邦画ブラボー

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「アカルイミライ」

2006年02月14日 | ★恐怖!な映画
黒沢清監督が描くアカルイミライとは?

都会に住む若者の今の気分を切り取る。

他人とはわかりあえるわけがないという
前提を踏まえたうえでの
世代間のギャップが大きな軸となっている。

守(浅野忠信)と雄二(オダギリ・ジョー)は
おしぼり工場で働いている。
会話は最小限だけど、なんとなくウマが合う二人。

雄二は他人とコミュニケーションがうまく出来ない。
というか、しない。

仕事が終わるとゲームセンターで
黙々とシューティングゲームに興じる。

というか、ただ、する。

守は他人の生死どころか、
自分の生死にすら関心がなさそうに見える。
唯一こだわるのは、飼っているクラゲの生長だった。

ゆらゆら漂いながら
近寄るものを毒の針で刺すクラゲ。

ずけずけと他人の領域に踏み込んでくる工場長と
押し付けがましいその妻、あまりにもくだらない日常・・
憎しみは突然爆発する。

守の父親(藤竜也)と雄二の奇妙な関わり合いは
我々をちょっとだけほっとさせる。
だがそれもつかの間だ。

起承転結で構成されるストーリーではない。
すべての事柄に理由があるわけはないのだから。
主人公の行動は唐突ゆえにリアルで、だから共感してしまう。

真水に慣らされたクラゲは
増殖して美しい光を放ったまま
生まれ育った海へと向かっていくのだ。

イメージの映像表現が強烈だ。

エンディングは黒沢監督が好きな人ならにやりとするだろう。
ラスト、表参道を歩く高校生の足元は
ふざけながら、徐々に前へ進んでいく。

この映画のウィークポイントをあげるとすると、
登場人物がかっこよすぎることかな。
だけどそれもひっくるめて黒沢映画なのかな。

藤竜也はガラクタ修理屋にはとても見えないし
オダギリ・ジョー、浅野忠信は洋服が似合いすぎる。
りょうもモードなファッションの弁護士だ。

衣装に強烈な主張があるので、なんなんだこれはと
思ったらクレジットに北村道子さんの名前があった。
黒沢北村コンビは今後も続くのだろうか。
セッションのようで刺激があった。

浅野忠信もよかったけど、
オダギリ・ジョーの今後が特に楽しみです。

カテゴライズ出来ないけど
「人間ドラマ」ではない。やはり「恐怖」に入れちゃいます。

2002年 黒沢清 監督作品 脚本 黒沢清 撮影: 柴主高秀
美術: 原田恭明 衣装: 北村道子 音楽:パシフィック231

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