邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

平成版「犬神家の一族」の見所

2006年12月27日 | ★人生色々な映画
なにやら、
「前作と同じ」ことが大きな問題になっているようだけど

それがどうしたの?
思う。

市川監督ご自身は「名人落語」にたとえていたが、
前の脚本もそっくりそのまま
使うことによって
作品がスタンダードとしてしっかりと固められたように思う。

そんな映画作品があってもいいのではないでしょうか。
(森田芳光監督は「椿三十郎」を同じ脚本でやるみたいですけど
どうでしょうか)

セルフリメイクとして、徹底的に前作を再現した細部に注目したい。

まず金田一が登場する場面:那須の町並みの再現の見事さ。
画面左手にポストがあるのも前作とまったく同じだ。
旅館に入っていったら「東京ブギウギ」が聴こえる。これも同じ、
林家木久蔵(前は三木のり平)がうたたねしていると柱時計が鳴る、
ぼ~んぼ~ん ぴったり八時だった。
松子が母親に会うシーンで
かけているのは紫のレースのショールだけど
前作はベージュだったとか
草笛光子が着ている着物は
岸田今日子に似せた(でも同じではない)、
縞の着物だとか、挙げているときりがない。

つまり徹底して似せているのだが
現代に公開する作品として若干手をいれている。
佐兵衛の過去をさらりと流して一般向け?にしてあるし
金田一オマージュともいえるラストの変更は
感動的な効果をあげたと思う。
また、遺言状の場面で珠世VS三姉妹の関係をずばり表した
座り位置の変化、
一連の犯行の際、佐兵衛の憑依であるかのような演出を際立たせたところも
興味深いところだった。

佐智が珠世を運ぶシーンも前作のままでしたが、
今回は腰が抜けんばかりで気の毒でした。

そして何よりこの映画ですごいのは
江戸時代から「ヨキコトキク」を持柄とし、
横溝原作にも書かれている、
尾上菊五郎の家族がそっくり主役を演じていることである。
このことだけでも
じつにシャレた、贅沢な映画だと思う。

市川監督は
新しい映画のあり方、遊び方を提示してくれたように思うのです。

名場面が多いこの作品、
静馬の
オレは 
いずがびげを のっとってやろうと ぞのどぎ
げっじんじだんだあ~~!!カッカッカ ウキョキョキョキョ~~! 」

サイコーですが、
「松子の型」としての見所はラスト、
キセルを吸いながら台詞を吐くシーンですかね~

高峰さんのも貫禄ありましたが
富司さんのも、ありゃ~なかなか迫力あったとですばい!(なぜか緋牡丹調)

などなど、映画の楽しさをたっぷり味合わせてもらいました。

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「硫黄島からの手紙」観ました

2006年12月26日 | ★人生色々な映画
直球ストレート球です!

全編日本人しか出てこないのにまず驚いた。
それに日本語だ!

ありがてえ!

主役はまあ置いといて、
元憲兵の加瀬亮が、
硬質な外面とやわな内面を上手く表現していて良かったのと、
眉毛が太くて誰だかわからなかった久々の裕木奈江
情感を出してきらりと光っていた。

二部作として作られたこの作品に
賞賛の声が後をたたないのも納得できる。

それゆえに
複雑な気持ちになってしまう。

私たちは感心しているばあいではないのではないだろうか。
作ってもらっちゃって
脚本を書いてもらってる場合ではないのではないか??

これがアメリカ映画なのだということに面食らう。
(監督は日本映画だと言っているらしいが)

娯楽作ではないので
クリント・イーストウッドが
ライフル撃ちまくるということはありません。

それにしても何故日本映画ではないのか。
日本人の手によって作られたものではないのか・・
ううう みどもは、く、悔しいでござる。

これだけ観て「父親たちの・・」を観ないのは
「正しくない見方」なのだろうけど
何処でももうやってませんわ。
それもヘンな話だわね~

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クリスマスでも「忠臣蔵・地の巻」

2006年12月25日 | ★ぐっとくる時代劇
内蔵助の、世間を欺く遊興三昧からの幕開け。

後半の見所は立花左近になりすました内蔵助が
江戸に向かう途中
本物の立花左近(片岡千恵蔵・二役)と鉢合わせする場面、
瑤泉院の前で心ならずも嘘をつくところ、
そしてクライマックスの討ち入り、と盛りだくさんである。
これらをバシバシ要所を押さえて魅せてくれる。

特に、対・立花右近の大見せ場は
今まで見た忠臣蔵映画の中でもピカイチであった。
睨み合うタメの長さも一番ではないだろうか。
千恵蔵と阪妻
まるで正月の凧から飛び出してきたような
立派な顔と顔(目張りは歌舞伎調)がアップで抜かれ、
緊張が走る。そして
男と男が言葉無しで心を通じ合わせる瞬間は
大変に感動的だった。

ハッタリの後の男の涙、
メリとハリのコントラストも実に鮮やかだ。
「武士の情け」を表すこのモチーフはそっくり
「弁慶と富樫」に当てはまる。
二人で「勧進帳」を演ったら、さぞかしウケたことだろうと思った。
(その場合、やっぱり阪妻が弁慶で千恵蔵は富樫がイイ)

また、瑤泉院(星令子)との面会後
「穢らわしい!」と畳に投げつけられた巻物から
見事に血判状が現れるタイミングもお見事。この場面で
妙に上手い腰元の親玉がいると思えば、沢村貞子であった。
きっぱりと口舌爽やかなのは若い時からなのだなぁ。

バンツマ内蔵助はしらばっくれ方もはんぱではない。
前編で、皆で切腹しようと偽って、家来どもの真意をぎりぎりまで探り、
遊郭で遊び世間を騙し、
立花右近本人が現れても堂々とでかい顔を崩さず
瑤泉院の前でもしらを切りとおすバックレ大臣なのであった!

討ち入り当日、
玄関のたたきに次々脱ぎ捨てられる下駄が臨場感をあおり、
猛々しいエイエイオーの大号令後は
蕎麦屋びっくり!」のお決まり場面で笑わせ、
江戸の町民が全員起きただろう、騒々しい出陣マラソン、
吉良邸の前では吹雪の中、
天を轟かすような陣太鼓を打ち鳴らすなど、盛り上げに盛り上げる。

ここでいち早く討ち入りに気づいた清水一角(淡路守と二役)のアラカンが
寝巻きのまま、走りながら袴をつけ刀をさす場面に、
演出が行き届いていると感じさせられ妙に感動した

このように
きっちりと細部を押さえた作りがクオリティの高さにつながるのだと
あらためて感じたことでございます。

忠臣蔵好き、時代劇ファンは必見!の面白さです。

1938年 
監督   池田富保
脚本   滝川紅葉
撮影 谷本精史
音楽 白木義信

* 映画の中のイイおんな*
星令子:瑤泉院を演じています。
この頃ものすごい数の映画に出ているお姫様スター。
細面で鉄漿もよく似合いぴったりの役回りです。
鉄漿、お歯黒って最近の時代劇では見られないですが、断然雰囲気でますね。
内蔵助をさげすむ場面では
美しい顔に険が走り、恐かったですけど。

■忠臣蔵 天の巻はこちら

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年忘れ「忠臣蔵 天の巻」

2006年12月23日 | ★ぐっとくる時代劇
マキノ正博、池田富保監督による
「忠臣蔵 天の巻・地の巻」は1938年の作品。

脚本は天の巻:山上伊太郎 地の巻:滝川紅葉が担当している。

フィルムがブチブチ切れるし画質も良くなかったが、
メリハリのある演出が冴え渡って大変見ごたえがあった!

加えて阪東妻三郎、嵐寛寿郎、片岡千恵蔵、月形龍之介
大きな芝居、立派な顔、優雅な立ち居振る舞いに酔いました。
この面子、阪妻を除いて二役やっているところも特徴的だ。

「天の巻」は事の発端から
赤穂城明け渡しまでをマキノ監督が仕切っている。
前半は
畳替えエピソードをはじめとする、サディスティック吉良のいじめに
耐えて耐えてとうとうぶち切れる白塗りの片岡千恵蔵(浅野内匠頭)
こってりこてこてに描かれる。
松の廊下で、憤怒で真っ青になった千恵蔵がプツンと
糸が切れたように
一旦通り過ぎた吉良に向かって突進する様子は
上から撮っていることもあり、大変な緊迫感があった。

内匠頭に同情的な
脇坂淡路守(嵐寛寿郎)が、どさくさまぎれに
吉良の頭を扇子で叩いた後、
してやったりとあからさまににんまりするところは笑える。
吉良役にはいかにも憎憎しげな面立ちの山本嘉一。

この次のお楽しみが
赤穂城で知らせを受ける「待ってました!」の
大石内蔵助(阪東妻三郎)!

この映画、どこか歌舞伎調なので、ついこんな言葉も頭をよぎる。

さて阪妻だが、
それがあなた!
出てきた途端目をつぶっている!!

ためにためて
おもむろに口を開いたと思ったら!
周囲とは異なる次元にいるような
段違いの貫禄と大芝居で圧倒!

声は割れんばかりに大きいわ、渇舌は良すぎるわ、
台詞回しは大仰だわ
目玉は飛び出んばかりだわでたまげました。


何かとてつもないものを見ている気持ちにさせられる
独特の   魔 じゃなくて  !!

田村三兄弟はとんでもない親父さんを持ったものだと
しばし呆然としましたが、
三人がそれぞれ父から受け継いだものがあることも発見した。
野太く味のある声は高廣そっくりだし 
文楽人形のような眉毛の動かし方は正和そのもの。
亮は美しい横顔をもらったのだと納得した。

天の巻、地の巻とも
音楽にも趣向を凝らしており、盛り上げどころを突いて心憎い。

フィルムがところどころ切れてつながりが
悪いところもあったが
日活が総動員した作品だけあって、時代劇の楽しさ、
忠臣蔵の「肝」が押さえられていると感じました。

長くなりましたので池田富保監督がメガホン取った(これも面白かった)、
後編「地の巻」はこの次に。

1938年 監督 マキノ正博
脚本 山上伊太郎 撮影 石本秀雄
音楽 西梧郎 録音 中村敏夫 海原幸夫 時代考証 江馬務

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「裸の大将」

2006年12月15日 | ★人生色々な映画
時代は太平洋戦争末期~戦後。

放浪の旅の中で出会った人々との
暖かいエピソードがちりばめられている、
いわば山下清(小林桂樹)版ロードムービーだ。

小林桂樹の名珍演技に大笑いできるコメディ仕立て。

清の母に三益愛子、
加東大介、沢村貞子、団令子、
有島一郎、森川信、三木のり平など脇も豪華豪華。
みな名も無い市井の人々として登場するが
それぞれほんの短い出番でも
天下一品の芸を見せてくれる。

露天風呂で
清の長々した話に辟易する柳家金語楼 の百面相も見ものだし、
最もおかしいのは清の貧乏家族で、
マスコミに追っかけられるほど有名になったのに
共同便所の焼け跡に居を構えているのもバレるとか、
弟も職探ししてカッコつけなきゃならない羽目になったとか、
かえって迷惑がっているのが可笑しい。

「まったくあの子が有名になったおかげでとんだ迷惑だよ。
ほんとにどこまで面倒かけるのかねえ。」(三益愛子)

面白い脚本だな~と思ったら水木洋子だった。

世の中の矛盾も清にかかれば一発で白日の元に晒される。

出征シーンで、女「どうせ日本が勝つに決まってるんだから!」
清:「勝つか負けるかは誰にもわからないのに
千代ちゃんたちはヘンなこと言ってるな」

プッと噴出してからなるほどなと納得する。

反戦メッセージがスパイスを効かせている。
こうしてみると小林桂樹ってほんとに演技がうまいなあ。

男「兵隊に行って戦って死ねば靖国に祭られて神様になるんだぞ」
清「普通に死ねば仏様で戦争に行って死んだら神様になるんだな」

時々ドキッとする。

芦屋雁之助の山下清も素晴らしかったけど
こちらは可愛らしくて愛おしくなる清です。

言いにくいようなことも
山下清風に言うと厭味にならずにいえるかもしれない!

監督 堀川弘通 製作 藤本真澄 脚本 水木洋子
撮影中井朝一
音楽 黛敏郎 美術 河東安英

*映画の中のイイおんな*
団令子:ちらっとしか出てきませんが
バスガイドの役です。化粧直しをする仕草が
かわいらしくて、スタイル抜群!声がハスキーなのも
いいですね。

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