邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

東京モダン:「ナオキ」

2010年01月26日 | ★TV番組
BShi で
海外の映画監督が現代日本の断面を撮った
ドキュメンタリー・シリーズ「東京モダン」を見た。

昨日はイギリスのショーン・マカリスター監督作品:「ナオキ」


山形に住む58歳のナオキという男性と、
親子ほど年が離れた29歳の女性の同棲生活を
二人とほぼ同居するように狭いアパートに入り込んで撮っている。
また
女性の実家に潜入レポ?することによって、
地方の土着的な雰囲気もよくとらえられ
平成版ATGのような雰囲気がかもしだされていた。
男がパートタイムで働いている職場も
特別許可で映されていた。

イギリス人監督の素直な疑問も
好奇の視線もストレートに表現されている
優れたドキュメンタリーだったが
見た後なんともやりきれない気分になった。

元学生運動家でバブルで一文無しになったという、
弁がたつ男性に説教?されて、
言い返す術も知らずただ涙をこぼす女性の
化粧を取った顔は中学生のように幼い。

女性はフルタイムで事務の仕事をしながら週三回夜の勤めにも出ている。
そして働きの少ない男にこづかいを与えている・・
「働いても働いてもお金が無い。あの人の飲み代も全部払っている・・」

言い争い、そして仲直り。またいつもの生活。

マカリスター監督は女の涙も男の矛盾も全て映し出していた。

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龍馬 in 千葉道場

2010年01月25日 | ★TV番組
福山雅治、ヘラクレス?級の鍛え抜かれた身体を披露。
という巧み極まる宣伝にホイホイ乗った私は一体??

チラ見せでしたが、なるほどカッコよかったですね。

明るい笑顔が清々しく、その魅力が突出している。
脚本は最近のドラマっぽく
解りやすいが
福山君が喋ると台詞にも説得力が出る。

台詞といえば
「ダイナマイトどんどん」で菅原文太の兄弟分を演じた
小島秀哉のお腹からズンと出るど迫力の声、
テンポのいい台詞が凄すぎて可笑しい、この人一体誰?と思ったら、

藤山完美と共に長年松竹新喜劇を支えた、
関西では超有名な俳優さんで
今も舞台中心に活躍されているそうだ。

さすが舞台で鍛えている方は違うなと思ったと同時に
黄金期の松竹新喜劇も生で見てみたかったなあと
思った次第。

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「ダイナマイトどんどん」

2010年01月23日 | ★痛快!な映画
終戦まもない北九州では
ヤ●ザの抗争が激化していた。
頭を悩ませた警察は、
なんと野球で勝負をしたらどうかい?と提案する・・

喜八センスが爆発する荒唐無稽ストーリー。原作は火野葦平。
菅原文太の百面相や宴会踊りも見られます。

文太アニイとミスター鉄砲玉:北大路欣也のツーショットは
まるで「仁義なき戦い:広島死闘篇」なのに
中身はぶっ飛んでいる。

「あんた極道のクセに野球せんとね!?」

熱く、はぎれのいい九州弁の中、北大路だけが標準語でひとりだけクール。

俳優さんも持ち味を最高に出している。
特に高齢の大親分役の嵐寛寿郎が出てくると爆笑必至!
似た発想のネタを今“いとし・こいし”の真似として知られる
ビーグル38」がやっているけど、こっちのほうがより過激!!

女性陣では宮下順子、伊佐山ひろ子、桜町弘子、いずれも色っぽい。
他にもピンク?紫?のスーツが異常に似合う岸田森
酒好きのピッチャー田中邦衛
往年のスーパー選手役のフランキー、
文太と二人、「昭和残侠伝」さながらに
死に装束で敵地に乗り込む小島秀哉
大真面目にカッコつけていて可笑しい。
一見高倉健と池部良みたいなのにメチャメチャ!

任侠映画のパロディのような面白さだが、
後半のGHQまで登場するシュールな展開は「ジャズ大名」を髣髴とさせる、
なんでもアリのハチャメチャぶり。

岡本監督も戦争を体験しておられるが
それがこの突き抜けた作風を創りあげたのかと僭越ながら想像する。

しかし
深い意味は無い、身体で感じろ!という声が聞こえました。

どんどん!

1978年 
監督:岡本喜八
脚本:井手俊郎・古田求
原作:火野葦平
出演:菅原文太・宮下順子・
北大路欣也・嵐寛寿郎・金子信雄・
岸田森・中谷一郎・フランキー堺・小島秀哉・石橋正次・田中邦衛などなど

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「知るを楽しむ」元祖:ホームドラマ:小津

2010年01月21日 | ★TV番組
ハリウッド映画のドタバタコメディに憧れていた小津が
戦争から復員して自分しか出来ないテーマ、
「親と子」を見つけ、じっくり腰をすえて取り組んで
出来たのが「晩春」であると。

色々ブレながらそのテーマを見つけたと志らくさんが分析。

**********

志らくが「晩春」の原節子の口真似をしていたが
何かが乗り移ったかのようで
鬼気迫った。

小津映画のくすっと笑いたくなるような
絶妙なユーモアセンスが好きです。
戦争の体験を通して
これしかない!と思ったのが「親と子」だったのだろうか。

どこか乾いたところ、
厭世観が漂うのも熾烈な戦争体験からかもしれないと
思った。

山田洋次が舞台で「麦秋」をやるそうだ。
小津作品はあの「フレーム」の中で完結していると
思っていたので意外。
あの世界を舞台でどのように表現するのだろうか。

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「侍」再見

2010年01月19日 | ★ぐっとくる時代劇
「桜田門ノ変」の記事を書いてから
たまらなく「侍」が見たくなって
再見!

最初の映像から桜田門だったのね!

カメラとカット割りが
カッコよくて痺れる。

脚本は
星野監物(伊藤雄之助)率いる水戸浪士が
浪人鶴千代(三船敏郎)の素性を探る動きと
鶴千代の生い立ちを知る東野英冶郎の語り、
狂言回しの役割を果たす記録係の記述と、
三本立ての構成で
次はどうなるどうなると引っ張り込まれていく。

橋本忍の真骨頂。
さすが~~~~!の上手さ。

ラストの死闘は
なんとたっぷり8分!

その間、よけいな音楽は一切入れず、
歌舞伎の雪の場面で使われる
太鼓を打ち鳴らす「ドン!」「ドン!」という音が合間に入るだけ。
音が消されたような雪景色の中
凄まじい雄叫びと呻き声が響き渡る。
ここで変な音楽が入ることなど考えられない緊迫感だ。

襲われた側も襲った側も死に物狂い。
現場のモタモタ、ゴタゴタ、ズビズバ?が手に取るように伝わってくる。

すごい臨場感で息がつけない!
高々と首を挙げる三船の表情と後姿は
何かに呪われているようで
ギリシャ悲劇と言うよりはホラー!

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