邦画ブラボー

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木下恵介の「お嬢さん乾杯」

2013年06月19日 | ★愛!の映画

木下恵介監督

楽しくてちょっと切ない恋愛コメディの傑作。

BSプレミアムの

「山田洋次が選ぶ日本映画100本」で放送されました。

 

1949年公開。

脚本は新藤兼人

 

終戦直後の東京、自動車修理業で財を成した

佐野周二は没落華族のお嬢様、原節子とお見合いをすることになった。

佐野はもちろん一目惚れして、とんとん拍子に事は運ぶが

うまく行き過ぎる話の裏はやはり深い事情があった。

 

教養も品も無いが

お金を稼ぐことは得意な

佐野周二のキャラクターが最高。少々強引だけど

気が良く弟(佐田啓二)の面倒見も良い。

浮き浮き気分の佐野が

洒落たファッションに身を包んだ佐田啓二をバイクの後ろに乗せ

神宮外苑あたり(たぶん)を疾走するシーンが最高。

 

「兄貴、何処へ行くの?」

(佐野、手をハンドルから離し、ヒラヒラさせながら)

「天国さ!♪」

(佐田啓二慌ててしがみつく)

 

原節子は齢 29歳!あの「東京物語」よりも若く、

きらきらと光る瞳は宝石のようであります。

元華族のお嬢様役といえば吉村公三郎監督の

安城家の舞踏会」を思い出しますね。

これもやっぱり新藤兼人脚本でした。

お嬢様言葉を

こんなにもさらりと自然にこなすことが出来るのは、

彼女と、「美徳のよろめき」(こちらもやっぱり新藤脚本)の

月丘夢路が双璧だと思います。

そして母親役にはあの

東山千栄子ざましょう!!

これは鉄板、押しも押されもせぬ無敵の元華族の配役です!

並なみならぬ

ユーモアセンスが散りばめられていて

原節子の祖母の言動とか

佐野周二の表情など思わず笑ってしまう箇所多数。

かと思うとほろりとさせられたり・・楽しめます。

見事なカメラアングル、テンポのいい洒落た演出は

ほんとに驚嘆の一言です。

 

佐野の行きつけのバーのマダムには

黒澤明の「八月の狂詩曲」で主役を演じた村瀬幸子

佐野を励ましながらも

「私がもう少し若けりゃ、ほっときゃしないよ」などと言ってますが

そのわりにはそんなに色っぽくありません(爆)

 

身分違いの恋を周りの人々が暖かく見守り応援する様子は

あのヒュー・グラント、ジュリア・ロバーツの

「ノッティングヒルの恋人」みたいで

やっぱり木下監督って天才!

時代の先を行っていたんだなと再確認しました。

 

もちろん音楽は木下忠司。

灰田勝彦の歌声が高らかに「人生の善きもの」を歌い上げます。

後味も爽やかで希望に満ちている。

山田洋次ならずとも日本の恋愛映画のトップ10には入れたい映画です。

これも見てね♪おすすめ♪

関連記事

● 「安城家の舞踏会」

●「美徳のよろめき」(成金の夫役、三国連太郎がいいです)


「まばたきで“あいしています”~巻子の言霊(ことだま)~」夏八木勲追悼ドラマ

2013年06月18日 | ●面白かったTVドラマ

去年の秋、BSで放送された

夏八木勲さん主演の、

ある夫婦の愛をテーマにしたドラマ。

追悼番組として

地上波で再放送されたので録画して見る。

 

ある日突然、

交通事故で全身麻痺になってしまった妻(木内みどり)

と夫(夏八木勲)の「会話」・・・

発声はもちろんのこと、指一本動かせない妻が

唯一出来ること「まばたき」を

夫が機械で一文字づつ入力して成り立つ

二人三脚での「会話」は

事故から2年9ヵ月後、始められた。

 

「ゆきおさんをあいしています」

 

 衝撃だったのは

「まみいをころしてください」の文字だ・・・・

(ご夫婦はお互いをまみい だでぃと呼び合っている)

 

「ゆきおさんを とやまけん(富山県)いち せかいいち あいして あいしています」には

我慢の限界!涙が出た。

 

なんという辛く 苦しい しかし美しいドラマなのでしょう。

 

 驚いたことにこのドラマは実話を元にしている。

冒頭に紹介される写真の中には

木内さんに似た美人の巻子さんが元気いっぱいに微笑んでいる。

旦那さまの幸郎さんもお洒落でハンサムだ。

合間には幸郎さんご本人のインタビューがはさまれるという

ドキュメンタリーのような作品だけど、

まるでご本人か?と思うような夏八木さんの自然な演技に

ぐいぐいと引き込まれた。

 

同じく、まばたきでのコミュニケーションを描いていた

マチュー・アマルリック主演の フランス映画

「潜水服は蝶の夢を見る」を見た時は驚いたけど

このようなご夫婦が実際に日本にいらっしゃるのだということを

初めて知りショックだった。

 

夏八木さんは、理不尽な運命への怒り、哀しみを

抑えた演技の中に全部表現していたが

妻への慈しみにあふれたまなざしにはぐっときた。

日記を朗読する声も、

時には震え

時には穏やかに染み入るようで

変化に富んで見事だった。

時折妻からの目線が表現されるので

お二人に感情移入させられてしまった。

 

夏八木さんといえばカッコいい不適な面構えで

若いころは戦国武将とか鉄砲玉とか、

荒々しく男っぽい役が多かったけど

年を重ねて深~い魅力が増してきたように思っていた。

それは夏八木さんの生き様というか

内面の魅力が演技に出てきたからじゃないかと思う。

 

このドラマはこのうえなく優しくて強くてしかもダンディな

夏八木さんの晩年の魅力が詰まった傑作だ。

男の魅力はここにあり!の証明のようなドラマですから

たくさんの方に見ていただきたいと思いました。

人間の尊厳、夫婦の愛についても考えさせられました。

 

幸郎さんと巻子さんは現在も闘病を続けられているという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


降旗康男監督の「雪の朝に」

2013年06月16日 | ●面白かったTVドラマ

やっとPCが回復しました~~

バックアップをとっていなかった数か月分のデータ吹っ飛んだけど,

何事も諦めが肝心・・・

気を取り直して

作品いってみましょう!

 

高倉健とのタッグで知られる降旗康男監督には

テレビドラマの秀作もあることは意外と知られていないが、

60年代にはあの

「キイハンター」も手がけている。

そのころからの付き合いからか、

このドラマには千葉真一が登場しているんですね。

いしだあゆみ、千葉真一、宇崎竜堂出演の

「雪の朝に」

厳冬の北海道ロケもふんだんに盛り込まれ、見ごたえありました。

 

大病院の外科医千葉真一と、雇われマダムいしだあゆみは

不倫関係にあった。

千葉チャンには

北海道の無医村地区で診療所を守っている女医の妻、

佐藤オリエと息子がいるんですわ。

いしだあゆみの夫・宇崎竜堂は

浮気の相手を刺した罪でムショに入っていたが、とうとう出てきちゃうんですねこれが。

 

千葉真一 いしだあゆみ 佐藤オリエの三角関係プラス

出所してきた宇崎竜堂、

さらに宇崎のグレた妹が絡み、冬の風景の中で大人の関係はもつれにもつれます。

 

降旗監督は「夜叉」といい「駅・ステーション」といい

風土とドラマのマッチングがすばらしいですね。

北海道の厳しい自然に男女の愛憎がくっきり浮かび上がります。

いしだあゆみは一番乗ってるころで憂いがあって美しい。

佐藤オリエは夫を愛するどっしりとした正妻ぶりでさすがの貫禄だし

千葉ちゃんもまったく医者には

見えないながらも(爆)

セレブな雰囲気を漂わせた、優柔不断なロマンスグレーを好演しています。

これ千葉真一じゃなくてもよかったような気もしないでもありませんが

めったにこういう役をやらないので貴重!

 

そしてダメンズ= だめな男を演じたら右に出るものは無い 宇崎竜堂が

「あーあーソレ、やっちゃいけないでしょ」

ということを全部やっちゃって

期待を裏切らないダメぶりです。

ダメンズといえば

「夜叉」:田中裕子のヒモ・ビートたけし、

「駅・ステーション」:倍賞千恵子の男で指名手配犯の室田日出男

そしてこの宇崎は三大降旗ダメンズと呼びたい。

 

 ラストのたたみ込みといい、後味といい

よくある三角関係で終わらせないのがさすがです。

 

「雪の朝に」!何が起こったのでしょうか?

 

やるせなさが漂う大人のドラマ。

映画にも出来たような

重みを持った佳作でした。脚本は「座頭市」などの中村努。

 

日本映画専門チャンネルにて

1987年 テレビドラマ。

 

 

 


一年半待て: 夏川結衣版

2013年06月05日 | ●面白かったTVドラマ

パソコンがイカレてしまい、携帯から投稿しています。

「一年半待て」夏川結衣版見ました。言わずと知れた松本清張原作。

夏川さんの演技の幅に感嘆した。ブログも登場させるなどして時代性プラス。
弁護士役の市原悦子もたただならぬ雰囲気を醸し出しており、面白かった。

追記:昭和のかほりの「一年半待て」香山良子版はこちら

若き藤岡弘も出てますよ~~ん