邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

武満(2)日本の音の探求

2007年03月20日 | ★TV番組
今日も放送されますが
まず先週の感想を。

武満徹が琵琶と尺八をオーケストラに加えた
「ノーヴェンバー・ステップス」をひっさげ
ニューヨークでデビューしたときのエピソードが興味深かった。

尺八奏者の方は邦楽の名誉をかけて
まさに「命賭け」で臨んだとか。

小沢征爾と共に乗り込んだはいいが
尺八も琵琶もニューヨークフィルのメンバーに
最初は「笑われた」そうである。
あまりに異質な音だったためか。

だがコンサート初日、観客の熱烈な支持を受けて大成功を収めた。

時代劇で刀を抜いたときの「殺気」を音で表す・・

ふすまを開けたその瞬間の「間」を音で表す。
その場の空気を音で表す。
篠田監督の解説は的を得ていると思った。

「切腹」「暗殺」のシーンが引用され、
邦画ファンとしては感激!

池辺晋一郎氏がアカデミックでないすごさ・・を語っておられた。
それは正規の教育を受けていない武満の
原始的な音へのアプローチ、感覚を差していたのだろうが
そんなに強調しなくても・・と思ったのは私だけだろうか。

スナップ写真の中の武満は
いつでも遥かな音に耳を澄ませているように見える。

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「愛妻物語」愛妻へのレクイエム・新藤兼人(2)

2007年03月16日 | ★TV番組
愛妻・・と聞けば

乙羽信子?・・と思われがちだが

それは監督の無名時代を支えながら
成功を見ずに結核で
この世を去った久慈さんという女性のことだった。

宇野重吉と乙羽信子が主演した「愛妻物語」を
私は見ていないが、
この頃のことを土台に製作されたものらしい。

無名時代のエピソードとして
溝口健二監督に言われた有名な言葉がまたまた引用されていた。

シナリオを見せにいったところ、
「これはシナリオではありませんね。ストーリーです」
と言われ途方に暮れる宇野重吉のアップ!
映画では滝沢修が溝口を演じているのですね!

よっぽど監督、骨身に沁みたとみえ、
何べんも何べんもこのことを述懐している。

「心臓をつきさされたような気がしましたよ」

だがこの言葉が新藤を
死にもの狂いの勉強に駆り立てたのも事実。

くじけそうになった心を
支え励ましたのが妻でありスクリプターだった久慈さんだった。
つまりこの二人がいなかったら
新藤兼人監督は存在しなかったことになる。

この話は本でも読んだが
久慈さんはショートカットが潔い美人で、
監督もなかなかやるな~~と思った。

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新藤兼人「我が仕事人生」

2007年03月13日 | ★TV番組
お母さんにあやまりたい・・
94歳現役監督の目から大粒の涙が
ポロリと零れ落ちるのを見てちょっとショック!
インタビュアーのお姉さんも
思わずもらい泣きしてしまっていた。

人の良い父親が借金を肩代わりしたことから
新藤家は没落。
一家は離散し、末っ子の監督と父母は土蔵で暮らしていたそうだ。

幼い日お金が無くておもちゃを買えなかった
母を「蹴った」ことへの後悔が
あの!人間の業を
えぐるだけえぐった作品を書き、撮った
新藤兼人の心を占めていたなんて。

「お母さんに手をついてあやまりたい」
監督は少年のように泣いていた。

極貧の生活の中、黙って死んでいった母親への思いから
傑作低予算映画「裸の島」は作られた。

まずこの映画、台詞が無い。

小さな島で暮らす殿山泰司と乙羽信子夫婦が灼熱の太陽の下、
黙って水を汲み、汲み、汲み続ける。

淡々とした日常が描かれているのだが
じりじりと胸をしめつけられるような緊迫感がたまらず、
夫婦が幼い息子を亡くす場面にいたって
とうとう私はギブアップしたものだった 爆)

今回、乙羽演じた主人公の名前が
新藤監督の母の名前「トメ」であったことを初めて知った。

親が出来なかったことを子供が成し遂げる。
監督の場合
父親の影は恐ろしく薄い。

何も言わずに死んだ母の思いが息子に乗り移って
迸るように作品へと昇華したのかもしれないですなァ。

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武満徹「音の森への旅」

2007年03月10日 | ★TV番組
いやあ NHKの「知るを楽しむ」
とっても楽しんでますが、

武満徹編には泣きました。

あ 間違えた。

泣いたのは「新藤兼人」特集でした。

武満徹編は
ナビゲーターが篠田正浩監督なので
映画の裏話などが聞けるかもと期待してましたが、
予想以上に面白かった!

天才たちが呼応しあったエピソード:

日比谷音楽堂で
無名だった武満の「弦楽のためのレクイエム」を聴き、
感銘を受けた篠田監督が
鎌倉に向かう終電の中でひと際変わった青年を目にする。

それは「この世界の人間ではないような男」で、
直感的に「あれは武満徹に違いない!」と思ったそうだ。
後日スタジオで黛敏郎に紹介されたのがまさに其の武満徹だったという
嘘のような奇跡のような話に驚いた。

・・「乾いた花」で脚本を寺山修司に依頼したとき
二人共、音楽は武満徹にしよう!と一致し興奮したそうだ。
寺山にとって映画は「音楽」だったという言葉も印象的だった。

番組には故武満徹の奥様も登場した。
若い頃から無類の映画好きだった二人は、
お金が無くてもなんとか工面して、映画館に通ったという。
映画を愛した天才だったからこそ
素晴らしい作品が出来たのだろうな。

「乱」の音楽のことで黒澤監督とぶつかり合った話も興味深かった。
武満徹を支えてきた奥様は大変聡明な方で、
素晴らしい理解者にも恵まれた芸術家は幸せだったと思う。

武満にとって映画は思う存分音の実験ができる場所であった。
その音は時に映像に共鳴し、時に侵略し
時に映像が音をはねつける・・・
篠田監督もまた音楽をよく愛し、
理解している方だとあらためて思った!

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通崎睦美の「京都きもの玉手箱」

2007年03月09日 | ★TV番組
このところ何から書いていいやら迷うくらい
見るもの聞くもの面白いことだらけなのですが
まずはNHK”知るを楽しむ・歴史に好奇心”
「京都きもの玉手箱」のことを。

マリンバ奏者であり、
グレートな銘仙・アンティーク着物コレクターでもある
通崎睦美さんをナビゲーターとして、
きものの歴史を京都にスポットをあてて巡る企画。

昨夜は、鳥居本幸代さん(京都ノートルダム女子大学教授)に話を聞きながら
十二単衣を代表とする、
平安朝のお洒落から日本人の美意識を探るという内容。

冒頭に京都の街をカラフルな着物に帽子、
黒い長羽織を着て軽やかに自転車のペダルをこぐ
通崎さんが登場する。

個性的で「不思議モダン」な姿は
古いものと新しいものが交錯する京都にぴたりとあっていた。
大胆で斬新な柄を着こなし、自分のものにしてしまう
パーソナリティの強さに感じ入る。

お話をしてくださる鳥居本さんはグラデーションの効いた青いお着物。
変わった色の配置のため、
まるで片身代わりの着物のように見えた。

可愛らしい日本人形のような容貌の
通崎さんが十二単衣を順番に着せられていく。
最初は白。その上に緑、と
色がかさねられていくにつれ格が上がっていき、
最後には崇高に光り輝く雅な平安の女性が出来上がる。
その工程がドラマチック。
さらに、
日本人は衣裳の中に季節を表す、
洗練された美意識を持っていたというくだりにも感動した。

でも重そう。

いつものボブヘアがまた妙な効果を出していた。

ちょこっとアンティークコレクションも見せてくれたが
色・デザインが斬新なアートのよう~!
なんと箪笥10棹以上、300~400枚ほどお持ちとか?!

これを
垂涎
言わずしてなんとしよう。

次回「武家奥方のモード革命」が楽しみである!
江戸時代、京の奥方のファッションとは??

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