邦画ブラボー

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「華岡青洲の妻」

2006年02月22日 | ★人生色々な映画
有吉佐和子の原作を
増村保造が撮ったらこうなるのかと興味深く見た。
脚色は新藤兼人。

名医華岡青洲が日本で初めて
麻酔薬を使った手術を成功させた影には、
嫁と姑の激しい人体実験合戦が隠されていたとは
お釈迦様でも知るまい。

増村監督はこの物語を
一人の男(市川雷蔵)を巡って生みの母(高峰秀子)
(若尾文子)が命がけで競い合うという
現代まで通じる永遠のテーマに置き換え、
ドライなタッチでテンポよく描く。

ナレーションが杉村春子。

ぎょっとするような手術のシーンや
動物実験の様子など大胆な演出が光るが、
お産のシーンやつわりのシーンも
なんとなくエッチ(死語)だなあと感じるのは先入観のなせる技か。

二人の大女優が共演しているので
さぞかし美しさも競い合っているだろう・・と思いきや、
若尾文子は完全に高峰秀子の引き立て役に徹している。

於継の完璧な美しさに比べ、加恵はおどおどと伏し目がちで、
若さだけが取り柄のようだ。
撮り方によって女優さんも変わるものだ。
終盤ようやく美しく撮られているのが皮肉。

だが、演技ではビリビリした渡り合いを見せていて
見ごたえあります。

森鴎外の名作「雁」も二人が演じているのを思い出す。
高峰版は豊田四郎、若尾版は池広一夫監督だった。

研究一辺倒ではなく情もある青洲を市川雷蔵が、
青洲の二人の妹を原知佐子と渡辺美佐子が演じている。
華岡家のすべてを見てきた妹の、
病床での独白は恐ろしい。

その渡辺美佐子は
去年NHKでドラマ化されたとき
ナレーションを担当し、
美術の西岡善信も生家をロケに提供するなどして参加していた。

争いあっていた姑と嫁だけど、
心底気持ちが判るのはお互い同士だったのではないか?

青洲の父を伊藤雄之助が演じているが
アクが強すぎて笑ってしまった!

監督 : 増村保造 原作 : 有吉佐和子 
脚色 : 新藤兼人 撮影 : 小林節雄 
音楽 : 林光  美術 : 西岡善信

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