひとつの場面が
愛おしくて狂おしくてたまりませんわ。

真鍋理一郎の音楽も重要。
効果音を多用し、
熱っぽくて
もやもやした洲崎の「雰囲気」を盛り上げている。

平成になって、
きっちりクリアに無駄を省くが良しになってきたけど
昭和の、曖昧でいい加減で遊びがある、
お世辞にも清潔とは言えないアナログな世界に
居心地よさと郷愁を感じる人も多いのではないかしら・・・

などと考えました。

ラストの爆発的な開放感は「幕末太陽傳」に通じる。
梅雨から夏にかけてのムンムンした時期に見るのがお勧め!

1956年 川島雄三 監督
原作 芝木好子  
脚色 井手俊郎 寺田信義
撮影 高村倉太郎 
音楽 真鍋理一郎
美術 中村公彦

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「憎いあンちくしょう」

2006年06月13日 | ★イカス!映画たち
高揚感に包まれる、
不思議な映画だった。

北大作(石原裕次郎)はディスクジョッキー、司会者、
テレビ出演と分刻みのスケジュールをこなす大忙しの人気者だ。
やり手マネジャーの典子(浅丘ルリ子)は大作の恋人でもあった。

都会的でクールな二人・・のように見えたが、熱かった!

仕事に追われる毎日をおくっていた大作は、
中古ジープをタダで九州まで運んでくれる人を
募集しているという女性(芦川いづみ)に出会い
見知らぬ男女の愛を成就させるために、
テレビの生放送の中で「俺が運びます!」と言ってしまう。

この直前、典子に「拒否」されてモヤモヤ最高潮だった大作。
仕事はどうなる!

慌てた典子は大作のジャガーを駆り、ジープの後を追いかける。
後半からはロードムービー風な展開になり、
スピーディーな演出に
見ている方もぐいぐいひっぱられて行く。

それは二人の愛を探す旅でもあった。

音楽は黛敏郎で、甘くやるせない調べを効果的に散りばめている。
裕次郎の囁くような歌声も
映像にぴたりと溶け込んでいる。

それにしても激しさを秘めたモダンガール、
浅丘ルリ子は絶品です。
化粧もナチュラルメークで可愛らしい!

二人とも無茶やるなあ~~な展開なのだけど、
メチャメチャパワーがある。

それだけに青空の下でのラストシーンには実に爽快だった。

可憐な美女、芦川いづみは
藤竜也の奥さんになってから芸能界を引退してしまったが
お元気なのだろうか。
ディレクター役の長門裕之が、「業界人間そのものズバリ風」で◎

鮮烈な映像をリアルタイムで見た方がうらやましい。

1962年 蔵原惟繕 監督作品
脚本 : 山田信夫 企画 : 水の江滝子 
撮影 : 間宮義雄  
音楽 : 黛敏郎 美術 : 千葉和彦

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「夜の牙」

2006年06月07日 | ★イカス!映画たち
「アニキ~~」
「なんだ、三公!」

これだけで「カッコイイ」と思わせるのですから
石原裕次郎っていったい何者だったのだろう。
若くしてすでにふてぶて・・いや、貫禄があって、
大スターのオーラが光る。

岡田真澄さんは
裕次郎の子分で、ちょっととっぽいスリの三太という、
ごろつき・・いや、若者を演じています。
信じられないくらいのハンサムなのに
コミカルな味を出していて新鮮。

この二人の関係、「傷だらけの天使」のようだ。

ガード下で診療所を開いている医者、健吉は
ある日ふとしたことから自分の戸籍が抹殺されているのを知り
調べていくうちに謎の人物に命を狙われてしまう・・

謎の美女(月丘夢路)、キュートな浅丘ルリ子も加わり、
サスペンスタッチではらはらさせるも
キラキラとした金粉が舞っているような、
華やかさいっぱいの娯楽作だった。

怪しさが増す「影」の使い方が面白い。

岡田さん追悼番組。
黙っているとぞっとするくらいの
美貌なのに、ちょっとはずした二枚目半の
キャラクター設定で、より魅力を引き出していたと思う。
「狂った果実」もまた見たいです。
脚の長さは裕次郎に勝っていたよ~~

あらためてご冥福をお祈りします。

1958年 監督 : 井上梅次 脚本 : 井上梅次 渡辺剣次
撮影 : 岩佐一泉 音楽 : 佐藤勝 美術 : 中村公彦

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「修羅雪姫・怨み恋歌」

2006年03月16日 | ★イカス!映画たち
タランティーノも惚れこんだ、
修羅の道をゆく修羅雪姫。

「子連れ狼」の小池一夫・「同棲時代」などの上村一夫の劇画が原作。

シリーズ第二作目。
監獄で生まれた雪、通称修羅雪姫。
向かってくる敵をばったばったと斬り倒し(1対10人ほどを1分ほどで全クリ)
逃亡するも警察に包囲されついに獄中へ。

舞台は明治末期の東京。
裁判で極刑が言い渡されるが、
形場に向かう途中で何者かが現れ、馬車を乗っ取ってしまう。

向かった先は秘密警察の親玉(岸田森)の屋敷だった。
まるで劇画を見ているようにいかがわしさがいっぱいだ。

「顔面蒼白」とはどんな顔かと思った人はこの映画の岸田森を見るといい。
南原宏治は期待に答えた怪演で楽しませてくれる。

命を助けられた雪がスパイとして送り込まれたのは、
反政府主義者の徳永乱水(伊丹十三)の家だった。
伊丹十三は監督として有名だが、素晴らしい俳優でもあった。
汚れ役もなんなくこなしている。(顔汚れすぎかも?)

屈折した役どころの原田芳雄はこの頃一番ノっている。
どんな映画に出ていても原田芳雄なのがこのひとのすごいところだ。

同じくノッテル藤田敏八監督の、
血をびゅっびゅっ飛ばす残酷シーン、濡れ場(伊丹×吉行和子)、
貧民窟のシーンで真っ裸の子供を走らせるなど、
どっきり演出がさえまくっている。
だが、
主役梶芽衣子の神秘的な美しさが無かったら果たして
この異様なテンションの映画をこれほどまでに楽しめただろうか?

口からではなく、射るような大きな瞳でものを言う。
感情が抜け落ちた
どこかロボトミーのような修羅雪姫。
魂は母の胎内においてきたのだろうか。

殺陣はお世辞にもうまいとは言えない。
だがすべて許せるほど、壮絶に美しい。

ひと目見ればあなたも修羅雪姫にとどめをさされることでしょう。

監督 : 藤田敏八 原作 : 小池一雄 上村一夫
脚本 : 長田紀生 大原清秀
撮影 : 鈴木達夫 音楽 : 広瀬健次郎 美術 : 樋口幸男

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「早射ち犬」

2006年02月18日 | ★イカス!映画たち
64年「宿無し犬」から始まった
【犬シリーズ】は10作まで作られた。この作品で8本目。

シリーズを通して
藤本義一が脚本を手がけている。
ゆえに関西弁の台詞がたってます。

主人公鴨井大介のハジキさばきは回を追うごとに
磨きがかかり、ここでは
ほとんど曲射ち状態。マニアックな兵器も登場する。

テンポのいい台詞の応酬とユーモア、
キレのいいアクションで
田宮二郎「陽」の魅力が炸裂している。
女にモテて情も厚い、
拳銃を持たせたら天下無敵の鴨井ちゃんは
どういうわけかいつも犯罪に巻き込まれてしまう。
そしてどういうわけかデカも一緒にくっついてくる。

イイ感じにくたびれていて、
どこかフランス映画の中の刑事を思わせる天知茂
二枚目田宮二郎のからみ((漫才のよう)がなかなか。

作品によって色んな役を演じている
坂本スミ子も準レギュラーといっていいだろう。
ふくよかなからだ(はっきり言っておデブちゃん)と、
ふんわかムードが
ドンパチ路線を和らげるクッション的役割。

人情ハジキアクションとでもいいたい娯楽作。
この作品では
財津一郎、藤岡琢也、小沢昭一がお笑いを飛ばし、
成田三樹夫がびしっと締めてくれる。

財前もいいけど、犬シリーズの鴨井は超人的にカッコイイので、
全部見てしまいたくなる。

  1967年 村野鉄太郎 監督作品
脚本  藤本義一 撮影 上原明 音楽   山内正 美術   渡辺竹三郎

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