邦画ブラボー

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GS特集

2007年02月20日 | ★TV番組
先週末に
テレビのGS特集を見た。

GS?

ゴールドマン・サックスのことではないです。

GS(グループサウンズ)が流行った頃、
私はまだ赤ん坊だったが(大嘘)
懐かしくてついつい見てしまう。
実はムード歌謡集も必ずチェックしているんですが。

あまり珍しい人は出ていなかったが、
先ごろ亡くなったアイ高野さんの代わりに
「好きさ好きさ好きさ」を熱唱した
マラカスの人のノリが凄くて、ちょっと感動してしまった。

Voの井上忠夫が抜けたブルーコメッツは
歌が超へたくそではあったが、
「すみれ色の涙」は名曲だと思う。

人生の山川超え、
どこか「つんく」風味が加わった真木ひでとが
“僕がひとりで寂しいときは~
 ロック踊って 泣き真似するの~~♪”
”オックス・クライ”(橋本淳作詞:筒美京平作曲)を唄う、
現実とのギャップにもめまいを覚えた。
詩がいいですねえ。

現役危ないミュージシャン風味が感じられるのは
ゴールデンカップスのルイズルイス・加部(スリリング)くらいだろうか。

NHKホールは三階席まで
楽しそうなシニアで埋まっていた。

もうジュリー(死語?)とかショーケン(死語?)とかも
いい加減に出てきて唄ってもいいんじゃないでしょうか。

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「新選組」(市川版)

2007年02月15日 | ★ぐっとくる時代劇
黒鉄ヒロシの同名漫画から
1200体もの人形を切り出して製作したという、びっくり映画

実写版に劣らぬ厚味のある作品で
市川崑監督ってほんとすごい。モチロン黒鉄ヒロシも。

最初は「漫画の新選組ねえ~~」などと
二の足を踏んでいたのですが、見出したら面白いのなんの。

これ、
アニメーションではなく、「切り絵劇」なんです。
人物対人物の場面が多く、
登場人物の表情の豊かさ・見せ方がとても楽しい。
光と影のバランスも絶妙で、
いまだかつて見たことが無い不思議な世界。
ラフなクロッキ~のような場面もある。

驚くほど臨場感があって
実写を見ているような感覚なんですね、これが。

斬り合いで体に刀が突き刺さる場面なども立体感が出ていて
モロ
痛そう。切腹も。う~ん・・いたたた


切り絵の魅力に見事ハマッた。うなった。

声の出演は
近藤勇 :   中村敦夫
土方歳三 :中井貴一
沖田総司 :原田龍二
山南敬助  : うじきつよし
芹沢鴨  :石倉三郎
清河八郎 :石橋蓮司
伊東甲子太郎 : 石坂浩二
お孝  :萬田久子
明里  :清水美砂
駒野 : 岸田今日子 ・・・など

一声聞いただけで顔が思い浮かぶこと必至の豪華キャスト。

伊東甲子太郎役の石坂浩二など
声に表情があるので、まるでそこにいるみたいなんですよ。

脚本も面白い。
伊東の出現により
土方が「おれの影が薄くなる・・」とひそかに思うくだり・・
思想の違いというより
最初から虫が好かない・・
歌舞伎役者のような伊東の容貌にもライバル意識を燃やしていたような
記述が興味深い。
ストーリーは
堅苦しくなく、すっ飛ばし(!)も多々ある。

圧巻はラストの
病床にある沖田総司が黒猫の幻に狂う、
スピード感たっぷりの場面展開。

「おのれ~~猫め~~~!!」

三条河原で打首になった近藤の亡霊か

化け猫か

幻か
闇か
鬼か
猫か
総司か猫か

亡者のような形相で
刀を振り回す沖田。

狂気を帯びていく形相は
怪談版での松橋登を思い起こさせたが
こちらも鬼気迫って(声は原田龍二)、よろしゅうおました。

市川監督はアニメーター出身だったそうだ。
美しい照明や大胆な構図、カット割りは
市川映画そのもので、
ファンなら誰でもうっしっし・・となることでしょう。

2000年 市川崑 監督作品
脚本  佐々木守 市川崑
原画・原作  黒鉄ヒロシ
撮影  五十畑幸勇  音楽 谷川賢作 美術  櫻木晶

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「雪之丞変化」

2007年02月13日 | ★ぐっとくる時代劇

衣笠貞之助監督が35年に大ヒットさせた作品を
市川崑監督が腕によりをかけてリメイクしたもの。

耽美派、もしくは自称耽美派、必見プログラム!
薄いベールの上にはらはらと金粉を散らしたような画面の中で
雪之丞の妖しい魅力が炸裂している。

長谷川一夫は50代。
ちょい年を取りすぎてるんじゃない?

NO NO NO・・・!

かえって
熟成された極上のワイン、青かびチーズのような
濃厚な味わいになっております。
大スターの芸に圧倒される。

全編、得もいわれぬ妖気と不気味さ(!)が漂う、
異色の作品と言えるでしょう。

物語は役者に身をやつし、親の仇をとる
雪之丞の一人称語りで進んでいきますが
その声を聞いてふと私の脳裏をかすめたのは
「二銭銅貨」やら「人間椅子」などの
かの、江戸川乱歩の小説だったのでございます。

心の中では恐ろしいことを考えながらも
虫も殺さぬ顔で相手を口説く雪之丞は・・

・・かなり病んでます

恐ろしい復讐計画をひそやかに語るねっとりとした声
女形の作り声のギャップもまた「変化」(へんげ)の妙といえるでしょう。
「亡霊」姿にもなりますが
これが楳図かずおの漫画実写版のような気色悪さであります。

雪之丞を恋い慕う娘、波路の若尾文子は
美しすぎてまぶしい。
そもそも女優になったきっかけは長谷川一夫に気に入られて・・
だったそうだから、
大先生と共演で、息も合っている。
二人の逢瀬は
パッと見て「女と女」に見えるけど
長谷川が「おばさん」なので、一層妙な味わい。

だが全体のトーンの中では違和感は無い
これも芸の深みのなせる業か。

雪之丞の取り巻きとして
山本富士子がべらんめえ口調の姉御、
長谷川一夫は「闇太郎」という遊び人の二役、昼太郎という若者に市川雷蔵。
他に市川中車、柳永二郎、中村鴈治郎 、勝新太郎などで
申し分の無い華やかさである。

長谷川一夫の袂の扱い、
扇子の持ち方、歩き方、型がきっちり決まっていて完璧だ。


松竹版も見たくなったが
光と影、シャープな構図の中で
煌びやかな衣装を身につけた長谷川一夫が躍る市川版も凄い。
(注:このほか東映の大川橋蔵版、美空ひばり版、東千代之介版も
あるそうだ)

江戸時代の、
陰惨な話なのに音楽が軽やかなモダンジャズを使うってところも
市川監督のセンスはハンパでは無い

1963年 監督 市川崑
原作 三上於菟吉
脚色
伊藤大輔 衣笠貞之助
撮影 小林節雄  音楽 芥川也寸志  美術 西岡善信

*映画の中のイイおんな*
若尾文子:この時、おん年30歳!
水もしたたるイイおんなっぷりを堪能出来ます。
唇の形がすごくイイということを
このたび確認いたしました。思いつめた表情が美しい!!

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「幕末」

2007年02月09日 | ★ぐっとくる時代劇
萬屋錦之介主演の「幕末」群像劇。
1970年 中村プロ。

武家社会の膿がたまっていた幕末、
大きな歴史のうねりが押し寄せようとしていた。

土佐藩での小さなエピソードが幕開け。
昔は身分によって履物も違っていたというのが驚き!
土砂降りの日、酔っ払いの藩士(山形勲)にぶつかった町人(大辻司郎)が
武士以外ご法度の足駄を履いていたために無礼討ちされる。
親切で足駄を貸した、いかにも弱そうな下級武士(片山明彦)も
やはりバッサリと斬られてしまう。

酔っ払った猛獣のような山形勲が、
長い包丁(!)を振り回し、怯える
町人や侍をざっくり斬る残酷描写がリアルだ。

騒ぎを聞いて駆けつけた若い侍(古谷一行・わっかあい~)が
槍で山形を刺し殺すも、深手を負い
かくまわれた先でこれも武士の面子を保つために腹を切る。

武家社会の矛盾や差別、こせこせしたしがらみ、
仲間同士の無駄な流血に反発する坂本竜馬(萬屋(中村)錦之介)の視線が
クローズアップされる。

文句を言いにいったはずの
勝海舟(神山繁)の人物の大きさに打たれ
「しぇんしぇい!」と頭を下げたり
モチ!長い長い殺陣シーンもあり、
熱い時代に似合う錦之介の大きな芝居が見られる。

仲間のいじめ?に合い切腹させられる近藤長次郎に 中村賀津雄、
中岡慎太郎:仲代達矢、 西郷吉之助(隆盛): 小林桂樹、
武市半平太 :仲谷昇 後藤象二郎;三船敏郎 とかなりな豪華キャスト。

桂小五郎役の御木本伸介が竜馬と論戦の場面で
体や声を震わすかなり力の入った芝居をしていてびっくり。
相乗効果か、テーマ故か、出演者みな力が入っている!

維新コーディネーター・総合プロデューサー、辣腕ネゴシエーターと、
今なら呼んでいたかもしれない竜馬の仕事ぶりと
世の中の激しい動きが駆け足でまとめられている。

みちょれ~みちょれよ~
だまってみちょれよ~
おらのやるこったぁ~おらしかわからんがよ~
よさこいよ~さ~こい

歌も上手い。

竜馬暗殺シーンは錦之介と
仲代達矢が殺られるのですから推して知るべし。
たとえ死ぬる!と言えども、
豪快にたっぷり魅せてくれる!

蛇足ですが絶世の美女だと思っていた
吉永小百合(竜馬の妻お良役)は、
めっぽうお歯黒が似合わないことが気になった。

1970年 監督  伊藤大輔
脚本 . 伊藤大輔 原案 司馬遼太郎
撮影 .. 山田一夫 音楽 佐藤勝 美術  伊藤寿一

*映画の中のイイおんな*
江利チエミ:お座敷の芸者役でちょっとだけ出て、
こぶしがまわった「よさこい節」を歌っています。
美女というわけではないですが
愛嬌があって可愛い。ここでは「粋」。
当たり前ですが、歌が上手~い。
元高倉健の奥さんでもありました。

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新選組始末記

2007年02月04日 | ★ぐっとくる時代劇
まず不安げな表情の藤村志保、斜め下のアップから
始まるところからして普通じゃない。
作品のスタンスがこのショットで示されている。

そして開けてみてびっくりの玉手箱!
新選組好きの方の血圧が、ぐわっとあがるような思い切った展開だ。

恋人(藤村志保)の反対を押し切り、
憧れの新選組に入った山崎蒸(市川雷蔵)の目を通して
驚きの内部事情がスピーディな演出で描かれる。
いわばダーク版新選組といったところか。

その暗部を一手に引き受けるのが
天地茂の土方歳三である!

近藤は堂々とした体躯、実直(そうな)風貌を生かした
表のイメージキャラクターとしての役割だ。
その裏で土方が手段を選ばず仲間を粛清、隊を引き締めていく。
とりわけたいへん残忍で卑怯極まりない手口の
芹沢鴨(田崎潤)襲撃はあっけに取られる。しかも
葬儀で美辞麗句を駆使し、棒読みの弔辞を読む近藤と、
隊員の前でさめざめと泣いてみせる土方に
全てを見ていた山崎(雷蔵)は唖然とする!

あまりのあざとさに筆者ここで爆笑。

冷徹な殺人マシーン沖田総司は
この作品では咳きひとつせずビンビンに元気だ。

長州の侍を拷問する天知茂は
新東宝の「憲兵シリーズ」を彷彿とさせる。

「いいか!オレは腹がたつと何でも出来る男だ!」
ゾォ~~~~~!!!

理想と違う隊の有り様にだんだんと不安になっていく山崎だったが
そんな気配が悟られ、自分の身も危うくなっていく。
クライマックスの池田屋事件は最高にドキドキさせる展開だ。
殺陣もリアルで目が離せない。

雷蔵の内面の演技はさすが。

そして恋人の無事を安堵しながらも、
軽蔑するような哀れむような淋しげな
「はあ~んそうだったのね」
と言っているような、
全てをひっくるめた藤村志保のラストの表情も素晴らしい。

1963年 三隅研次 監督作品
原作 子母沢寛
脚色 星川清司  
企画 辻久一
撮影 本多省三
音楽 斎藤一郎
美術 太田誠一

*映画の中のイイおんな*
藤村志保:「忍びの者」シリーズでもベストカップルだった
雷蔵・志保コンビ。一番しっくりくる組み合わせだと思う。
いちずな女性がよく似合っているなあ~~

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*新選組も出てくる幕末もの
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