邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

江戸っ子祭・太助・家光・彦左・

2009年04月25日 | ●面白かったTVドラマ
何気なく合わせたチャンネルで
思わぬ拾い物、

井上順主演の時代劇?

ふ~ん・・東野英治郎・田中健ねえ・・

おや?脚本が小国英雄
監督が森一生

観よう観よう!

カンは当たった。

時代劇版、「ローマの休日」のような展開。
古手川祐子の元ダンナさん、
ケーナ奏者でも知られている
田中健って、
「青春の門」で鮮烈な印象を残した後
ネームバリューの割には
大役にめぐり合えなかった俳優さんだ。
ここでのいい男っぷりを観るにつけ、
もったいないことだったなと思ってしまった。

江戸城奥深く、
毎日変わり映えがしない生活でストレス爆発寸前の
竹千代(田中健)を案じ、
ご意見番大久保彦左衛門(東野英治郎)が一案!
なんと出入りの
魚屋の一心太助に見習い奉公させることに!

極端~~!思い切った案もいいとこ。

ご存知元GSスパイダースの井上順が江戸っ子弁をまくしたてて
キップのいい太助を好演。
ギャグのタイミングはさすがに抜群!

練られた脚本と
心ニクイ演出で、とおりいっぺんの人情劇から
頭ひとつ抜きん出た、
「泣けて」「江戸のお勉強も出来て」「笑えて」
しかも爽やかな余韻が残る時代劇に仕上がっていた。

映画の名職人たちも80年代には
テレビに移行していたのだなぁ。

魚屋体験の末、城に戻った竹千代は
将軍家光となって
眠れぬ夜に、
ミュージシャンが
「1=ツェ 2=デ~ 
以下
イ~エフ ゲ~ ア~~ ハ~~」という(いわゆる隠語)ように
太助に教わった「競りの数え方」を寝床で数える。

-→にんべん 二→くち 三=きすけ 四=につけ
五=かすけ  六=へいすけ・・

という珍しい数え方だった!

指を折りながら「にんべん、くち、きすけ、につけ・・」と
やる。
この場面には
思わずほろり。
こういうところがニクイのだ!

1981年 森一生演出
脚本 小国英雄

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「点と線」松本清張(映画)

2009年04月14日 | ★人生色々な映画
海辺に心中とみられる遺体。
が、腑に落ちない点がいくつか。

警察の執念の捜査で、
ある人物が浮かび上がってくるが
彼には完全なアリバイがあった。
最初から犯人が割れている展開。
前半は刑事の捜査風景で地味だ。
色でいえば鼠色なのだが
中盤、高峰三枝子の登場から一気にパアッと薔薇色に
華やぐのはさすが。
黙っていても、目はもちろん、背中が、肩が、まつ毛が演技していて、
隙というものが無い!

口の開け方、眉の動かし方が綺麗!
この世にこんな綺麗な人がいるのか
と、
いちいち細かいところまで見てしまいます。

昔の床屋さんに貼られていたポスターの男性みたいなイイ男系若刑事は、
この後刑事役が多くなった南廣。
固い喋り方が初々しい。
彼の目線で、「この男、何かクサイ」と
アリバイ崩ししていく面白さ。
脇は加藤嘉/志村喬らのベテランが支えているのでバッチリ。

公開されたのは1958年で、蒸気機関車が移動手段。
もちろん新幹線は走っていない。
飛行機はまだ一般的ではなく、一日に数便のみの時代の話だ。

推理も楽しいが、やっぱり人間を深く描く清張作品ならではの
楽しみ方がある。
その意味で、上手い俳優は不可欠なのだ。

高峰三枝子が色っぽくて哀しくてこのうえなく美しい!
魚に餌をやっていても寝ていても
座っていても寝巻きを着ていても
何をしていても何を着ていても美しい。

やんちゃな男をやらせたら天下一品の山形勲(夫役)は果報者である。

プラットフォームの「四分間」シーンは
さらっと流されている。
事件の犯行現場も直接的な描写は無いので、想像に任されている感じ。

ここにも、昭和の女がいた。

清張さんは
少年の頃から苦労したと聞いたけど、
恋愛経験も豊富なのかなあ。
フッたりフラレたりと修羅場もくぐったのだろうか。
女性心理を書くのがとっても上手いわねえ。

1958年 監督 小林恒夫
原作 松本清張
脚色  井手雅人
音楽 木下忠司
美術  田辺達

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「駅路」

2009年04月12日 | ●面白かったTVドラマ
楽しみにしていた
「駅路」
松本清張原作で
向田邦子脚本
演出は「北の国から」の杉田成道

実はこの話、以前
「最後の自画像」(77年)というドラマで見ている。
脚本は向田邦子で、この時の演出は和田勉
なので、どうしても二作を比べてしまった。

キャストを比較してみると、

石坂浩二(杉田版)=山内明(和田版)

十朱幸代=加藤治子

深津絵里=いしだあゆみ

役所広司=内藤武敏

大口兼悟=目黒祐樹

木村多江=吉行和子

高岡蒼甫=林ゆたか

松本清張(老人役)=唐十郎
など・・

どちらも錚々たる面子。
ただ、今回のドラマは
大晦日の「紅白歌合戦」や、
昭和天皇の崩御ニュースなど、
「昭和の終わり」をドラマにからめたものになっていたのが大きな違い。

和田版のほうは
ぐいぐいサスペンス風に見せていって、
最後に登場人物それぞれの哀しみが浮き彫りになるという構成だった。

今回の杉田版は最初から最後までたっぷり情緒的で
ゴーギャンやら戦争やら
色々な要素を盛り込んだため、焦点があちこちに飛んだ。
昭和を意識してか、
谷村新司などの「歌」もドラマにかぶったが、過剰な演出だったと思う。
和田版はまんま、昭和の香りだよ~
・・って、1977年のドラマなので当たり前~~。

俳優さんたちの熱演は見ごたえがあった。
十朱幸代の嫌味な妻(スッピン風場面もアリ!)、
「不幸が良く似合う」木村多江、
役所広司ももちろんよかったが
ザンネンだったのは
石坂と深津の恋愛に酔えなかったことだ。
何か違和感が・・

久しぶりの子供向きじゃないドラマで楽しめたけど
エンドロールにも終戦の映像を
もってくるのはどうかなあと思った。
見ているほうとしては、気持ちの置き所に迷ってしまう。

*関連記事
●「最後の自画像」

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「名曲ベストヒット歌謡」テレビ東京

2009年04月10日 | ★TV番組
VTRを交えて、
70年代のフォーク・歌謡曲のヒット曲を紹介するバラエティ。
進行はモト冬樹・竹下景子・コロッケ
いや~~面白かった。
歌の歌詞からも日本人のメンタリティって変わったんだなと
つくづく思った。

私はひとり連絡船に乗り、
こごえそうなかもめ見つめ泣いていました
あなたの決してお邪魔はしないからおそばにおいて欲しいのよ
着てはもらえぬセーターを涙こらえて編んでます
私が捧げたその人にあなただけよとすがって泣いた
ばかなばかなばかな女の怨み節。
二度としないわ恋なんか。
あなたあなたあなたあなたあ~なた(一回足りなかった)ああ、私のあなた
お別れするなら死にたいわ 女だから

愛して泣いて耐え忍び、捨てられる:昭和の女のイメージは一環している。
清張の小説にもよく出てくるような、不幸な女のブルースだ。
今こんな風情の女はいるでしょうか____

なんたって







肉食動物といわれてるくらいですからね~~~!

厭世的な歌もアリ。

♪生まれたときが悪いのか
それともオレが悪いのか
ずばり「昭和ブルース」ダア~~~!
天知茂!!渋い。

♪なにから何まで真っ暗闇よ。筋のとおらぬことばかり
ヤッタア!
傷だらけの人生」ダ~~!
あらためてすごいタイトル。
鶴田浩二、痺れます。

最後の最後にお子様は見てはいけない18禁・R指定のようなふたり組、
スタジオで熱唱。

♪貧しさに負けた。いいえ世間に負けた~~

昭和枯れすすき

さくらと一郎の冥府魔道な歌にとどめをさされた~~!!
この世に
生きる苦しみを全身全霊で表現しておられる。
息はばっちり合っている、
すごいパフォーマンス。
夢に出そう~~
いえ よかったんです。

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