邦画ブラボー

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「大鹿村騒動記」

2011年07月25日 | ★愛!の映画

原田さんがやせ細った車椅子姿で完成試写会に

臨んでいる映像を見ているうちたまらなくなり、

映画館に走りました。

原田芳雄に会いに飛んで行ったのです。

 

館内は「デンデラ」と同様、中高年が半数を占める入り。

 「大鹿村騒動記」は

長野県の村に

古くから伝わる民衆歌舞伎を軸に

幼馴染と駆け落ちした挙句、

認知症になって戻ってきた妻(大楠道代)とその夫(原田)、

回りの人々の人情喜劇。

 

原田さんは出ずっぱりで

しゃべりっぱなし。

歌舞伎の台詞も朗々と響き渡る声量で

石橋蓮司と共に魅せてくれた。蓮ちゃんもやっぱりすごかった!

二人とも腹の底から声が出ていて聞いててスカッとした。

小倉一郎も歌舞伎台詞、意外と(?)力強くて驚いた。

原田VS大楠道代のツーショットは

あの鈴木清順の「ツゴイネルワイゼン」を思い出させてくれたが

時の流れを感じて頭がクラクラした~~

 

ゴージャスな出演者たちの中でも

三國連太郎はランクが違う感じが・・・

年齢を超越した凄み。

わずかの出番でも作品に深みを与えてくれるたいへんな役者だ。

ただ野原を歩くだけでも映画!になってしまう職人芸を見せてくれてこれぞ国宝級

拝みたくなった。

 

ギャグの演出って難しいと思う。

ここでは決して大笑いを誘うわけじゃなく

くすくす笑いを引き出す系。

ギャグにはセンスが合う合わないがあって、私個人は大笑い系が好みだけど。

多彩な人物の台詞や描写も決して深く重たくは無い。

日本全体が疲れ果てている今日、エグ味の無い癒されるものをみんな見たいのかも。

テンポは良いが

せっかくの歌舞伎のシーン、

爆発的とは言わないまでも、もうちょっとカタルシスが欲しいと思った。

 

原田さんは文句無く素晴らしいです。

原田さんが主役の本格的な時代劇がもう一本見たかったなあ・・・

 

「この週末、大鹿村にちょっと遊びに行ってこよう!」

「原田さんに会いに行って来るか。」

そんな気軽な気分でごらんになると楽しめると思います。

1000円という鑑賞料金も嬉しいですね!

 


「俄」(にわか):林隆三

2011年07月09日 | ●面白かったTVドラマ

実在した幕末の侠客・明石屋万吉(林隆三)の人生を描く痛快時代劇。

13回シリーズの最終回を見た。

男が惚れる男、

万吉は度胸一本男伊達を貫き通した。

俄とは路上で演じられる即興の喜劇のこと。

「俺の人生は俄やったんや」と最終回で語る万吉の

粋ですがすがしい男っぷりに

スカ~~~っ!

林隆三の代表作と言ってもいい「俄」

昔ちらっと見て憧れたことがあったっけ。

それ以来、林さんというと「俄」を思い出していた。

しかも

演出はあの木下恵介

脚本は山田太一。

原作:司馬遼太郎。

自らを阿呆と言いながら、揺るぎの無い太い筋が一本びしっと通っている。

今こんな男がいるのかしらん。

カッコつけるだけで大滑りする人はいるみたいだけど(爆)

粋な芸者の姐さん(藤村志保)、万吉についていく健気な女房に

大谷直子と女性陣も良いわ~~

土方歳三といい、司馬さんの作品では

生き方の美学を貫く 男が胸を打つ。

 

今の時代だからよけいにまぶしく感じられるドラマだ!

 

男伊達っていい言葉ですね。

 

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男伊達:男としての面目が立つように振る舞うこと。強きをくじき、弱きを助け、命を捨てても信義を重んじること。また、そういう人。侠各(きょうかく)。「頼まれて嫌とは言えぬ―」 デジタル大辞泉より

 

時代劇専門チャンネルにて