邦画ブラボー

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若尾文子の「清作の妻」

2015年01月10日 | ★愛!の映画

長年見たかった作品を

ついに

2015年見ることが出来、感涙。

たいへんな衝撃作でした。

 

田村高広扮する夫に対する

ものすごい愛情と執着は、

「妻は告白する」(61年)で、

ずぶ濡れで

川口浩の職場へ行って迫るシーンを彷彿とさせる、

いやそれ以上の迫力。

 

捨て身、忘我、滅私の権化と言えるでしょう。

 

美しく色っぽいおかねは

(言っときますが、ものすご~~~く綺麗です!)

貧しさゆえ

年寄りの(殿山泰司)妾をしていましたが、

殿山のダンナは風呂上りに倒れ、あっけなく昇天。

 

厄介払いの手切れ金をもらって、

実家がある貧村に戻るのですが

村人に

妾をしていたあばずれ女と蔑まれ、村八分に合うのでした。

 

閉鎖的な村社会がえぐいまでに描かれ

文子ちゃんの孤独が浮き彫りになります。

そこへ村一番の優等青年である清作(田村高広)が戦争から帰ってきます。

日清日露の時代、

兵隊に志願する若者はこの時代、村の誉れとしてもてはやされておりました。

二人は出会い、離れられない関係になって

周囲の反対を押し切り結婚するのでした。

生まれて初めて掴んだ幸せを

絶対に逃したくないおかねは、 狂おしいまでに激しく夫を愛します。

(激しすぎて、見てるほうも何か起きそうな不穏な予感が・・・・)

 

だけど、悪い予感が当たり・・・そんな幸せも長くは続きませんでした。

 

再び召集令状が!!!

愛する夫が死ぬかもしれない!!!そうしたらまたひとりぼっちになる!

 

おかねは

苦しんで苦しんで苦しみぬきます。

 

見てるほうも息が詰まるぅ~~~!

 

思いつめた人間というのは恐ろしい。

そして見送りの儀式の日、

清作の妻

誰もが予想だにしない、行動に出るのです!!!

このくだりがサスペンスタッチでハラハラドキドキ・・・

 

若尾文子は美しいだけではなく

すごい表現力をもった女優さんだ!と今更ながら感嘆しました。

リンチシーンあり。思い切った演出。

 増村保造、我らが文子様になんということをさせるのでしょうか!

 増村監督らしく

不幸・・不幸 ↗ 天国 ↘ 不幸 ↗

メリハリはっきりしてます

 

ラストも予想だにしない展開で、

これまたお見事!

絶対に幸せを逃すまいとする若尾チャンの

アカデミー級の名演に目が覚めた新年でした!

夫役が名優の田村高広なのも大成功。

しつこさ、いやらしさというものが全くなく、

あっと驚く結末に説得力があり、余韻が残りました。

 

 

 

増村保造監督 1965年

日本映画専門チャンネルにて