邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「コミック雑誌なんかいらない!」

2009年06月21日 | ★痛快!な映画
内田裕也
華々しかりし頃の
テレビのワイドショーレポーターに扮し、
連日体当たり取材する様子を面白おかしく
時にペーソスも交えて描く
80年代風俗パロディ。

監督は、「おくりびと」でアカデミー賞監督となった
滝田洋二郎監督。当時はピンク・映画の若手ホープだった。

86年公開。80年代バブル当時の風俗がてんこもりに詰まっている。
風俗系アダルトな場面もちらほら。

キャスティングが最高にふざけていて笑える。

内田裕也が汗をふきふき突撃取材、
しかもアドリブ入れてかみまくる
それだけでも大爆笑なのに
ワイドショーの司会が小松方正
ナンセンスな芸能ネタを真剣な顔で聞くアクの強い顔がたまらない!
こんなワイドショーなら見たいかも!

業界人丸出しの原田芳雄のプロデューサーもクサ過ぎるでしょう!(笑)
殿山泰司、いいわ==
芸能人たちは全員実名でとても
ゴージャスなラインナップだ。

人気レポーターだった
梨元、福岡翼はもちろん
当時神田正樹と結婚寸前の松田聖子(歌だけ?)
おにゃんこクラブ、桃井かおり、郷ひろみ。
取材合戦は熾烈を極め
果ては暴力団の抗争、ロス疑惑の三浦和義にまで及ぶ・・

三浦和義、出ちゃってるんですよねえ・・

途中、日航機墜落事故、豊田商事事件がはさまれ
笑えなくなる。

どうせなら
ナンセンスに徹して欲しかった・・・
と思っていたらやっぱり出ました。

「アイ・カント・スピーク・ファッキン・ジャパニーズ!」で締めくくりとは!

惚れてまうやろ~~

真面目なアンチテーゼも感じてしまうやないの。
それにしても
内田裕也が主役ってところがパロディ!

昔話というにはまだ生っぽい。
80年代ってこんなだったっけ?
自分の昔のアルバムを見るようで恥ずかしい。

痩せて文化人になった鶴太郎、おにゃんこだったタレントの今、
松田聖子の人生流れ旅?、
かたや当時と同じイメージで頑張っている郷ひろみや桃井かおり
桑名正博、内田裕也氏、渡辺えり子に
20年の月日を思う。

滝田氏の目線が面白い。
何より当時撮影された、生々しさと勢いがある。

テレビも変わり
ワイドショーも当時のようには
視聴率を稼げない時代になった。

今の風俗を滝田監督が切り取ったらどういう具合になるのだろう。

1986年

監督
滝田洋二郎
脚本
内田裕也 高木功
撮影 志賀葉一
音楽 大野克夫

ブログランキングへ応援オネガイシマス


仁左衛門のスタジオパーク見た

2009年06月14日 | ★TV番組
やっぱり
がありますね~~

ダークスーツ姿で
スタジオ入りしたその姿を
ブラウン管ごしにひと目見たその時から
完全なミーハーモードに

突入!

没入!

あの優しいお顔で
来年建て替えになる「歌舞伎座」への思いや
関西歌舞伎のこと、家族の話
初めて大役をもらったとき、
大病をして復活した時の喜び
そして今歌舞伎座で演じている
演目のことなど、
柔らかな関西弁でたっぷり語っておられ
ファンにはたまらないインタビューとなった。

特に仁左衛門さんの歌舞伎への熱い思いは
これまで何度か聞いてきたのにもかかわらず
じ~んとしびれた。

「女殺油地獄」の与兵衛は若い人がやったほうがいいと。
自分で許せない・・という。
役にしがみつかない、潔さにも感服した。
歌舞伎のこれからをいつも考えておられる方である。
ご自分の芸のことはさらりと
くどく語らないのもいいわ~~。

この辺までくると
私の目は垂れに垂れ、
意味無くニタニタし
鼻の下は伸びきっていたものと思われ・・

関西に孝夫あり
といわれた頃からん十年、
未だに人気衰えず。
ファンメールの熱っぽさには負けた。
親子三代のファン、中学生のファンも有。
これほどまでに恋焦がれられる役者も珍しいのではないか。

仁左衛門さんがいうように「女殺・・」の
与兵衛は、
若さゆえの荒々しさ、浅はかさ、
残酷、無軌道、ギラギラ・・・が特徴的な役だと思う。

かといって
誰が・・・受け継げるのでしょうね。

こんなインタビューを放送したら
ますます幕見は連日満員になることでしょう!!

ああ
仁左衛門恋し

また見に行きたくなったじゃないの~~~!!

●NHK「スタジオパーク」にて

ブログランキングへ応援オネガイシマス


「くちづけ」

2009年06月03日 | ★愛!の映画
春の日差しのような、
ほっこりした三つのエピソードから成る。
いずれも淡い恋心がテーマで、三人の監督によって撮られた。

なんと1955年公開の古い映画。

これを観ながら編んだのが、
例の"くちづけチュニック"というわけです。

「くちづけ」というから
全編くちづけシーンがあると思っていた私は

大馬鹿ものでした。

そういうお下劣な動機で見た自分が恥ずかしくなるほど
清らかで清々しい内容でした。


●筧正典 監督【第一話 くちづけ】

この作品でのみ、くちづけシーンがありました。

初めての接吻シーンの場合、
男性から見た美しい女性の顔がアップで映されることが多いですよね。

瑞々しい肌、かすかに震える閉じられた瞼、ふっくらと艶やかな唇。
頬に光る産毛、無防備に投げ出された伸びやかな肢体・・

と、くれば!

誰だってくちづけしないではいられない!

観ているものも思わず
そうしたくなるような映像を造りだすことは
カメラマンの腕の見せ所のような気がします・・

その後カメラが胸元のほうに降りていって
テンぱった男性の顔がアップになったら
それだけでは済まなくなる可能性が大です(余談)

真面目で潔癖一直線だった女子大生が、
新しい経験をすることによって
一皮むけていく様子が面白かった。

要は人生、理屈じゃないってことかしらね。

●鈴木英夫監督 【第二話 霧の中の少女】

田舎の夏のエピソードをユーモラスに、時にしみじみと描き出し
秀逸!この話が一番好き。

帰省している由子の家に
大学の同級生が旅行の途中、泊まりにやってくることになり一家は大騒ぎに。
特に母親のテツ子(清川虹子)は目くじらを立てて反対するが・・

藤原釜足と清川虹子の夫婦もユーモラスなら、
おばあちゃん役の飯田蝶子がその一枚上を行って抜群。

そして極めつけは、
司葉子の妹役の中原ひとみだ。

この話の題名からもわかるように
主役は司ではなく、この少女なのだ。
くりくりと動く大きな目は中原淳一の絵から抜け出してきたよう。

姉の恋を見る妹の目。
けなげで、一生懸命で、おませで、とっても愛おしい。

鈴木監督ってハードボイルドもいいけど
繊細で叙情的な作品もたまらなくいい。

●成瀬巳喜男監督 【第三話 女同士】

高峰秀子が開業医の奥さんに扮している。

住み込みの看護婦(中村メイコ)が
夫(上原謙)へ恋心を抱いているのを知り・・・

中村メイコは
腹ばいになって鉛筆をなめながら日記を書いているような
女の子の役がすごく似合ってる。。
声が甘くてキュート!

デコちゃんは
微妙な女心をさらっと演じていてさすがです。
この人が演じると
なんでもない話でも印象深く心に残ってしまうのだ~~
おっと、脚本はダンナさんの松山善三なのね。

三篇とも悪人は出てこない。事件も起こらない。
愛すべき人たちによって繰り広げられる最高に「癒される」話。
観ているうちに嫌なことも忘れてしまいそう。

そういう話が全然わざとらしく感じられないところがすごい。

原作 石坂洋次郎
脚本 松山善三
音楽 斉藤一郎
撮影 山崎一雄

ブログランキングへ応援オネガイシマス