邦画ブラボー

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「あなたが聴きたい歌の4時間スペシャル 」TBSテレビ見ました

2013年03月28日 | ★TV番組

知らなかったけど

この番組は春と秋に放送されているんですね。

 

司会は安住紳一郎。嫌味無くさらりと進行されていました。

昔の映像と

スタジオでの生歌、カバー曲を交えての構成。

今回はスタジオでの歌が光った。

 

まず小林旭の「昔の名前で出ています」♪が

声量 貫禄 ガタイ!?共、圧倒的でした^_^;

フランク永井でヒットした「君恋し」を見事にアキラの歌にしてしまっていたのには

驚き。すごい表現力ですね。

大スターの気を

デジタル映像からビンビン発散させていた。

「熱き心に」も熱唱。

 

次になんとジェリー藤尾久しぶりに見たタキシード姿は

痩せて、哀愁ハンパ無くて

あの、うるさいくらい勢いがありあまっていたジェリーはいずこ??と

いった寂寥感あふれる雰囲気だったけど、

伏目がちに歌う「遠くへ行きたい」は鉄板!

歌声は力強く、聞いているうちに何処か遠くへ行きたくなった人多数出たと思われ!

永六輔(作詞)(こないだ「徹子の部屋」に出ていた:パーキンソン病と戦っておられるそうだけど

お元気だった)中村八大(作曲)最強コンビ

素晴らしさも思い知らされた。

 

そして

昨年亡くなったピンカラ兄弟:宮史郎の収録映像を見ながら号泣する

ライバルでもあり親友でもあった殿様キングスの宮路オサム

「女のみち」

「なみだの操」とファンが大喜びのラインナップ。

オサムちゃんは宮さんの分も頑張って欲しい!

 

五木ひろしは意外にも?上田正樹をカバー。

壮大な「契り」も良かったけど 

筆者は

「よこはまたそがれ」、「夜空」の山口洋子 平尾昌晃路線を歌って欲しかった!

斜めにマイクを持って、

”あの娘ぉ~~何処にいるのやら~~”♪   いいですよねえ。

 

段々と盛り上がった頃に、満を持して登場したのが!?

中条きよし!!

といえば、

「うそ」!

山口&平尾の黄金コンビによる名曲!

円熟の極み!!なんど聞いてもニクイ歌です。

これは女のプロ、山口洋子さんだから書ける詞ですね。

水原ひろしを

カバーした「黒い花びら」も素晴らしかった。

お変わりも無く・・・

オレ67!女に全然興味無いよ!」とすっぱりいっておられましたが^_^;

67にも、女に興味が無い風にも全然見えない色気で、

プロってすごいですね。

 

 

・・・・と、

印象に残った場面だけ書きましたが

他にもいい曲が沢山紹介されていました。

なんたって4時間の尺ですからね。

日本人の心を歌う歌謡曲はやっぱり残していきたいですよね。

 

でもこれらの歌の中に良く出てくる

「夜の世界で愛する男をひっそりと待つ耐える女」って

果たして現存するせいぶつなのでしょうか??

 


川島雄三の「とんかつ大将」見たがやっぱり最高

2013年03月26日 | ★人生色々な映画

「とんかつ大将」と言っても

とんかつ屋のオヤジではなく

主人公の佐野周二はとんかつが好物の青年医者である。

おんぼろ長屋に

艶歌師の吟月、三井弘次と部屋をシェアして住んでいる訳アリの「ボヘミアン医者」なのです。

(艶歌師=”街頭でヴァイオリンを弾き、演歌を歌って歌の本を売る=のちの流し”(大辞林より)

だそうで、作品中にも即興で歌うシーンがあります。いつ頃から

ヴァイオリンがギターに変わったのでしょうか。

風俗的に興味深いです。

ちなみに

吟月は羽織袴姿で、どこか明治時代の人のような古めかしさがあります。)

三井弘次の

独特のべた~~っとした声と飄々としたユーモアが良い

アクセントになってます。この人出てくると絶対面白いですよね。

 

****ネタバレ注意報*********

 

イケメンで手術の腕もいいけど、なよなよした秀才じゃなくて腕っ節も強く

思いやりはあるが言うべきことはぴしっと言い、曲がったことが大嫌いで

長屋の住人から厚い信頼を寄せられている「とんかつ大将」。

大将から恋人を取ってしまう親友役の徳大寺伸が

事業に失敗して、日々うつろに飲んだくれるろくで無しなので

より一層、とんかつ大将が爽やかに見えます。

 

川島雄三の作品はいつでも登場人物のキャラが飛び切り立っていますが

この作品も「喜劇」というよりも

細やかな人生の機微が散りばめられた

主人公の青春・成長物語、取り巻く人々の群像劇といえるでしょうか?

爽やかな後味が残る

ミントティーみたいな逸品になっております。

 

佐野を慕う居酒屋の女将角梨枝子()が、

気が強いお嬢さん医者の津島恵子()と喧嘩で啖呵を切るところは見もの。

角さんはフランス人形のような美貌に鶴のような首筋、ため息が出るほど色っぽいのに

大将にふられてしまう。タイプは違うけど津島恵子ももちろん綺麗で

和洋の美の競演が見られます。

 

酔っ払っているのに他人の病院でいきなり手術を始めたり

しかも火事で火の手が迫っているのに手術強行!や、

手術したてのホヤホヤの子供を乱暴に抱きかかえて運んだりとか、

角梨枝子のワルの弟を一瞬で改心させ、出頭させるなど

(直前に大暴れしていたのにもかかわらず)

漫画チックな場面は多々あるにせよ、

佐野の清潔で嫌味の無いキャラと

すべて丸く収まるハッピーエンドで

春先のモヤモヤ気分がすっきりすること請け合い。

 

ラスト、大阪の大病院のお坊ちゃまらしい大将は

父親の危篤によって長屋を去るんですが

この後、長屋に戻ってくるんでしょうか?

それとも大病院を継ぐことになるんでしょうか??と

ちょっとほろ苦いふくみを持たせて終わります。

 

音楽はハッピーな歌を書かせたら右に出るものはいない木下忠司。

また大好きな映画が増えた!!そしてとんかつ食べたくなった!

脚本 監督 :川島雄三 


「女優麗子 炎のように」感想

2013年03月08日 | ●面白かったTVドラマ

 見るか迷っていましたが、内山理名がやるというので

興味を持ちました。

 

登場人物は実名だし、

実際に大原さんの自宅を使っていることもあって

生々しいドラマだったあ。

 

ご本人が乗り移ったかのような

内山理名さんの渾身の演技が光っておりましたが

残酷で切ない話だった~~

 

普通の女でも上手く年を取るのは至難の技というのに

女優さんというのは孤独で因果な商売だな~と・・

 

関根あらため高橋恵子なんか、

お母さん役で見事に老け役やっちゃってるではありませんか。

「おさな妻」を考えると隔世の感!

大女優では

浅丘ルリ子様だって「デンデラ」で思いきった「老け」をやられていました。

京マチ子と山田五十鈴は濃い化粧で必殺に出ておられましたし

加賀まりこは早々と脇役やってます。

 

大原麗子はあくまでも主役で、

「麗子」でいたかったのでしょうか。

(吉永小百合がいますか・・・)

 

このあいだ「網走番外地 北海篇」で10代の頃の

男の子みたいなショートカットの麗子さんを見たばかりです。

可愛くて上手くて、だんとつに光っていました。

 

亡くなる少し前、

ワイドショーのレポーターが自宅をピンポンするのを見たことがありました。

ご本人がインターフォン越しに

「私、病気なんです~~」と言って泣き崩れて、

驚いたことには声が、あの甘い、ハスキーな声ではなく暗い、陰鬱な声だったのを覚えています。

そうとう精神的に参っていたのかと・・痛ましいです。

 

ドラマの中で

人が変わったように前田忠明にすごむ場面は圧巻でしたね。

これ、前田忠明が原作なんですってね。

映像で見る大原さんとのギャップに戸惑う迫力でした。

内山理名恐るべし!

 

生前好きだったという

孤独な鳥の詩はあまりに哀しくて、

頭にこびりついて離れません。

忘れないために書き留めておこう・・・

 

"孤独な鳥の条件は五つ

一つ 孤独な鳥は 高く高く飛ぶ

二つ 孤独な鳥は 仲間を求めない,同類さえ求めない

三つ 孤独な鳥は 嘴 (くちばし)を天空に向ける

四つ 孤独な鳥は 決まった色をもたない

五つ 孤独な鳥は しずかに歌う  

 サン・ファン・デ・ラ・クルス”

 

なんか実録ドラマってフクザツだわ・・・・

単なるドラマとして見られなくなってしまう・・・

 

出演作では、「居酒屋兆治」もいいですが、

吉永小百合、石坂浩二と共演した市川箟の「おはん」が好きです。

気が強くて情が深くて、飛び切り美しくて

麗子さんに重なるんですよね。

 

あらためて美しい女優、大原麗子様の

ご冥福をお祈りいたします。


若尾文子の「雪の喪章」

2013年03月06日 | ★人生色々な映画

水芦光子の原作を三隅研次が監督。

三隅監督にこんな女一代記もの?があったとは知らなかった。

 

石川県の金箔屋に嫁入りした妙子(若尾文子:美!)は

先代が亡くなった後もその妾を平気で出入りさせている

旧家の常識に唖然とするが

婚礼まもなく

夫(福田豊士)と女中のせい(中村玉緒)の「現場」を目撃して

ショックを受ける。

姑も半ば黙認状態で、

しかも相手は妊娠していることを知って絶望!

 

妻妾同居の奇妙な物語の始まりです・・・

 

憎いはずの妾に

「お前、いい子を産みなさい」などと、

聖女のような顔で言ってしまう

文子様の本心がまったくなところがこの作品のミソです。

(ここで ムカムカする女性は何万人も存在すると思います!)

 

返す玉緒も玉緒で

「私は奥様が好きです。旦那様よりもっと好きです。

ずっとお側にいさせていただきたいです」

などと言うじゃありませんか!!

(筆者のムカムカここで大爆発!!)

 

しかしそのやりとりの後、庭先に気味の悪い蛇が出現するところから

美しい文子様の心中にも魔物が棲んでいることを暗示させます・・

 

図々しく、ねっちり、しぶとい妾を

中村玉緒が好演しています。

さすが鴈治郎の娘ですね。

ぼんやりして見える妙子(若尾)とは対照的に

踏まれても生えて来る雑草のように

生き延びるための知恵に長けてると申しますか

生命力があるといいますか・・

美人じゃないけど男好きがするっていうのかわかりませんが

したたかなようで良く気がつく働き者で・・・・・

情が深くじっとりと湿った女なんですね。

 

せいの子が事故で亡くなった折、

遠くから眺めている妙子の口元に浮かぶ

微笑は、劇中で歌われる

「人の心はケンケン ケモノであったとさ~~・・・♪」 

という物騒な子守唄を思い出しぞっとするシーンです。

この曖昧な表情はさすが若尾文子!

 

店の元従業員で後に成功する天知茂は

妙子に思いを寄せながらもせいの世話もするなど、

貧乏からたたき上がっただけあってフクザツな男です。

こういう風に

登場人物全員、ひとくせあると申しましょうか

ただの善人ではないことを見せるところが

この作品の深みというか、いやらしさだと思いました。

 

舞台は冬の金沢。大雪の日に人の死を重ねることによって

ドラマチックな効果を生んでいますが

なんで男はこんなに勝手なんだ!と筆者終始ムカムカ(爆)

女も女だし、許すからいけないのだ!と激昂!

しかし三人はしっかりと妙な絆で結ばれているような風情なのが

大人の事情といいますか

私のような世間知らずの子供(嘘)には理解しがたい、深いところだと思いました。

 

あれこれあった挙句、み~んな死んでしまって

最後に残ったのは妙子。 

 

あまりメジャーではない作品ですが、

若尾文子は終始着物姿。

透き通るような白い肌にぷっくり唇でこのうえなく美しいから若尾マニア必見!


「CURE]再見

2013年03月04日 | ★恐怖!な映画

更新遅れましたが映画は見てました・・・・

いやこれは

何度見ても

怖い作品ですわ。

黒沢作品の最高峰であるのみならず

近代最強(恐)のサイコホラーといえると思います。

 

 

****ネタバレ注意*****

 

 

萩原聖人演じる間宮は、

誰もが密かにかかえる潜在的なストレスや黒い欲望を

関わった相手から

巧みに引き出し、「癒して」いく、「サイコパス」。

うじきつよしが「伝道師」と答えていましたが・・・

別に黒マントにピンクの髪?とかの変わった風体ではなく

無精ひげに平凡な服装、

茫洋としているだけに不気味。

その「癒し」は

「X」の暗示による猟奇的殺人の形で現れます。

 

ごくごくありきたりの光景の中で「唐突」に行われる

凶行は

ビミョウな均衡の上に成り立っている日常の危うさをも

思い知らされます。

 

がらんとした病室、殺風景な家、無駄に大きい廃屋。ゆらめくカーテン。

雨水がたまった床と

無機的な背景と音楽がすごいです。

黒沢映画では

」を駆使した映像が印象的ですが

部屋の隅から人物がぼ~っと浮き出てくるところとか

役所広司の頭の上に黒い雲みたいな影がたちこめる場面とか

細部が秀逸。フリッツ・ラングの不安な気分を起こさせる映像を思い出しました。

 

この作品で映画賞を総なめしただけあって

間宮と関わることによって変化・再生?する役所広司

素晴らしいです。緩急自在というか

抑えた演技からの爆発力がすごい。

生肉を投げつける場面の緊張といったら・・・・

 

映画の中で間宮が影響を受けたと言われている

実在の人物

ドイツの不思議な精神科医?メスメルを調べてみたら

患者を治療する際

人の気を狂わすといわれた楽器「グラス・ハーモニカ」を用いたり

動物磁気?を使ったり、 不思議なバケツを考案したりと、

とても興味深いがしかし深入りするとまずいことになりそうな人物でした(@_@)

 

この映画が公開された当時(1997年)は

まだインターネットが普及していない。

今だったらどんなホラーが?とあれこれ想像したら

自らの妄想でまたもや怖くなりました。(2000年の「回路」ではそのテーマ)

 

スティーブン・キング原作にも

マックス・フォン・シドーが

人の悪意を引き出す作品「ニードフル・シングス」があります。

あの場合ははっきりと、マックス=「渋いイケメン悪魔」でわかりやすかったですが

果たして間宮は?

 手を交差させた猿のミイラは、

X(捻じれ)の象徴だろうか???妻はいったい??

ウエイトレスはどうして??? 間宮の背中の火傷はどういう意味?など

謎に包まれた部分が多々あって

それがまた恐怖を呼び起こすのですが

もしもハリウッド映画にリメイクされたなら、

きっと

全てが「クリア!」に説明された理解しやすい内容になると思われます。(爆) 

 

この作品は間宮の存在自体が不気味でオカルト的であり

先を読めない緊迫感、がらんとした空気感が

黒沢ワールドならではのアート的でバッドなムードをかもしだしています。

 

1997年 黒沢清監督作品

 

日本映画専門チャンネルにて