邦画ブラボー

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「ルームメイト」

2016年02月21日 | ★恐怖!な映画

美女二人:

北川景子と深田恭子が共演しているサイコサスペンス。

テンポも良く、面白かった。

 

謎めいた深田恭子と同居することになった

優しげな面持ちの北川景子

ルームシェアして一緒に暮らす中、二人の絆は深まっていくが、

不可解な出来事が頻発し

さらに

恐ろしい結末へと場面は加速していく。

 

犬好きの人にはショックな場面あり:要注意

 

地味でダサイ衣装の北川に対し、

派手で色っぽい衣装の深田。

 

両名、甲乙つけがたい熱演で、今まで見たことない、

進化した深キョン、北川景子を見ることが出来ます。

 

不安をあおる不気味な効果音といい、

影、空間のゆがみ・・・妙な静けさが

黒沢清監督作品と似ているな・・と思ったら、

脚本:監督の古澤健は

黒沢清監督の「回路」の助監督を務めておられ、

「ドッペルゲンガー」では脚本も手掛けていることを知った。

 

ビジュアルでは、

犬を探しているお団子頭の姉妹とか、

高良健吾の仕事場兼住まいが

作品に微妙な味を加えていて印象に残った。

 

さらに、「植物男子ベランダー」で、

愛すべき中年ベランダーを演じている

田口トモロヲ

鬼畜の文化人役で、ほんのちょっとの出番ながら秀逸でした(^.^)

 

二人の美女ファンのみならず、

ドキドキしながら最後まで楽しめますよ♪

 

●日本映画専門チャンネルにて

追記:古澤監督関連、拙ブログの感想文

●ドッペルゲンガー

 回路

 どちらも怖かったです~~ ブルブルブル (^_^;)

 

 

 


「怪談:大奥あかずの間」

2016年02月19日 | ★恐怖!な映画

「あかずの間」と聞くだけで

ぞお~~っとしてきますよね。

二月の怪談・・・

寒中水泳のような

怪談鑑賞です。(^_^;)

「大奥あかずの間」は、

1972年に放送された、怪談シリーズの第8話。

上様を巡っての女の嫉妬に、

お世継ぎ争いが絡み合う、大奥ものど真ん中の内容と申せましょう。

 

重々しく、陰鬱な空気を演出しているのは

ナレーション(宝生あやこ)の力も大きい。

上様(勝呂誉)も終始憂鬱そうで暗いし、

全体の湿度は高めです。

 

上様の子を身ごもったお女中が不審な死を遂げ、

以来あかずの間となった女の部屋からは

夜な夜な鼓を打つ音が響くのだった・・・・

 

雷が鳴り響く夜、廊下の隅から

不気味な尼がにゅう~~っと顔を出すシーンや、

死んだお女中の墓を暴くシーンは悪趣味で、ケレン味ありあり。

上様の正室を演じた

元大臣、坂田藤十郎夫人扇千景の若き日の美貌と、台詞回しの美しさは

さすがでした。

扇千景が着ていた古代紫の着物や豪華な打掛は、昔の素晴らしい染めで、

刺繍もそれは美しいものでした。垂涎。

 

豪華な衣装も良かったのですが、この作品の面白いところは意外なラスト。

どんでん返しと申しましょうか・・・

 

ネタバレ注意報***********

 

陰謀が暴かれ、無残に殺された女の供養も終わったから

亡霊も成仏したであろうめでたしめでたし・・・と、

フツウだったらエンドマークとなるところですが!

この作品はそんな甘くなかった!

 

事件を暴いた主人公たちが大奥を出ようとしたところ、

あろうことか雷に打たれ、

あっけなく死んでしまうのでした。

まるで亡霊に地獄へ引っ張られたごとく・・・(T_T)

 

陰々滅滅とはこのことですわ。

 

この世に恨みを残し、化けて出るような亡霊は

簡単には成仏しないということでしょうか?

怨霊に同情、加担してもろくなことにならないという教訓でしょうか?

(「牡丹灯籠」の、亡霊と取引してむごい死に方をした長屋の夫婦を思い出します)

くわばらくわばら・・・・

体感温度は氷点下-!!

 

 

 

 

 

 

 


「CURE]再見

2013年03月04日 | ★恐怖!な映画

更新遅れましたが映画は見てました・・・・

いやこれは

何度見ても

怖い作品ですわ。

黒沢作品の最高峰であるのみならず

近代最強(恐)のサイコホラーといえると思います。

 

 

****ネタバレ注意*****

 

 

萩原聖人演じる間宮は、

誰もが密かにかかえる潜在的なストレスや黒い欲望を

関わった相手から

巧みに引き出し、「癒して」いく、「サイコパス」。

うじきつよしが「伝道師」と答えていましたが・・・

別に黒マントにピンクの髪?とかの変わった風体ではなく

無精ひげに平凡な服装、

茫洋としているだけに不気味。

その「癒し」は

「X」の暗示による猟奇的殺人の形で現れます。

 

ごくごくありきたりの光景の中で「唐突」に行われる

凶行は

ビミョウな均衡の上に成り立っている日常の危うさをも

思い知らされます。

 

がらんとした病室、殺風景な家、無駄に大きい廃屋。ゆらめくカーテン。

雨水がたまった床と

無機的な背景と音楽がすごいです。

黒沢映画では

」を駆使した映像が印象的ですが

部屋の隅から人物がぼ~っと浮き出てくるところとか

役所広司の頭の上に黒い雲みたいな影がたちこめる場面とか

細部が秀逸。フリッツ・ラングの不安な気分を起こさせる映像を思い出しました。

 

この作品で映画賞を総なめしただけあって

間宮と関わることによって変化・再生?する役所広司

素晴らしいです。緩急自在というか

抑えた演技からの爆発力がすごい。

生肉を投げつける場面の緊張といったら・・・・

 

映画の中で間宮が影響を受けたと言われている

実在の人物

ドイツの不思議な精神科医?メスメルを調べてみたら

患者を治療する際

人の気を狂わすといわれた楽器「グラス・ハーモニカ」を用いたり

動物磁気?を使ったり、 不思議なバケツを考案したりと、

とても興味深いがしかし深入りするとまずいことになりそうな人物でした(@_@)

 

この映画が公開された当時(1997年)は

まだインターネットが普及していない。

今だったらどんなホラーが?とあれこれ想像したら

自らの妄想でまたもや怖くなりました。(2000年の「回路」ではそのテーマ)

 

スティーブン・キング原作にも

マックス・フォン・シドーが

人の悪意を引き出す作品「ニードフル・シングス」があります。

あの場合ははっきりと、マックス=「渋いイケメン悪魔」でわかりやすかったですが

果たして間宮は?

 手を交差させた猿のミイラは、

X(捻じれ)の象徴だろうか???妻はいったい??

ウエイトレスはどうして??? 間宮の背中の火傷はどういう意味?など

謎に包まれた部分が多々あって

それがまた恐怖を呼び起こすのですが

もしもハリウッド映画にリメイクされたなら、

きっと

全てが「クリア!」に説明された理解しやすい内容になると思われます。(爆) 

 

この作品は間宮の存在自体が不気味でオカルト的であり

先を読めない緊迫感、がらんとした空気感が

黒沢ワールドならではのアート的でバッドなムードをかもしだしています。

 

1997年 黒沢清監督作品

 

日本映画専門チャンネルにて


林与一版「怪談 牡丹灯篭」

2012年10月16日 | ★恐怖!な映画

録画したことをうっかり忘れていて

シーズンオフの「牡丹灯篭」を見た。

牡丹灯篭というと

「夏もの」と自分で位置づけているので

秋も深まった頃に見るのは新鮮だった。

 

見てビックリ!!

憂いがあって美しく、色気がある林与一の新三郎には

心底陶酔させられた。

 

周囲の進言を受けて、

一度は亡霊であるお露を忌み遠ざけようとするが

思いを断ち切れずに自ら進んでとり殺されてしまう。

狂気じみた恋狂いの話である。

他の作品と違うのは

お露が新三郎の亡き妻に瓜二つ・・というところ。

つまり

ひとりの女の魂が死に変わり、生まれ変わり新三郎にとりつくという

ぞぞぞ~~とする筋書きなのである。

 

お露は「魔界転生」でも将軍をメロメロにした魔性の女として名高い?

佳那晃子なので、文句無しに

テンション高まります!

思わずこちらもあっちの世界に引き込まれていくような

圧倒的な滅びの美があった。

これぞデカダンス!

 

夏の長屋の風情も楽しめた。

新三郎を気遣う伴蔵に谷啓。

幽霊との取引は

省かれていた分、二人の悲恋にスポットが当てられていた。

他に殿山泰司、山形勲。

忘れていけないお露の付き人、

お米には八木昌子。お米ってなにげに重要な役割。

お露が弱気になると励ましたり、新三郎を脅かしたり

別作品では伴蔵と取引してお札を剥がさせる、

逢引の時はそっと障子越しに控えるとか

なかなかのやり手でなければ勤まりません。

ガードマン兼マネージャーみたいなもの?

 

八木昌子さんは大島渚の「悦楽」でデビュー。

寂しげな風情で薄幸の女性を演じることも多いけど

官能的な役など幅広い役をこなす印象的な女優さんですね。

それにしましても、

男に取り付いてあの世までひっぱっていく女も女だけど

とりつかれてしまうのも無理ないかもというくらい

凄みのある色気を持つ林与一の演技には肝が冷えました!!

歴代新三郎役者の中ではダントツと断言します!!

 

周囲がなんと言おうとも

恋が成就できて良かったね!と思える、恐ろしくも美しい美しい物語でした。

フジテレビ長編時代劇ドラマ

時代劇専門チャンネルにて

関連記事 「魔界転生」(深作版)

 

 

 

 

 


「江戸川乱歩全集:恐怖奇形人間」

2010年08月19日 | ★恐怖!な映画
観たいと思っていながらなかなか見られなかった
映画ってありますよね。

すごいすごいという噂が噂を呼び、
頭の中が想像ではちきれんばかりになっていた作品。
神保町の古書店で特集本を見かけたときも、
映画を見るまでは手を出すまいと目をつぶったものでした。

今回は渋谷の「シネマヴェーラ」
「石井輝男 怒涛の30本勝負!!」での嬉しい上映。

席に着くや
館内を流れてきたのは健さんが歌う
名曲
「網走番外地」だ!
いやがおうでも気分は高まる!

さて!伝説のカルト作品は冒頭から飛ばしていく。
いつのまにか精神病院で半裸の女患者に
取り囲まれてしまっている吉田輝雄

主人公が自らの置かれた環境を把握出来ていない、
前置き無しの問答無用シチュエーションは
先ごろヒットした人気ホラー「SAW」みたいだ。

なぜここに俺はいるんだ!

あの子守唄はなんだ!

私だってわからない!(ブラボー)

舞台は大正時代、
看守が高英男で滑り出し快調!

ゴー!ゴー!GO!

謎めいた登場人物が錯綜する中、
サスペンスタッチで話は進んで行く・・
江戸川乱歩の作品を映像化する場合、
ノスタルジックで耽美的なイメージを強調する向きも多いが
石井輝男作品はもっとストレート、かつダイナミック、
そしてチープな表現で迫ってくる。

誰しもがまだかまだかと待っていた奇形人間の島は
中盤になって登場する。

岩場でのたうちまわる土方巽 がお出迎え&ナビゲーター。

キタ~~~!!

その王国はぱっと見、竜宮城のように豪華絢爛、華やかだが
危険かつ、ツボにはまると大爆笑も誘う魅力があった。
おどろおどろしいクリエーチャーたちは哀愁があって
奇妙な味わいが・・・。

奇怪なシャム双生児のかたわれは近藤正臣だったらしいが
顔がつぶれていてわからなかった。

たけり狂った猛獣人間のたたずまいもさることながら
檻に入れられ、草を貪り食ってるヤギ人間?といいますか
その体つきからしてたぶんヤギ婆さん?はもうちょっとじっくり見たかったです。

ドロドロ描写や
土方巽のまがまがしい台詞まわしと奇妙な動作とは裏腹に
筋は真っ当な愛憎復讐劇で、
最後の最後には泣かせも入ったのには唖然とした。
(ここまでむちゃくちゃやっといていくらなんでも泣きはムリ)

脇役では小池朝雄がエキセントリックな女装をしたり(脚が意外に綺麗)
人間椅子になったりと大爆発で、普通では飽き足らない
映画ファンを満足な気分にさせてくれた。
由利徹と大泉滉のお笑いコンビも最高。

爆発といえばラストの花火大爆発は観客を呆然とさせるに十分で
このシーンが伝説のカルトとしての名声を不動のものにしているのかと思いました。

だがしかしこの作品の凄さは
映画館を出てからわかった。

38度の猛暑の中
街を闊歩する
土方巽のメイク以上に個性的な顔、
ばっさばさの髪を逆立てた半獣半人のような若者、
ぴょんぴょんはねながら歩く雪駄履きの老人!

渋谷を歩く人たちが皆映画そのもの、
あの島の住人のように見えたのだ!

1969年
監督:石井輝男
脚本:掛札昌裕、石井輝男
撮影:赤塚滋
美術:吉村晟
編集:神田忠男
音楽:鏑木創

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