邦画ブラボー

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「砂の器」デジタルリマスター版

2021年01月10日 | ★人生色々な映画

 

「砂の器」を「日本映画専門チャンネル」

でフル再見し、

改めて今回 主人公の子供時代を演じた少年の演技に注目しました。

父親役、加藤嘉との別れのシーンは緒形拳ではなくても

もらい泣きです。

 

この子に一切台詞を言わせなかった野村芳太郎監督の演出は

素晴らしい。目が、哀しく鋭い眼差しがすべてを語っているんです。

 

加藤剛にも心の中を吐露する台詞は全くありません。

全て回想シーンと丹波哲郎の語り、そして音楽で表現されています。

 

この少年春田和秀君はその後・・?と調べてみたら

衝撃的なインタビュー記事をネットで見つけました。

中学3年で引退、そして子役だった華やかな(我々から見たら)過去を消すように

名前も平仮名に変えていたとか・・

 

椿三十郎、素浪人春夏秋冬、そして和賀英良もそうですけど

匿名 偽名を使うのには

その人にしかわからない理由があるものなのですね。

 

日本映画専門チャンネルにて

 

 

 

 

 


「夜叉」を再見

2013年05月27日 | ★人生色々な映画

いや~何回見ても

胸がザワザワして、ついついまた「夜叉」の記事です。

 

「ミナミの修治・夜叉の修治」の健さんが

格好良ければいいだけ

田中裕子の色香にやられてしまうのが

悔しい。

いい映画って見所が沢山ありますが

この「夜叉」も名場面、いやさ つっこみどころが満載です。

 

田中裕子も決して美人ではないのに

うまいというかなんとというか

女が見ると胸をかきむしりたくなるあざといシーンが沢山あります。

演出のわざとらしさも冴え渡っています。

雪に映える赤い番傘、赤い襟巻き

着物からのぞく白いうなじとくれば・・・

 

鉄板でしょう!降旗監督も罪。

 

起き抜けの田中裕子が長い髪を無造作に束ね軽く伸びをしながら

ハミガキをしているところへ(ウワ~~書いていても怒)

修治(高倉健)が船で通りかかり

取れたての魚をほおり投げてよこすシ~ンで

全日本女性の嫉妬心にポォッと火が点ります。

赤いセーターの袖を長めにひっぱりながら

ハミガキしている姿もぶりっ子なら、

魚を受け取って喜ぶ姿もブリブリですわ。(段々嫉妬でヤケクソになってきました)

妻(いしだあゆみ)に向かって

「夜叉がミナミを捨てたんは女のためやない。海や」などと言い放ったり

甘えた声で「奥さん嫌い」な~~んて言ってみたり

いしだあゆみのファンならずとも憤慨するところです。

 

そんな女に、こともあろうに健さんは・・・・(怒)

あき竹城と一緒に「悔しい~~」と泣きたかった女性は推定100万人超!

しかも女の頼みに乗って

ミナミへ行くとは(怒)

いしだ「なんでそこまでせんならんの」とは全女性の代弁です!

道頓堀のエレベーターに乗った修治がす~~っと上がっていくシーン、いいですけどね。

 

事が済んで帰ってきた夫を

涙目で笑って迎える妻いしだあゆみ。

 

出来すぎ~~!

私ならバスから降りてきた男を2、3発は殴るところでしょう(怒)

 

田中裕子に橋の上で出会った時もおとなしかったですね。

私が監督ならそこで格闘にしますね。

 

・・・・でもそれではせっかくのトゥーツ・シールマンスの音楽が似合いませんね。

 

健さんの台詞って少ないけれど

体全体での表現は誰も真似できない。ビートたけしと戦って

背中の「夜叉」が現れるシーン 鮮烈でした。

ねじり鉢巻、長靴姿の猟師、修治と

スーツに帽子姿でキメたミナミの夜叉のたたずまいが楽しめて

一粒で二度美味しい映画です。

日本海の猟師町の匂いも漂ってきそう。

 

この映画で大好きな場面のひとつは

シャブで異常なテンションになった田中邦衛が無意味にはしゃぐシーン。

これは何度見ても最高に可笑しい。

本編が終わった後日本映画専門チャンネルで高倉健インタビューが放送された。

明るくて屈託なくて真面目な素顔の健さんを見てまたファンになりました。

役は役だよね(爆)

 

●関連記事

「夜叉」

 


川島雄三の「とんかつ大将」見たがやっぱり最高

2013年03月26日 | ★人生色々な映画

「とんかつ大将」と言っても

とんかつ屋のオヤジではなく

主人公の佐野周二はとんかつが好物の青年医者である。

おんぼろ長屋に

艶歌師の吟月、三井弘次と部屋をシェアして住んでいる訳アリの「ボヘミアン医者」なのです。

(艶歌師=”街頭でヴァイオリンを弾き、演歌を歌って歌の本を売る=のちの流し”(大辞林より)

だそうで、作品中にも即興で歌うシーンがあります。いつ頃から

ヴァイオリンがギターに変わったのでしょうか。

風俗的に興味深いです。

ちなみに

吟月は羽織袴姿で、どこか明治時代の人のような古めかしさがあります。)

三井弘次の

独特のべた~~っとした声と飄々としたユーモアが良い

アクセントになってます。この人出てくると絶対面白いですよね。

 

****ネタバレ注意報*********

 

イケメンで手術の腕もいいけど、なよなよした秀才じゃなくて腕っ節も強く

思いやりはあるが言うべきことはぴしっと言い、曲がったことが大嫌いで

長屋の住人から厚い信頼を寄せられている「とんかつ大将」。

大将から恋人を取ってしまう親友役の徳大寺伸が

事業に失敗して、日々うつろに飲んだくれるろくで無しなので

より一層、とんかつ大将が爽やかに見えます。

 

川島雄三の作品はいつでも登場人物のキャラが飛び切り立っていますが

この作品も「喜劇」というよりも

細やかな人生の機微が散りばめられた

主人公の青春・成長物語、取り巻く人々の群像劇といえるでしょうか?

爽やかな後味が残る

ミントティーみたいな逸品になっております。

 

佐野を慕う居酒屋の女将角梨枝子()が、

気が強いお嬢さん医者の津島恵子()と喧嘩で啖呵を切るところは見もの。

角さんはフランス人形のような美貌に鶴のような首筋、ため息が出るほど色っぽいのに

大将にふられてしまう。タイプは違うけど津島恵子ももちろん綺麗で

和洋の美の競演が見られます。

 

酔っ払っているのに他人の病院でいきなり手術を始めたり

しかも火事で火の手が迫っているのに手術強行!や、

手術したてのホヤホヤの子供を乱暴に抱きかかえて運んだりとか、

角梨枝子のワルの弟を一瞬で改心させ、出頭させるなど

(直前に大暴れしていたのにもかかわらず)

漫画チックな場面は多々あるにせよ、

佐野の清潔で嫌味の無いキャラと

すべて丸く収まるハッピーエンドで

春先のモヤモヤ気分がすっきりすること請け合い。

 

ラスト、大阪の大病院のお坊ちゃまらしい大将は

父親の危篤によって長屋を去るんですが

この後、長屋に戻ってくるんでしょうか?

それとも大病院を継ぐことになるんでしょうか??と

ちょっとほろ苦いふくみを持たせて終わります。

 

音楽はハッピーな歌を書かせたら右に出るものはいない木下忠司。

また大好きな映画が増えた!!そしてとんかつ食べたくなった!

脚本 監督 :川島雄三 


若尾文子の「雪の喪章」

2013年03月06日 | ★人生色々な映画

水芦光子の原作を三隅研次が監督。

三隅監督にこんな女一代記もの?があったとは知らなかった。

 

石川県の金箔屋に嫁入りした妙子(若尾文子:美!)は

先代が亡くなった後もその妾を平気で出入りさせている

旧家の常識に唖然とするが

婚礼まもなく

夫(福田豊士)と女中のせい(中村玉緒)の「現場」を目撃して

ショックを受ける。

姑も半ば黙認状態で、

しかも相手は妊娠していることを知って絶望!

 

妻妾同居の奇妙な物語の始まりです・・・

 

憎いはずの妾に

「お前、いい子を産みなさい」などと、

聖女のような顔で言ってしまう

文子様の本心がまったくなところがこの作品のミソです。

(ここで ムカムカする女性は何万人も存在すると思います!)

 

返す玉緒も玉緒で

「私は奥様が好きです。旦那様よりもっと好きです。

ずっとお側にいさせていただきたいです」

などと言うじゃありませんか!!

(筆者のムカムカここで大爆発!!)

 

しかしそのやりとりの後、庭先に気味の悪い蛇が出現するところから

美しい文子様の心中にも魔物が棲んでいることを暗示させます・・

 

図々しく、ねっちり、しぶとい妾を

中村玉緒が好演しています。

さすが鴈治郎の娘ですね。

ぼんやりして見える妙子(若尾)とは対照的に

踏まれても生えて来る雑草のように

生き延びるための知恵に長けてると申しますか

生命力があるといいますか・・

美人じゃないけど男好きがするっていうのかわかりませんが

したたかなようで良く気がつく働き者で・・・・・

情が深くじっとりと湿った女なんですね。

 

せいの子が事故で亡くなった折、

遠くから眺めている妙子の口元に浮かぶ

微笑は、劇中で歌われる

「人の心はケンケン ケモノであったとさ~~・・・♪」 

という物騒な子守唄を思い出しぞっとするシーンです。

この曖昧な表情はさすが若尾文子!

 

店の元従業員で後に成功する天知茂は

妙子に思いを寄せながらもせいの世話もするなど、

貧乏からたたき上がっただけあってフクザツな男です。

こういう風に

登場人物全員、ひとくせあると申しましょうか

ただの善人ではないことを見せるところが

この作品の深みというか、いやらしさだと思いました。

 

舞台は冬の金沢。大雪の日に人の死を重ねることによって

ドラマチックな効果を生んでいますが

なんで男はこんなに勝手なんだ!と筆者終始ムカムカ(爆)

女も女だし、許すからいけないのだ!と激昂!

しかし三人はしっかりと妙な絆で結ばれているような風情なのが

大人の事情といいますか

私のような世間知らずの子供(嘘)には理解しがたい、深いところだと思いました。

 

あれこれあった挙句、み~んな死んでしまって

最後に残ったのは妙子。 

 

あまりメジャーではない作品ですが、

若尾文子は終始着物姿。

透き通るような白い肌にぷっくり唇でこのうえなく美しいから若尾マニア必見!


「南極料理人」

2012年04月29日 | ★人生色々な映画

たまたま合わせたチャンネルの

「世界で一番受けたい授業」

というテレビ番組で

「ごみを絶対出さない南極の料理」

の驚くべき

「しりとり:使い回し料理術」を見て

ショックを受けた!

 

たとえば

「おでん」を作るとします。

で、そのおでんが残ったら「炊き込みご飯」に(普通の家庭ではここまでですね)

そしてさらにそれがのこったら

「ドリア」に

ドリアが残ったら「コロッケ」に・・さらに・・・・それが残ったらさらに・・・さらにさらに

という具合にしりとりのように

延々と料理を展開していくのであります。

貴重な食べ物を絶対無駄にしない

究極のエコ料理術です。

 

創意に溢れたミラクル技を披露した料理人は

実際に南極で越冬体験を二度もこなした

西村淳さん。

ユーモラスな語り口ですが

底知れぬパワーを感じさせる方でした。

 

おりしも

「日本映画専門チャンネル」で西村さんの書籍を

元に作られた

南極料理人」をやっていたので

早速見る。

 

主演の堺雅人の

ふんわりと温かみのある役作りと

「かもめ食堂」を筆頭とする

一時期流行った「料理映画」のような

ほのぼのとした雰囲気は 今風 で楽しめたが、

なんとなく食い足りなさを感じてしまいました。

映画では

究極の「しりとり料理」が披露されなかったのも残念でした。

 

なんといってもご本人、

西村さんの全身からかもし出されるユーモアと

生物的に力(パワー)があるというか

「原始的でダイナミック」な印象が強烈でした。

そんな人だからマイナス50度、

昭和基地からさらに1000キロ奥地に入ったドームで

サバイバル出来たんだろうなと思った。

 

そこで原作である

「面白南極料理人」を読んでみましたところ、

ものすごい内容に抱腹絶倒!!

 

氏のサバイバル術伝授本

「身近なもので生き延びろ!」も早速買ったのは言うまでもありません!

面白くてかつ、ためになります!