邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「処刑の部屋」

2007年12月16日 | ★人生色々な映画
堅物で小市民的な銀行員の親父(宮口精二)と言いなりの母親。

川口浩が世間に反抗して
クールに生きる若者を演じている。

この主人公、かなり過激に無軌道。
学生ながら
仲間と組んで効率のいい金儲けをもくろんだり
女子大生(若尾文子)に睡眠薬入りの酒を飲まし犯してみたり。
女は一晩であっさりと捨ててしまうし
金にもさほど執着しているように思えない。
何かに苛立っているように無鉄砲に突っ走るのである。
しかも一匹狼の気概を持って。

若尾様はまだほっぺたもぷっくりした初々しい娘だ。
好きになってしまった男に冷たい言葉を投げつけられ、爆発してしまう。
川口×若尾と言えば増村保造の「妻は告白する」。
あの二人がここでも組んでいたとは。

市川崑 の視点は独特である。
特にカメラが捕える表情が秀逸だ。
ふられて呆然とする若尾のアップ、
川口は
しかめっつら、仏頂面、不機嫌な子供のような顔など百面相で、
誠にいい味が出ている。

石原慎太郎を市川崑 が撮るとこうなるのね~~と大変面白く見た。

好んで死に向かっていくような無茶苦茶をやりながら
いざ死に直面すると「ちくしょう!死ぬもんか!」と
またまた力を振り絞るのも若者の、いや人間の本能のなせる業なのだろうか。

川口浩、あらためてとってもイイ!と思った。

監督 市川崑
原作 石原慎太郎
脚色 和田夏十 長谷部慶次
撮影 中川芳久
音楽 宅孝二 美術 下河原友雄

ブログランキングへ応援オネガイシマス

「おやつ」:リアル三丁目

2007年12月06日 | ★人生色々な映画
昭和の子供のおやつ事情を
たんねんにドキュメントした珍しい記録映画。
教育・啓蒙目的で作られたものらしい。

戦後まもない東京の下町が映し出されている。
弟を背負い、妹と手をつないで遊ぶ子供、
歳もバラバラ、よちよち歩きの子もいれば年長の子もいる。
質素な洋服が当たり前の時代。女の子はおかっぱ、
男の子は刈りあげか、坊主である。

驚いたのは「都電」のレールの上を横断する子供たちが
裸足だったこと!!ほんとかい?

見るからにオエ~ッとなるような
ショッキングな菓子製造の様子(家内制手工業))が映し出され、
母親に向けて、不衛生な「買い食い」への警鐘、
手作りおやつの勧めなど説いているが
駄菓子屋に群がる子供たちはこの上なく幸福そうに見える。

私はこの映画よりちょっと後の世代だけど、
カンペキな駄菓子中毒
正統派駄菓子屋常連組だったひとりで、
学校が終わるや否や、ランドセルを放り投げ、
おばちゃんがひとり店番をしている店に連日駆けつけたものである。

一等の巨大なクロボ~(黒砂糖を固めた駄菓子)を当てるために
なけなしのこづかいをいくら投入したことだろうか。
私がひく「クジ」はいつも「スカ」ばかりだった。

この映画でも嬉々としてくじをひく子供のバックに
「紙を舐めるクジは大変不衛生です」とナレーションが入る。
そんなこと、ち~~とも知らなかったわ!

監督: 西岡豊/青山通春/菊地周

ブログランキングへ応援オネガイシマス