邦画ブラボー

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「明日の記憶」

2014年07月20日 | ★愛!の映画

普段は考えていないけれど

ふと

想像するだけで奈落の底へ落ちるような恐怖を感じることって

たくさんありますが

この映画のテーマ

「若年性アルツハイマー」もそのひとつだと思い知らされました。

 

花形広告代理店の部長だった渡辺謙が、

若年性アルツハイマーに

なってしまう。

病名を告げられた時の絶望感、想像するだけで恐ろしいですね。

世界の謙さんが

丁寧に丁寧に主人公の心のひだを表現しています。

 

徐々に自己が崩壊していく恐怖におびえつつ

無くなっていくだろう記憶を日記に書きとどめておこうとする

姿は傷ましいの一言。

渋谷の街で突然自分の居場所がわからなくなり

焦りまくる主人公の姿も恐ろしかった。

映像も本人の頭の中の混乱をよく表していて

会社を歩いている時の妄想シーン(からだと脳がぐらりとゆらぐ感じ)は

特に素晴らしかった。

 

ひとり娘の結婚式でのスピーチ、

退職する謙さんを見送るかつての部下たち、

細かい演出が涙を誘います。

 

精神が崩壊していく病気ほど

残酷でつらいものはないのではと

思った。

 

ショックを受けながらも

夫を支えていこうとする専業主婦の樋口可南子が凛と美しく

つらい物語の救いになっていた。

 

あなたがもしこんな病気に罹ったら?

大切な人が罹ったらどうしますか?と問われているような気がした。

でも

答えは出てこないし

映画の終わりもとても切ないものだった。

 

 

日本映画専門チャンネルにて


「トラベルヘルパー」:55歳からのハローライフから 第四話

2014年07月09日 | ●面白かったTVドラマ

毎週観ているドラマも第4話となりました。

 

小林薫が、独身のトラックドライバーを演じている。

昔はけっこう女にももてたけど、

気が付いたら老いを感じる年齢に達してしまっている。

独り暮らしの男が

ある日突然一目惚れ。

日常が一変してしまう。

 

自嘲的な独白をはさみながら

恋をしてしまった孤独な中年男が

失恋から立ち直って、新しい希望を見出すまでを

時々可笑しく 時々切なく 見せる。

 

古書店のおやじを演じる

麿赤児とのテンポの良い丁々発止の絡みは

小林薫の

熱い状況劇場時代!を思い出させてくれた。

 

いくつになってもLove is The Drug   

風呂場で

安田成美に絶縁を告げられた

小林が

「会いたい~~~!」と、

あられもなく

泣くシーンは哀れで涙を誘った。

 

このドラマシリーズって

役者の顔の老いをリアルに

映し出しますね。

肌の質感、

額に深く刻まれた皺もくっきりと。

 

あの風吹ジュンも例外ではなく

クマが残っている顔や疲れ切った表情を見せていたし

今回の

マドンナ役の安田成美ですら

普通のおばさんに見えた。

女優さんもコマーシャルや雑誌で見るのとは違う顔で撮られていて

味わい深いです。

テナーサックスが吠える!エンドロールも、シリアスなタッチで渋いし

他の話の主人公が、ちらっと登場する演出も洒落てる。

(今回はスーパーで原田美枝子が試食販売していた)

 

安田成美の言葉遣いがとってつけたようとか

初対面の男とこんなに気軽に

お茶飲みますか??とか

つっこむところは多々あったけど、

見応えのあるドラマだということは間違いない。

 

中高年の、老いへのとまどい、将来への不安、

希望がないまぜになったテーマは誰もが思い当たること。

原作者の村上龍も同年代なのですね。 

いろんな角度から、

老年にさしかかった主人公たちが

懸命に生きる希望を探そうとする姿を映し出す

ドラマも

あと一話となった。

 

次回はイッセー尾形と火野正平?楽しみにしてます!