邦画ブラボー

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「おまえなしでは生きていけない~猫を愛した芸術家の物語~」:夏目漱石:向田邦子

2011年08月18日 | ●面白かったTVドラマ

初夏に放送されたシリーズの再放送。

猫を愛した芸術家、夏目漱石と向田邦子の場合を

証言者のコメントを交えながら

ドラマ仕立てにした番組。BSプレミアム。

 

夏目漱石には鶴見辰吾くん。

”くん”と呼ぶにはあまりにもベテランですね。

和田勉阪「天城超え」で大谷直子と佐藤慶を

向こうにまわして一歩も引けをとらなかった名子役が

漱石をやるとは。

月日が経つのは早いものですねえ。

それがなんと

漱石クリソツなんだから、お立会い!

 

名作「我輩は猫である」を皮切りに

飼いはじめた猫が「福」をよんでくれたかのように

小説家として軌道に乗り始めた漱石。

神経質な気質も順調な筆の進みと猫の存在によって和らいだようで奥さんもほっとしたようです。

端正なたたずまいの鶴見君、着流しが似合うこと似合うこと。

明治の家の雰囲気もいいです。

余分なものが無く、綺麗に整頓され掃き清められた室内。磨きこまれた廊下。

もちろん電化製品やプラスチック製品などというものは皆無です。

猫と漱石と静かな庭。

絶妙にマッチした美しい風景の中にゆっくりとした時間が流れておりました。

なんてったって猫とのつかず離れずの関係が心地よかった。

解説者として漱石を義祖父に持つ

作家の半藤一利。←素っ頓狂なおじさん(爆)

 

向田邦子も独り暮らしのパートナーとして

猫はかけがえの無い存在であった。

人気作家としての華々しさの裏に、

人知れず大きな悩みを抱えていたが

決して弱音を吐かず全うした。

彼女の苦しみは猫だけが見ていた。

証言者として小林亜星と妹の和子さん。

 

漱石の鶴見辰吾、

向田邦子のミムラ共、

まるで本人はこうだったんじゃないか?と思わせるくらいの好演だった。

実在の人物をモデルにした場合、あまりにかけ離れていると

しらけますもんね。

 

猫とのかかわりの中で見えてくる

芸術家の知られざる側面を短いドラマで面白く表現していたと思う。 

藤田嗣治(竹中直人)、内田百(石橋蓮司)の回もぜひ再放送されたし!!


「温故希林~樹木希林の骨董珍道中」NHK

2011年08月12日 | ★TV番組

NHKBSで

樹木希林さんが

古民藝研究家の尾久彰三さんと

全国各地へ骨董行脚の旅に出かけるシリーズが放送されていました。

もちろん毎回チェックしましたとも!

 

希林さんといえば古い着物の繰り回しや

個性的な着こなしで有名ですが、まだ着物本を出していない最後の砦!でもある。

別冊「太陽」などでその

素敵なライフスタイルをちょこっとだけ覗かせてもらってましたが

今回はそのものずばり「着物」の回があるということでしたので

やった!と小躍り。

第一回目、シックな黒留袖加工ドレスの着こなしも見事。

派手な色彩の友禅に黒の紗?のような透ける生地を重ねた

紗合わせ風のドレス箔の羽織を改造したと見られるコートも

素敵でした。

 

希林さんと尾久彰三さんのコンビも最高。

なぜか尾久さんにしがみつくように歩く姿も可笑しみがあって

骨董好き「同士」の仲良しな雰囲気がかもし出されていました。

 

子供が生まれたとき、

近所からいただいた百枚のはぎれで子供の成長を祈り縫ったという金沢の「百徳着物」、

希林さんが色んな人からいただいた着物地で作ったというパッチワークの

コタツ布団が素晴らしく、大変に創作意欲をそそられました。

百徳着物は以前、東急東横店で実物を見たことがあり、

私もいつかこのような着物を縫ってみたい!と思いながらも

はや幾年。「銀花」に特集された号もしっかり持ってるのに

まだ製作にいたらず・・反省。

 

 「第四回 骨董と暮らす」は全体をまとめる素晴らしい回でした。

希林さんのすんばらしいご自宅のインテリアも

披露されていたし

京都の骨董業界では知るひとぞ知る有名人、

 版画家木田安彦さんのマニアックな骨董部屋にも口があんぐり!

 

昔、倍賞千恵子さんが希林さんを家に招いたとき

「あんた、雑な器使っているわね」と言われ、器に興味を持つようになったという話を聞いたけど

それは、ン十年前のこと。やはり 年季! 年季が違いますわ。

美意識の高さに感嘆したけど

大胆さにもビックリ。

着物をシャ~~っと切って

マニキュアでほつれ止めしてハイ出来上がり!など

考えもつきませんでしたわ。

まだまだ見たいので続編希望。

 

私は古い日本家屋に育ったので

骨董=かび臭い:古い:バッチイなどと思い(!)

若い頃はぴんとこなかったクチですが(着物は別ですが)、

今は妙に懐かしく、またそれらを現代に生かす方法を探りたい。

最近行っていなかった骨董市もまた彷徨いたい。

面白そうなことは躊躇せずにやってみる、そして生活を楽しもう!と

思いました。 

その前に感性を磨かなければ^_^;っていうことも

ありますが

いっぱいたまっている端切れ、とにかくつないでみることから始めよう。

そうそう! 

再放送があるそうですので

見逃した方はぜひチェックされてください。 

8月30日(火) 午後7時~7時30分 第一回 器
8月31日(水) 午後7時~7時30分 第二回 家具
9月 1日 (木) 午後7時~7時30分 第三回 着物
9月 2日 (金) 午後7時~7時30分 第四回 骨董と暮らす

 


「影の車」:風間杜夫版

2011年08月10日 | ●面白かったTVドラマ

夕暮れ時

蝉の泣き声を聞きながら松本清張ドラマを見る。

節電のため、扇風機をまわすと

普通に暑かった昭和の夏が甦ってくる。

蚊取り線香を炊いてっと・・

これに枝豆とビールがあれば・・・・・・・

いわゆる昭和のオヤジ?

 

妻(浅田美代子)と二人暮らしの風間杜夫は

夫を亡くした原田美枝子と深い仲になるが、

原田には女手ひとつで育ててきた男の子がひとりいた。

 

あっけらかんとした妻、浅田美代子との暮らしはモダンな今時風で

食卓に並ぶ料理もお洒落だけど

普通の中年男が好きそうな食事ではない・・

愛人、原田美枝子の家は古い庭付き木造一戸建て。

古いけど落ち着ける家と、男が喜びそうなおふくろの味的なつつましい食事。

加えて原田美枝子のほうが抜群に色っぽいです(爆)

この対比がなんともよく出来ています。 

 

毎日のようにひとつ隣のバス停で降りる風間杜夫はルンルン気分でした・・・

が・・

ただひとつ気がかりなのはそこんちの子供!!

 

風間杜夫のトラウマ・被害妄想演技が大げさで面白い。

子供の無表情な表情、汗で額にへばりついた髪の毛がいいです。

そして

二人の情事を襖の間からのぞく目は誰だ!?

ホラ~~~だ!

 

この話、少年でも立派なひとりの人間(男)なのだという意味で

「天城超え」にモチーフが似ている。

恐ろしいトラウマによる疑心暗鬼で

自らの首を絞めるように自滅していく主人公の心理描写がこのドラマの肝です。

スリリングな演出で

風間と原田コンビの演技も抜群だったしとっても

面白かった!けど

昔一度だけ見て強烈な印象を持った

野村芳太郎監督

加藤剛、岩下志麻版が激しく見たくなった!

 

それにしても清張さんの小説の題名はいつも 謎!!

「影の車」っていったいなあに??