邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「壬生義士伝」

2004年12月31日 | ★ぐっとくる時代劇
新撰組やあの時代を
違う角度から見られた。

中井貴一は熱演していたけど・・

南部藩を脱藩して新撰組に入った吉村。
それは故郷の家族に一銭でも多く金を送るためだった。
新撰組でも生え抜きの剣の腕前。
守銭奴と呼ばれ笑われても、せっせと金をためる吉村を
隊士の斉藤(佐藤浩市)は侮蔑的な目で見ていた・・
マイホーム侍ここに極まれり。

佐藤浩市はいつもどうりだが
今回老けにも挑戦。

時代の波が押し寄せ、権勢を誇っていた新撰組は「天下のみなしご」になり、
薩長対幕府の熾烈な戦いに巻き込まれていく・・・・

薩長との斬りあいの前、若い隊士たちに
「どんな手を使ってでも生きて帰って来い」と声をかける吉村だったが、
最後の最後、鉄砲隊たちの前にひとり飛び出していく・・・
吉村の「義」とは何だったか?

後半の泣かせの独白シーンは一番の見せ場。
一人芝居がものすご~くなが~~~い。

画面30センチに近づいてみたけど、台詞がよく聞こえなかった!

どうしてもすごいとは思えないのは私だけか。

あのシーンより私は、南部藩組頭・(三宅祐二)の寡黙な使用人(山田辰夫)の
立ち居振る舞い、その心配り、表情に泣けた!

数々の賞をとったというこの作品だが、
瀕死の吉村に握り飯を持っていく山田辰夫の演技に賞をあげたかった!

*2003年 滝田洋二郎監督作品

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「将軍家光の乱心・激突」

2004年12月29日 | ★ぐっとくる時代劇
千葉真一がアクション監督。

馬アクションあり、火だるま侍あり、大爆発あり、
ロープ一本谷渡りあり、チャンバラあり、
大盤振る舞いのアクション時代劇。
大奥の矢島局なんか、ズボン状のものをはいて雪山登ったり
谷渡りしたり傷だらけの泥だらけ。

お正月公開の「カンフーハッスル」のキャッチコピーが
「ありえねェ~~!」だそうだけど、
この映画もまたそう叫び続けたい映画だった。

徳川将軍家光は、自分に似ていないからと息子の竹千代を嫌い、
佐倉藩主(丹波哲郎)に預けていた。
竹千代が元服のため江戸城に登城する際、暗殺せよとの命令を下す。
竹千代を守る命知らずの武士たちと追っ手との死闘がくりひろげられる。

肝心の家光は白塗りの京本政樹・・・
はっきりいってミスキャスト。

追っ手の大将に千葉真一。
決死で竹千代を守り通す武士に緒方拳、
長門祐之、そして千葉率いるJAC(ジャパン・アクションクラブ)の面々。
家光側近、老中に松方弘樹。

追っ手の追跡を逃れ、幼子を背負い川を渡り、谷を越える。
宿場町に追い詰められるが・・
宿場町での死闘といえば・・あれ?「十三人の刺客」のよう。
だが、千葉ちゃん演出はもっとド派手だった!

油問屋の油ぶちまけ攻撃、長門裕之のびっくり火だるま攻撃、
(ハリウッド映画の特殊技術者を招いて撮影したという)、
千葉VS緒方の屋根落とし?、大爆発・・などなど、
やれること全部やってます!!

激しく馬から落ちるシーン沢山あったけど、大丈夫なんだろうか、馬も人も。
馬もろとも崖からまっさかさまシーンも!!

竹千代を守る命知らず隊の中に酔拳のような武術をあやつる坊主頭が。
離れ業のカンフー、ヌンチャクさばき。とても日本人とは思えない。
一言も発しないのが不思議だな~と思っていたら、本物。
「少林寺」、「阿羅漢」でジェット・リーと、
「酔拳2」でジャッキー・チェンと共演していた
胡堅強(フー・チェン・ツァン)だった。
彼が出るシーンは格闘技好き、必見。

若き日の真田広之を彷彿とさせるイキのいい
アクション俳優がひとりひとり死んでいく。
みな泣けるほど大熱演。
馬も熱演。

だが、死闘の場面の
「アルフィー」の歌は合わない。


織田裕二がほんのちょい役で出ていました。

大詰め、生きて帰った竹千代を見てタイトルどおりに家光乱心。
決死で止める矢島局。側室お万も髪を振り乱して発狂!
幼い竹千代の目の前で狂気の大乱舞が繰り広げられるのだった・・

いい俳優さんが沢山出て、大熱演していても、
なんだかしまらない、もったいない映画。
JACのアクションはほんとうに素晴らしかった!

1989年 降旗康男監督作品 東映
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「不知火検校」

2004年12月26日 | ★ハードボイルドな映画
勝新太郎が「座頭市」を撮る前の作品。
いわば「座頭市」の前身ともいえる。

ものすごく面白かった!

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検校:室町時代以降、盲人に与えられた最高の官名。
専用の頭巾・衣服・杖などの所持が許された

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悪のヒーロー不知火検校。
この役は勝自身もすごく気に入っていて
晩年舞台でも演じていたそうである。

生まれながらに盲目の杉の市は、
大人をだまし、金をせしめるなど幼い頃からワルでした。

「出世さえすれば、何でもできる」がモットー。

座頭市と違い人を斬ったりはしない。
仕込み杖は持っていません。

だがその悪党ぶりといったら、名うての悪党がびびるくらいのあくどさ。
あまりのことにちょっと笑ってしまいました。
ブラックなユーモアも漂う。
世話になった按摩の師匠さえも裏切って検校へと上りつめる。

まんまとせしめた小判を懐から山のように
じゃらんじゃらんと落とす様子、
自分の女さえも罠にはめほくそ笑むシーン、凄味があった。

勝新太郎の天才役者ぶりを堪能。
この映画で共演したことがきっかけで中村玉緒と結婚したそうですが、
さすが息がぴったり。玉緒さん、可憐で美しいです。
壮絶なラストシーンも圧巻。

検校ものとしては他に
東京12チャンネル怪談シリーズの「怪談吸血鬼紫検校」とか
田村正和がやった「髑髏検校」というのがあった。

でもこの「不知火検校」に勝てる検校はいない。
勝新は、死んでも誰にも負けない。

1960年 森一生監督作品 大映

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「十三人の刺客」

2004年12月25日 | ★ぐっとくる時代劇
冒頭、老中土井大炊頭(丹波哲郎)の門前で
切腹している侍が・・!
厳粛な趣の語りが入り、ピシッと引き締まった空気。

恐ろしいほどに静かな導入部から
後半の「動」へと一気に加速していくところがなんともいえません!

切腹は、播州明石の藩主(菅貫太郎)の
悪辣な政治に抗議するものだった。
冷酷非道の殿様は切腹した家臣の家族、
女子供も残らず捕らえ斬り殺す。

菅貫太郎は切れやすい狂気の殿様を演じさせると、
天下一品の憎たらしさ。
忠臣、鬼頭半兵衛(内田良平)が止めようとするがムダ。

事を重く見た土井(丹波哲郎)は
お目付け役、島田新左衛門(片岡千恵蔵)に
明石藩藩主の暗殺を命じた。
刺客は島田を入れて13名。
命を捨てる覚悟で大仕事に挑む。

プータロー侍だった島田新六郎(里見浩太郎)も
「本気になってみたくなった」と女に別れを告げ
計画に加わることに。(めちゃめちゃいい男なんですこれが!)

参勤交代の明石藩の一行を、小さな宿場町に追い込んで襲撃する。
この場面の迫力といったら・・・・!!
13対53!
敵ながら内田良平の指揮ぶりも見事でいいわ~~!

ラストの片岡千栄蔵の決め台詞はまさに
「待ってました!」で胸がすく。

侍の死に方、生き方・・・についても考えさせられる。
「心」を鷲づかみにする名台詞のオンパレード。
時代劇史上に輝く傑作と言えると思う。
「ゴジラ」の伊服部昭の音楽がドラマチックで効果的だ。

出演:月形龍之介、、片岡千恵蔵、西村晃、山城新吾、河原崎長一郎、里見浩太郎、
嵐寛寿郎、丘さとみ、内田良平、丹波哲郎など

見ごたえありますよ!!

1963年 工藤栄一監督作品

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「東京流れ者」

2004年12月20日 | ★イカス!映画たち
有名な「流れ者に女はいらねえ」
は、この映画の中の台詞です。

鈴木清順監督の作品は見出すと中毒になる。

エネルギッシュな映像の魔術師は、
来春にオダギリ・ジョー主演の平成の狸御殿映画を公開予定。

ストーリーは一言でいうとやくざ同士のいざこざなんですが
ショットのひとつひとつが
まばゆいほどに美しい。

幻惑的な色彩感覚。何もかもが真っ白なセットの中で
白づくめの渡哲也がコルトを構える。
あたり一面まっ黄色になるかと思えば、
墨を流したような真黒の画面に真っ赤な花。
エメラルド色のドレスを着て歌う歌姫。(松原智恵子)
雪の中のSL。
これはまさしく色彩のブルース!

ビリビリくる台詞(脚本)を書いたのは川内康範。
この人は大ヒット曲「伊勢崎町ブルース」や
「おふくろさん」などを書いた作詞家、そして小説家でもある。

「頼むから俺を怒らせないでくれ」(渡の独り言)

驚くべきことはまだまだある。
松原智恵子の歌姫、「てつやさん!」以外の言葉を発しません。

渡哲也が着るパステルブルーのスーツ、
真っ白のスーツなど、衣装の色もまた「画面の一要素」になっている。
カット割りが大胆!

競演は雰囲気が抜群の川地民夫
そして二谷英明
ちあきなおみの夫だった郷治(宍戸錠の弟)、など。

ほとんどミュージカルといわれるくらい音楽が使われている。
スクラップ工場で真っ赤な炎に焼かれる車、
どこからともなく聞こえてくる
「東京流れ者」のテーマに鳥肌が立った!


ぶっちぎりの脚本と鈴木清順の映像、木村威夫の美術が合体した傑作。

港で愚連隊(懐かしい言葉)が並んで歩いているシーンは
まんま、”レザボア・ドッグス”。
タランティーノに真似された。

1966年 鈴木清順監督作品 川内康範原作・脚本 日活

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