邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「蝉しぐれ」観た

2005年10月30日 | ★ぐっとくる時代劇
映画化までに15年かかったという。
その監督の思いが観る人にも伝わる映画だった。

まず山形の四季を映し出すカメラが素晴らしい。
その自然の中で
慎ましく生きる文四郎の家族。
音楽は画面にぴたりと一体化していた。

前半のテンポのよさに比べ、
すこし後半長さを感じるところはあったにせよ
全体から品格と、創り手の気迫を感じた。

俳優が皆良い。
緒形拳・原田美枝子夫婦は最高の組み合わせだ。

市川染五郎のメリハリの効いた演技、
立ち居振る舞いの見事さには惚れ惚れした。
「美しい男(ひと)」という言葉が浮かぶ。
歌舞伎の舞台も何度か観た。
まさに大器だと思う。

ちょうど今夜染五郎主演で
上方歌舞伎の名作「恋飛脚大和往来」が放送される。
中村鴈治郎版(これは至芸ですが)しかみていないのでこれも観よう。
楽しみだ。

少年時代を演じた石田卓也くんも真摯な演技がよかった。

レイトショーで観たが、遅い時間だというのに
客席はほぼ満員
「たそがれ清兵衛」のたそがれた客席に比べ
客層も若いカップルからシニアまでと様々で
その多様さに驚いた。

静かなラストも心に残る。
売らんかなというような、
妙な媚やいやらしさが無い映画だと思った。

*蝉しぐれ公式サイト

*以前書いた紹介記事です

2005年 黒土三男監督作品 美術 櫻木晶 撮影 釘宮慎治 脚本 黒土三男

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ご懐妊「大奥・華の乱」(3)

2005年10月28日 | ★TV番組
右衛門佐(高岡早紀)登場しましたね。
名前がキラン!と金文字で入るところ、
気分が出ますね。

とことん大奥ビクトリアン調物語
展開されることを願う!
と、的外れなことを思いながら観る。

上様もいきなりいい人になったりしないで
このまま妙な性格のまま突っ走って欲しい!!!
と、思わず爆走してしまう。

藤原紀香の台詞は
関西出身ならではの流暢さで雅で心地よい。
高岡早紀と聞き比べた時そのよさが際立った。
願わくばず~~~~っと喋っていて欲しいものだ。

役者が出身地の言葉で台詞を喋ると
他の地方出身者には出せないニュアンスがやはり出ますね。

内山理名の泣き顔は天下一品だし。

百花繚乱で誠に華やか。
ご寝所シーンやあからさまな対決シーンやら、
流し目の柳沢吉保(北村一輝)やら。

バトルが白熱すればするほど燃えてきたりするのは
野球やK1観戦に似ているような気もする。

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成瀬:「妻として女として」

2005年10月25日 | ★人生色々な映画
裕福そうな家庭。
少年(大沢健三郎)が風呂に入りながら
「じんじろげやじんじろげ~」と、大声で歌い
お年頃のお嬢さん(星由里子)は母親に洋服をねだる。

お父さん(森雅之)は大学の講師、
お母さん(淡島千景)は良妻賢母・・
家族が揃った居間にお手伝いさんがお茶を運んでくる。
なんとまあ幸せを絵に描いたような家族だろうなあ・・
と、思ったら!

なんとお父さんには、お母さん公認の愛人(高峰秀子)がいたのです!

それにすごい秘密もあった!

高峰と元芸者の祖母(飯田蝶子)の
やり取りがめちゃめちゃ楽しい。
小唄で問いかけ、小唄で返す。
二人の会話が粋で、
地でやっているのではないかと思うような自然さ、間の良さだ。

森雅之をはさみ、
淡島千景と高峰秀子が真正面からぶつかる、
すごい場面もみられる。
森雅之は
終始うつむき加減でダメダメ男の抑えた演技。

そりゃそうだわな~と思う話の展開。
戦争という時代背景があるにせよ・・
男って、
大人ってウソツキなんだから!

本妻、愛人、共に一貫して和服だ。
着物好きとしてはそんなところもうれしく見た。
特に高峰はバーのマダム役なのにケバケバしくなく
地味にもみえる着物(帯あわせが素敵)をとっかえひっかえ着て
楽しませてくれる。
「女が階段を上る時」でも
自身のセレクトそうだが、これもそうなのでは?

セット、衣裳などによる画面の色彩配分の良さを感じた。

と、ここまで書いていて気がついたが、
これは成瀬監督には珍しいカラー映画です。

後味のいい、鮮やかなラストにもやられた。

1961年 成瀬巳喜男監督作品 脚本 : 井手俊郎 / 松山善三 撮影 安本淳 美術 中古智

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江波杏子の高笑い◎「大奥・華の乱」(2)

2005年10月21日 | ★TV番組
内山理名が健気に好演する中、
どう対処していいか戸惑うような
複雑な人格障害?を持った綱吉(谷原章介)、
これでもか!と
デフォルメされてわかりやすい小池栄子の悪役キャラ、
美しい悪魔、藤原紀香が絡む。

加えて
余貴美子、江波杏子の凄み・・・と、
これを伏魔殿と呼ばずしてなんとする!

と、興奮した第二回でした!

特にわらわ(?)は藤原紀香の美しさに惚れ惚れした。

時代劇がよくお似合いで
欲を言えば、
これにゲスト出演で
信子の元彼として加藤雅也が都からでも現われて
駆け落ちでもしてくれたら最高に盛り上がるのだが・・・
というのはあくまでも勝手な配役&シナリオ(願望)です。

田辺誠一
京極夏彦「怪」シリーズもよかったですが、ここでもいいですね!

江波杏子は恐ろしさ満点。
「ふふ・・・はは・・あはははは・・・」
の不気味な笑い声は圧巻だった!!

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田宮二郎版「白い巨塔」

2005年10月16日 | ★人生色々な映画
ジローちゃんが演じるゴローちゃんの決定版。
映画の方がテレビ版(ここでは昭和版の意)より一年先に作られている。(66年)

山本薩夫がメガホンを取った映画版では
教授選挙に焦点をあて
何がなんでも教授にのし上がろうとする財前と
東教授との確執が中心に描かれている。

原作が濃縮されたこの映画版も面白いが
教授選に絡めて、財前をめぐる人間模様や
医師としての倫理問題をより掘り下げて描き出した
テレビ版の方は、配役の点でもより勝っていると思う。

特に、エネルギッシュな東野英治郎の東教授に対して
枯れた味わいながら
奥底に闘志を秘めたテレビ版の
ミスターインテリジェンス:中村伸郎がどうしても忘れがたい。

里見:山本学(テレビ)と田村高廣(映画)は甲乙つけがたい。
太地喜和子(テレビ)と小川真由美(映画)は太地に軍配。

戸浦六宏、井上孝雄、小松方正 佐分利信、
曽我廼家明蝶といった脇の煮詰め方もやはりテレビ版がすごい。
財前の母親は中北千枝子さんだった。

鵜飼教授(小沢栄太郎)と
大河内教授の加藤嘉は同じ役で出演している。

この映画でも
学問一筋のストイック(甲高さ頂点に達す!)で一本気な大河内が
賄賂に大爆発!するところは大変面白かった!

平成テレビ版の唐沢ゴロ~の
熱演やエンディングテーマは心に残ったが、
やはりこの田宮二郎の財前五郎は、
市川雷蔵の眠狂四郎、
藤純子の緋牡丹のお竜さん、勝新太郎の座頭市などと同じく貴重な文化財だ。

映画・テレビ版共に脇を固める俳優陣の上手さにはうなるばかり。
大阪弁というのも大変リアリティがあった。

テレビ化にあたってメインイメージに据えられた
教授回診の際の音楽が
ゴジラが出てくるような迫力で
すごいです。

1966年 山本薩夫監督作品 脚本:橋本忍 原作:山崎豊子

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