邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「牝犬」

2011年02月25日 | ★愛!の映画
すごいタイトルをつけたものですね:
 
妻子もちの志村喬
踊り子の京マチ子の魅力に負け、
堕落、破滅する物語。
 
あの「七人の侍」の、
「生きる」の、志村喬が
女に溺れるなんて!という
ファンの想いをよそに
なりふり構わぬエロ親父を演じていて、さすがの役者魂をみせてくれます。
 
同じ木村恵吾監督の
「痴人の愛」より
ストレートな愛欲モノ、そのものずばりの内容。
 
京マチ子が相手では
最初から勝敗ははっきりしているようなものですが
カチカチの堅物サラリーマンが
いつどうなって女の術中にはまるのかと
思ったら、
ものすごくあっさりとその手に落ちてしまってアングリ 
 
病弱の妻(北林谷栄)
バレリーナをめざしていた清純な娘(久我美子)も
一家のあるじを失って
あっというまに
不幸のどん底へ叩き込まれてしまいます・・
久我美子の堕ち方がハンパ無くてその落差の激しさがすごい。
 ・・・
など、大げさで漫画チックなデフォルメが楽しい。
 
京マチ子が出ると
必ずストッキングを脱ぐシーンとか
脚を投げ出すシーンがあるけど
ここでも志村喬が
そのおみ足にすがりつくお宝場面アリ。
 
ただれた生活をおくる京が、
教養ある若いピアノ弾き(根上淳)に
ひとり相撲の恋愛感情を抱いて幸せを夢みるところは
ちょっと森鴎外の「雁」を思い起こさせます。
 
どっこい志村は離れようとせず
その執着と怨念は
ホラー映画のように
加速していきます。
 
 
教訓:女の脚には気をつけろ
 
1951年

監督 木村恵吾

脚本 成澤昌茂

   
   
   
   
   

「新幹線大爆破」

2011年02月23日 | ★ハードボイルドな映画
社会から弾き飛ばされ、
大胆な計画を実行する三人組の
犯人役に高倉健 (沖田哲男)
山本圭 (古賀勝)
織田あきら (大城浩)。

この映画(1975年公開)を先に見ていたら
キアヌ・リーブス・サンドラ・ブロック主演の、
誰でも知ってる大当たり映画「スピード」(1994年)が
色あせて見えたことでしょう。
速度を落とせば爆破するってアイディアを
20年も前に映画にしていたのは国産だったのだ~~~!
「スピード」の脚本家は「暴走機関車」を参考にしたといってるみたいだけど
ちょっとテイストが違う気がするし、やっぱりこっちでしょう。
さらにこの映画の前にすでにテレビドラマでアイディアが
提示されていたという情報もありますが見ていないので定かではありません。

さて「新幹線大爆破」ですが
刑事側は当時のテレビドラマに出演していた
刑事役や犯人役の上手い俳優さんで固められていて
ヘタにスターを使っていない故、リアルな臨場感をかもしだしております。

社会の底辺であがく男たちが、
大胆にも新幹線を爆破すると予告して金をせしめようとするのですが・・

犯人役の三人:
事業に失敗し女房に逃げられた、ちょっと情けない高倉健って
イメージからちょっとはずれてる気がしたけど、
でもやっぱり健さんは健さん。見せ場沢山あります。

織田あきらという俳優さんはどこか影があって、
最下層の鉄砲玉役とか、
幸せになれない気が最初からしてしまいますね。
「津軽じょんがら節」のイメージも強い。
ここでもバイクにまたがった途端、不吉な予感が・・

そして山本圭ですが
理屈っぽい(爆)思想犯役といえばこの人!
元過激派の役ならどんぴしゃり!、
と思ったら、元全共闘闘士は織田あきらの方で、
山本圭は職にあぶれた元工員という役でした~~
これでもか!というくらいのうらぶれ感を全身で表現されていてさすがです。
期待どおりの大芝居も見ごたえ十分で、寡黙で抑えた演技の健さんとの
コントラストもバッチリです。

この映画はなにしろ警察当局と犯人側の
攻防戦が実にスリリング。一転二転する展開も見事!

逃げる犯人を警察が「動いたら撃つぞ!」と言ったなり
簡単にズドン!と撃ったり
刑事たちが
すごく偶然に?山本圭が歩いているところへ出くわすなど
時々アレ?という場面もありますが
スピード感ある演出に矛盾も消し飛んでしまいます。

さらに信じられないくらいの豪華キャストの
思い切った使い方にも注目したい。

多岐川裕美なんて、受付嬢としてちらりと出ているのみ。
台詞もひとつかふたつだったし。北大路欣也とかも。
多彩な出演者の中で特に印象に残ったのは
警察側の鈴木瑞穂
カツゼツ良くキレのいい台詞で画面を締めてます。
それと宍戸錠の弟でちあきなおみの旦那だった郷英治
ワイルドでいい味だしてますよお。

他には、
宇津宮雅代 (健さんの別れた妻役)
田中邦衛 もちらっと出てるし
宇津井健 (良心的人物役)
JJサニー千葉 (チラ役だけど見せ場あり)
小林稔侍 (真面目な役)
志村喬 (国鉄総裁)
志穂美悦子 (ちょい役)
渡辺文雄 竜雷太 丹波哲郎
北大路欣也 (ちょい役)
川地民夫
藤田弓子
岩城滉
林ゆたか 多岐川裕美 露木茂

などなど。

新幹線という、
あまりに身近すぎる素材を扱ったからか、
宣伝が行き届かなかったせいなのか、
興業的に成功を収めなかったそうですが
今見ても十分楽しめる作品!

おすすめ!!


監督 佐藤純彌
脚本 小野竜之助 佐藤純彌
原案 加藤阿礼
撮影 飯村雅彦
美術 中村修一郎
音楽 青山八郎

「武蔵野夫人」

2011年02月21日 | ★愛!の映画
戦時中のお話。
武蔵野の大きなお屋敷に住む田中絹代
大学教授で俗物根性丸出しの夫・森雅之を婿にして
家を守っていた。
絹代の父(進藤英太郎)は、「(森は)油断ならない男だから気をつけろ」と
言い残し他界。
 
そこへ従兄弟の片山明彦が復員してくる。
 
再会した時の絹代の喜びようがただならぬので
観客は夫の森雅之より早く
「これは・・・ひょっとして?」と感づくのである。
 
観客のカンは当たり
二人はお互いに密かな想いを抱きはじめるが
絹代の、「武蔵野夫人」としての固い矜持と、
独自の恋愛哲学のため、
一線を越えそうでなかなか越えない。
この哲学は難しいので
何度反芻しても凡庸な筆者には理解不能だった!
 
そうこうしているうち
観客は
二人を嫉妬した森の
隣家の豊満な人妻・轟夕起子を
ちらと見る目が
ねちっこいのに気づく。
森はしつこく
アプローチするが、奔放な轟に翻弄される。
 
森に対してはそっけない態度を取る轟だが、
片山を見つめるまなざしは
露骨に色っぽいので
観客は
「そういうことか」と期待するが
 
さほど凄いことにはならない・・・・・・・
 
・・・・・
 
のような相関関係で物語は進んで行くのです・・
フランス映画を思わせるような
セレブの雰囲気を漂わせた精神的なロマンスと
武蔵野の自然賛歌がうまい具合にからみあっております。
 
見事な旧家の、
大きな古木がどっしりとそびえている庭へと入っていく田中絹代を
上から捕らえ、流れるように追ってくカメラ。
 
武蔵野の自然に絹代が溶け込んだ絵も素晴らしい。
脳裏にやきつく映像は
台詞が無くても成立するほどの説得力である。
撮影は成瀬巳喜男映画でもお馴染みの
玉井正夫。
 
ただ、片山明彦と
田中絹代がどうも「姉」、「弟」みたいで
「カップル」っぽくないと
いいますか、色っぽさに欠けるように思いました。
 
轟夕起子は
崩れる前のフルーツ(?)みたいな豊潤な魅力をかもし出しています。
絹代は地味な和服がほとんどだけど、
轟さんのレースの手袋、帽子、お洒落な有閑マダムファッションはみものです。
 
森雅之は、屈折した嫌味な役も上手いですね・
スクリーンでアップになると端正なお顔立ちの
迫力にため息が出ます。
 
古めかしい道徳観が今かえって新鮮でした。
 
ただ、田中絹代と森雅之というと
どうしても
「雨月物語」を思い出してしまう。
ラストのナレーションで錯覚を起こしてしまいました。
 
 
1951年
 
溝口健二
原作:大岡昇平
 
   
   
   
   
 
 
 

「男前列伝」中原淳一

2011年02月16日 | ★TV番組
男前列伝」という番組を初めて見た。
現代の男前が
書籍、作品、ゆかりの人々を尋ね
伝説の男前の美意識を研究する内容。
 
今回は歌舞伎の女形
市川春猿が
中原淳一の美学を追求。
 
淳一ショップ「ひまわり」も取材していた。
 
実のお嬢様が登場。
(↑ということはお母さんが女優の蘆原邦子)
 
ふわりとしたミニドレスに
お人形のようなヘア。
淳一の作品から抜け出してきたような
独特の雰囲気を持った方。
年齢を超越し
美を生きている人!とお見受けしました。
 
こうしてご遺族が大切に大切に
淳一の作品を管理されているのですね~~~
 
もうひとつの目玉は
リアルタイム淳一ファンのご婦人たち。
戦時中の思い出と「少女の友」について
語っていて
あの素晴らしかった「友ちゃん会」を思い出した!
ご本人に目を入れてもらったという手作りのお人形を
持ってきた方もいた。
この世にひとつの宝物。
めちゃプリティ!!!皆さん少女に戻ったように当時の思い出を語っていた。
 
戦時中、生きていくことだけで精一杯の時代に
綺麗なものを提案、作り出し続け少女に夢を与えた淳一先生。
 
全盛期に心臓病で倒れ
20年以上も入院生活をおくりながらも 
「美しく生きる事こそが、人が幸せに生きる事だ」を貫いた
哲学が素晴らしい!!
 
結局はその人の精神のありようが
人生の中身を決定する。
 
 
かくありたいものだ!!と感銘を受けました。
 

伊勢谷友介が「徹子の部屋」に!

2011年02月15日 | ★TV番組
伊勢谷友介が
「徹子の部屋」に出た!
 
最近「あしたのジョー」の力石徹役のため
10キロ減量して
筋トレし、ものすごい肉体を造ったのは有名。
  
黒柳さんが
服の上から腕を
さわりまくって確認したところ
「わ~~~!すごい!」
「カチカチ!」
「わ~~~!!」
と騒ぎまくっていた。
 
白州次郎の伝記ドラマで
一気にメジャーになって
映画、ドラマなどでも活躍しているけど
これからもっと大爆発しそう。
 
弁舌は爽やかだけど、
アグレッシブでものすごいパワーを感じた。
元々は
映像(映画)を撮りたかったそう。
すでに一本撮っており、今も制作中だそうです。
 
なんといいますか、
才能が洋服を着て歩いている人といいますか、
才気が体から
あふれ出ていて止まらないといいましょうか・・
 
加えて若さと完璧な容姿をお持ちですから、
俳優にとどまらず
世界に通用するクリエーターになる予感・・・
狭い芸能界においておくのはもったいない人。
とはいえ、日本ででも活躍して欲しいですけど。
 
とにかく今一番
 
応援したい!
追記:ご本人がおっしゃっていたけど、
山本寛斎さんがお兄さん(異母兄)に当たるそうですね。
知らなかった~~~~~~
ゴージャス兄弟!
映画「あしたのジョー」公式HP