邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「妖怪大戦争」

2006年08月14日 | ★妖しい映画
唐突な展開。

「帝都物語」から出向してきた加藤(豊川悦司)による
「今こそ立ち上がるときが来た」の声で
どうしてかわからんがわらわらと出てくる妖怪たち。
加藤はどうやら悪側のリーダー、みたいな

加藤に深くからめたら面白かったような気がするが
そしたら「帝都物語・妖怪大戦争編」になってしまうか。
面白そうですね。爆)
荒俣先生の脚本ならすごかっただろうが。

いじめられっこタダシがシンデレラ城の騎士のように
選ばれしものとして選ばれ、妖怪ツァーに赴く、みたいな。
スピード感あるも後味あくまで軽く。

妖怪たちが怒涛のように出現する中で
神木くんは終始「うおぉおぉぉ~~!!」と驚いてみせるけど
13億円もかけて響いてくるものがないのは
さびしい。

菅原文太のおじいちゃんは不思議な味を出していたが。

水木しげる、宮部みゆき、京極夏彦など錚々たる方々が
名を連ねているというのに、
妖怪的情緒が感じられないのは残念なことだった。
そういうものこそ次世代に伝えたいものだ。

ちんまりとしたギャグがそこここにほどこされている。
このお約束ギャグセンスが楽しめた大人は
楽しめたのではないでしょうか。

*映画の中のイイおんな*
栗山千明:脚、ながっ~~!9・5頭身時代到来か。
CGかと思いましたよ。
神秘的な雰囲気の千明ちゃんに
ぴったりの役柄でしたね~予告篇見たときにも
一番インパクトがあったかな~

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「藪の中の黒猫」

2006年07月04日 | ★妖しい映画
乱世の世、主人の留守を守っていた
姑(乙羽信子)と若い嫁(太地喜和子)は
野武士たちに襲われ、家は火に焼かれる。

焼け跡の二人の死骸には黒猫がまとわりついていた・・・
やがて、夜な夜な妖しい女が羅城門に現れ、
喉を噛み切られた侍の無残な姿が晒されるようになる。

色仕掛けで侍の生き血を吸う、吸血化け猫の話と
「羅生門の鬼」をミックスさせた怪奇な物語。

最初にやられるのが、
姑嫁を襲った野武士のひとりで見るからに悪そうな戸浦六宏。
酒を飲まされたあげく、寝屋に引き込まれて
調子付いていたところをがぶりとやられる。

太地喜和子・このとき25歳。抜群に色っぽく、あんなのにお酌をされた日には
誰でも骨抜きになってお陀仏だろう~恐ろしくも悲しい女である。
体中から発散されるむっとするようなお色気は
凄絶で、
中村吉右衛門との絡みは、新藤作品の中でも
最高にセクシーな場面ではなかろうか。

かたや、ダーティーな妖怪面を請け負うのが
汚れ役なんのそのの乙羽信子だ。
竹林に不気味に建つ幻想的なセットの中で
踊り、飛ぶ!能の舞もなんなくこなす、芸の幅の広さよ。

竹林が、妖しく美しい。
 
とても面白かったが、ただ一点
吉右衛門の台詞がなぜか一貫して
「お母さん!あなたは妖怪なのですか?」という具合に
現代風だったのは、なにか意図があったのでしょうかねえ。

1968年新藤兼人 監督作品
シナリオ ...  新藤兼人
撮影   黒田清己
音楽 林光
美術 丸茂孝 井川徳道
メーキャップ   小林重夫
衣裳考証 上野芳生
装飾考証 高津年晴

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「魔界転生」(深作版)

2006年07月02日 | ★妖しい映画
”エロイムエッサイム”・・我は求め訴えたり!!

公開当時大ヒットを記録し、流行語にもなり、
もはや語りつくされている感がある1981年版ではあるが、
あえてもう一度しつこく観てみたい。
今秋は舞台化されるみたいだし。

無念の死を遂げた天草四郎時貞は
もはや神をも呪う魔性のものとなっていた。
徳川幕府転覆を図るため
これぞと思う魔界衆の「ヘッドハンティング」の旅に出る。
ひとりひとりの登場の仕方も抜群に魅力的だ。

天草四郎時貞:沢田研二(リーダー)
宮本武蔵:緒方拳
細川ガラシャ:佳那晃子
宝蔵院胤舜:室田日出男
柳生但馬守:若山富三郎
霧丸・半分魔界衆:真田広之

迎え撃つのは、待ってました!の柳生ソニーチバ十兵衛である。

構成に無駄が無く、
けれん味たっぷりながらも行き過ぎず、
いくつもの山場を作りながら、
息もつかせず一気に煉獄のクライマックスにもっていく演出はさすがだ。

などと言うような賞賛を浴びた作品ではあるが、
まだ言い足りていないものに役者の
「メーキャップの素晴らしさ」がある。

日本映画におけるメイク担当の方々の
偉業はもっと讃えられてもいいと思う。
クレジットに個人名は無い。

人形のように青白く美しい天草四郎(生首含む)、
柳生但馬守(若山富三郎)は不気味。
宝蔵院胤舜(室田日出男)
はメイク無しでもいけると思うが、
浅ましい化け物ぶりが際立った(御免!)

ひとりだけ浮くか?と思われていた緒方拳も、
作りこんだ般若面キンキラ目玉で、見事キワモノ・・
御免!・・
異形の魔界衆のひとりに成り果てていた。

だが、しかし、
最も素晴らしかったのは将軍家綱(松橋登)をたぶらかし、
一ヶ月間寝所に封じ込めせしめた
細川ガラシャ(佳那晃子)の退廃的な妖艶魔女メイクだ。
この方は素晴らしかった。
江戸城炎の中の狂乱は山場だらけのこの映画の
大きなハイライトシーンであろう!
「どきゃ~~!!」(=”どけ”の意)と叫ぶその声には震えました。

ちなみに黄泉の国のガラシャには
白石加代子のおどろおどろしい声がぴたりとはまった。

二役を務めている松橋登は
セクシーかつノーブルな持ち味を十二分に発揮している。

ちらりと出る成田三樹夫(かっこよすぎ)、
丹波先生もバッチリスパイスを利かせて、
さすが一人残らずキャラを立たせる、深作監督の仕事である。

紅蓮の炎につつまれた江戸城での
クライマックスは観るものを恍惚とさせずにはおかぬであろう。

やはり20年たった今でも
満腹感が味わえる、不朽の娯楽大作であった。

1981年深作欣二 監督作品
原作:山田風太郎
脚本:野上龍雄 石川孝人 深作欣二
衣装アドバイス:辻村ジュサブロー
美粧・結髪:東和美粧
撮影:長谷川清  
音楽:山本邦山 菅野光亮 
美術:井川徳道 佐野義和

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「姑獲鳥の夏」

2005年07月20日 | ★妖しい映画
実相寺監督のアクがほどよく抜けて(抜かれて)いた。
「帝都物語」のようなグロ描写や
「D坂の殺人事件」のような成人向け描写はまったくなく、
もちろんATG時代の観念的なイメージも抜けていて、
さすがメジャー映画という作り。

おなじみ池辺晋一郎の
音楽が緊張感と妖しさを盛り上げる。
これはまんま「D坂」でした。

20ヶ月もの間妊娠している女性・・
一向に出産する気配が無いという。

古い病院の周辺に奇怪な事件の噂が巻き起こり
伝説の姑獲鳥(うぶめ)のイメージがかぶる。

皆が期待するところの池谷仙克の美術は、予想通りの見事さだった。
障子を使った美術、京極堂の書庫や家のしつらえは
たまらなく美しく、書斎をあんなふうに・・と思った人も多いと思う。
(私だけですか)

中堀正夫のカメラも斜めになったりぐるぐる回ったりと
相変わらずごっつう凝ってまっせ!

ビジュアルでは「漢字」の美しさもあらためてカンジた。(駄洒落)
そして最初と最後に映し出される白黒写真の数々は昭和好きの涙を誘うだろう。
随所に散りばめられたレトロなかほり、遊び心も。
ムード作りは完璧だ。

しかしながら、疑問は多い。

謎解きの説明(語り)の合間合間に
イメージショットがフラッシュバックする
という手法はどうでしょう?
筋は芝居はいずこへ?

映像化不可能と言われている原作に遠慮したのでしょうか?

永瀬正敏は鬱気味の関口君を癖が無い演技でこなしていた。
反対にクセがある松尾スズキは主張しすぎで空まわり・・。

牧朗は「子なきじじい」のようでいいのか?
木場(宮迫博之)はあんなにガラが悪くていいのだろうか?
原田知世は綺麗だけど、いいのか。
時々見られた演劇的な演出は効果的なのだろうか。
いしだあゆみをアップで抜いていいのか。

なぞは深まった・・・。

いしだあゆみは
テンション高く「怪鳥」のようだ。

そんな中、実相寺監督の奥様である、
ベテラン女優原知佐子がちらっと出てくるが
きっちりとした芝居でほっとする。

京極夏彦が
傷痍軍人(水木しげる)に扮してかなり画面に露出していたが
どうせ出るなら
京極堂を演じたらいかがだろうか?

ご自身が演じられた方が説得力が出るのではないだろうか。
あの長い薀蓄を自分の説として語るには堤真一でなくとも
たいへんな演技力が要りそう。

TVインタビューでは「京極堂」=自分自身
は否定されていたが。
「ボクはあんなにイヤなやつじゃありませんから・・」とは
おっしゃっていたが。

ぶっちゃけた話、最初から最後まで
京極堂が喋り続けていましたからね。
かなり思い切った脚本だと思いました。

英語の字面は単純明快。
耳にも心地よい言語だけど
我々の話す日本語、
そして漢字ひらがなカタカナ、
縦書きの文字は
西洋圏の方々にとってみれば脅威の神秘性を帯びていると思う。

もっと誇りを持って日本語を喋り、書いていきたい。
と、あらぬ方向に私の粗忽頭のベクトルは向いていった。

本当に
この世に不思議なことは何もなかった。

2005年 実相寺昭雄監督作品 美術 池谷仙克 撮影 中堀正夫 脚本 猪爪真一

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「怪」七人みさき

2005年06月22日 | ★妖しい映画
「怪」シリーズ映像化第一号。

冒頭から女性の半裸登場。
危険信号発令!
白昼見るのはマズそうだ。
もう一度夜中にトライしてみる。

4作中危険度ナンバーワン。
「妖しい度」も一番。

ある城下町で残酷な連続殺人事件が起きる。
七人死ぬと祟りが鎮まるという「七人みさき」伝説とは?

「みさき」というのは成仏していない死霊のこと。

限りなく怪しい「鬼畜ご落胤」登場!するに
いたって物語のボルテージはあがるばかり。
子供時代のトラウマか、はたまた忌まわしい怨念のせいか、
狂ったように残虐非道な行いを繰り返す殿様に
又市らの御行の鉄槌がふりおろされる。

夏八木勲、御行一味に加わって大見得きるも、
全然強そうでない小松政夫に斬られ、あえなく絶命!

スプラッター描写、成人向け描写が多く、
週末家族で見るなどはもってのほかです。
かなり気まずい注意報。

見るときは
ひとりでをおすすめします。

冒頭に京極夏彦本人がちらりと出ている。

殿様、北林弾正(四方堂亘)は
ダンジョン(地下牢)にて(シャレ)なりふりかまわぬ熱演。
目をそむけるも良し、じっと見入るも良し・・

脚本が京極本人ということで「怪」シリーズは
一貫したトーン。
頭からずぶっとはいり込んで見られる。

2000年 酒井信行監督  原作・企画・脚本:京極夏彦

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