邦画ブラボー

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師走に「脱獄広島殺人囚」

2015年12月30日 | ★ハードボイルドな映画

今年も残すところ

あと二日となってしまいました。

 

残ったお仕事を片付けていらっしゃるのでしょうか?

大掃除、忘年会、おせち作り、

年賀状書きでしょうか?障子張り?お餅つきかな?

・・・・・・

とにかく気忙しくされているかと

存じます。

 

という私は、ちょいとソファに座ってHDDを

ひょいと覗いてしまったのが百年目、

録画した松方弘樹主演の映画

に引き込まれてしまいました。

 

脱獄広島殺人囚」(1974年公開)(^_^;)

 

これが滅法面白くて

他のことはそっちのけになってしまったんですわ。

監督は中島貞夫。

松方弘樹の目の下は真っ黒だし、

広島弁炸裂がまるで「仁義・・・」を思い出させるし、

舞台のほとんどが刑務所だし、

年の暮れに見るにはちょっとヘビイかなと

思っていたのも束の間、

あれ?これってコメディなの?と

思わせる珍妙な演出に思わず身を乗り出してしまったのです。

地上波では放送できないような

演出も多々アリ。実在の人物がモデルだそうな。

 

何度も何度も脱獄し、捕えられて懲罰房に入れられても

微塵もへこたれることなく、さらに罪を重ね、

破れかぶれで

本能のままに生きる男の生き様に

開いた口がふさがりません。

 

なんでこんなにしぶといの?

狂犬?いや

ゴキブリのように強靭な生命力です。

 

西洋映画で

ポール・ニューマン主演の

脱獄映画がありましたが、あんな爽やかなナイスガイとは

対局をなす、ダーティな男です(^_^;)

 

でも、

粗暴で

シリアスな表情とは裏腹の、

小狡くてハチャメチャな

「心の声」が笑わせます。

 

筋金入りの極道、

伊吹吾郎とのやりとりには

腹を抱えてしまいました。

あっ、出演陣も

すごく豪華です。

金子信夫、西村晃、梅宮辰夫、室田日出男、大谷直子なんかも出てます。

渡瀬恒彦の、完成されたチンピラ風巻き舌には舌を巻きました (^_^;)

 

ハードな場面が続く中、ラストシーンは

妙に突き抜けた明るさがあり、救われます。

この男のその後も想像できるだけに、

言い知れぬ感動を覚えました。

 

松方弘樹の軽妙な魅力を発見した一本でした。

 

さあ 明日は大晦日!今年も終わりですね!

 

 

 

 

 

 

 

 


「出所祝い」

2015年05月09日 | ★ハードボイルドな映画

東宝が初めて手掛けたやくざ映画。

 

 

 

珍しく仲代達矢がやくざ役を演じてます。

 

設定が昭和初期ということで

 

振り回すのはドス。着流しの任侠の世界。

 

安藤昇

 

丹波哲郎

 

栗原小巻

 

田中邦衛

 

黒沢年男

 

夏八木勲

 

天本英世

 

江波杏子・・・

 

 

豪華な顔ぶれが並びます。

 

栗原小巻は清純なお嬢さん役で

 

掃き溜めに(失礼)鶴のごとし・・・

 

 

 

青森が舞台。

 

やくざ同士の抗争を描いてますが、

 

ねぶた祭りを大胆に使うわ

 

バックに鳴り響くのは高橋竹山の津軽三味線ですから、

 

それは盛り上がりますわ。

 

五社エンターテイメントは決して観客を裏切りません。

 

 

 

ゴージャスなこの映画の肝は、

 

なんといっても安藤昇のたたずまい。

 

一言セリフを言っただけでずっしり・・

 

背筋がぞぉ~~~っとする本物の迫力があります。

 

祭りの太鼓の乱れ打ちを披露する場面は

 

お宝映像でしょう。

 

のちに仲代さんがインタビューでも

 

「安藤昇さんの迫力が素晴らしい映画です」と言ってます。

 

出入りの場面は

 

高倉健さんを意識したとか・・・とバラしてました。

 

確かに

 

丁寧語で乗り込むところ、ちょっと似てます。

 

 

 

見せ場はいくつかありますが、

 

もっとも印象的だったのは

 

田中邦衛が二人組の色っぽい女殺し屋に惨殺されるシーン!

 

五社監督の「これでもか!」の

 

ねちっこいサービス精神が感じられます。

 

 

 

それにしてもただならない色っぽさだなと思って調べたら、

 

ピンク映画出身で寺山修司に気に入られて天井桟敷に移った

 

新高恵子さんだったんですね。

 

あまりセリフはありませんが、着物から大胆にのぞかせる太腿とか、素晴らしいです。

 

 

 

残酷な修羅場も五社監督の手にかかれば

 

濡れ場のような色っぽさを感じさせられるんですよね。

 

残酷絵みたいな、嗜虐美っていうんですか。

 

 

 

その極みが仲代VS夏八木

 

津軽の荒海を背にしての死闘です。

 

二人とも半裸、血まみれで戦うのですが、見ようによっては

 

究極のラブシーンのような???バックミュージックは津軽三味線です。

 

 

 

男の美学が散りばめられた、五社版血とエロスの世界へようこそ!!

 

 

 

1971年 五社英雄監督作品

 

日本映画専門チャンネルにて


大幹部 殴り込み by 渡哲也

2014年06月28日 | ★ハードボイルドな映画

渡哲也が

チンピラヤ●ザを全開で演じきっております。

 

のっけから肝が据わった鉄砲玉ぶりを発揮する

渡アニイとそのまたアニイ(青木義朗)、そして手堅い仕事しそうな

藤竜也のトリオ。

 

冒頭の、激しいアクションのたたみかけは

007をほうふつとさせるスピーディさです。

いやホント!

 

おつとめを終えて出てきてみたら

その世界の力関係はがらりと変わっていた。

 

キャストが超豪華なのも

ただの娯楽作品とは一線を画したたたずまい。

いくつかの見どころがあります。

 

●アニイたちの固い絆 (渡 青木 藤): 藤と青木の最後はグッとくること請け合い

●チンピラ三下たち(尾藤イサオ・佐々木功ら)と渡の絆:尾藤が歌う場面アリ

●昔ながらの仁義派青木(時々血を吐く!)と、恋女房(岩崎加根子)の愛

●足を洗って町工場で働く浜田光夫と可愛い小山ルミの純愛

●渡に昔撃たれて片腕を失ったヤ●ザの恨みと奇妙な心理

●ヤ●ザを憎みながら渡に魅かれてしまう横山リエのクールな美貌

●安部徹と金子信雄の悪玉親分ぶり!

 

これらの人間ドラマが絶妙にちりばめられた上

かつ

スピーディ。

 

 「えっここまでやるの?」

「もうやめといてあげといてくれる!?」

思い切った暴力描写にたじろぐも

ライブ感あふれるカメラワークや

渡哲也がフラフラな頭で自問自答するなど

時折差し込まれるシュールな演出

にひきつけられる。

 

完全無敵のスーパーヒーローじゃなくて

等身大の人間であるところも

臨場感あるのです。

 

最後のショットも

余韻をもたせてニクイ。 あの後、渡アニイはどうなったのか・・・・

 

狂犬のような渡哲也がふと見せる

寂しさ、愚かさ

可笑しさ、可愛らしさ。

心に残ります。

 

監督 舛田利雄 


脚本 棚田吾郎、舛田利雄
美術 木村威夫
出演 渡哲也 青木義朗 藤竜也 

横山リエ 岩崎加根子 金子信雄 安部徹 浜田光夫 尾藤イサオ 佐々木功 深江章喜

1969年日活

 

チャンネルNECOにて


「闇を裂く一発」

2012年10月13日 | ★ハードボイルドな映画

峰岸隆之介(徹)は

赤木圭一郎にも負けない魅力があると

思うんだけど

なぜかコレといったヒット作が無い。(「サード」ほんの一瞬の出演でしたが良かったですね)

これは貴重な主演作。

しかも脚本が黒澤映画も手がけている

菊島隆三とくれば、

観ないわけにはいかないじゃありませんか!

監督は村野鐡太郎。

 

あまり知られていない作品だけど

露口茂、加藤武などキャストも超渋め、

演出もタイトで面白かった!

 

なんといっても

登場人物の肉付けが秀逸です。

ちょっと「野良犬」を思わせる

雰囲気もあった。

言葉尻から、

人となりが浮かびあがってくる手腕がさすがである。

 

ベテランアナログ刑事、

露口茂は防弾チョッキも着ない。

「サングラスをかけるやつは好かん!」

「オレは仕事で興奮してくると咳が出るんだ」

峰岸はオリンピックを目指す射撃の名手。

凶悪犯罪が起こり 露口とコンビを組まされる。

最初はぎくしゃくしている関係も次第に打ち解けてくるが・・・

 

はっとさせられる台詞も満載だ。

「若い者は何か夢中になれるものが必要なんだ」

「人間なんて一皮むけばみな同じだ。悪いことをしたやつが悪人になる」

たたき上げ刑事らしい含蓄のある台詞が

露口茂の声で言われるとまた味わいもひとしお。

青い峰岸君にもちゃんと見せ場は用意されています。

 

野球場でのラストは抜群に臨場感があり

はらはらさせられる。

佐藤允は

冷酷非情な犯人役がぴったりはまってます。この人の

悪役はほんとに怖いですね。

 

峰岸隆之介も他界してしまった。

感無量。

ただ峰岸の射撃仲間として

今も現役で良く物真似もされている

平泉征が若さいっぱい、精気あふれるキャラを演じていて

現在の落ち着いたお姿との対比に

またまた隔世の感を強くした。

 

男っぽくて乾いた感じのカッコイイ映画でした。

 

日本映画専門チャンネル

 

 

 

 

 


「デンデラ」見たよ~~~!!

2011年06月30日 | ★ハードボイルドな映画

映画館に足を踏み込んだら

すでにそこは

 

「デンデラ」だった!

 

ロードショーでこんなにたくさんのデンデラ、

いやシニア女性が集っているのをはじめて見た!!

会場ほぼ満席状態も初めて!

「パイレーツオブカリビアン」なんのそのの大入りだ。

正真正銘ほぼ95%の観客がデンデラ、

いや中高年だ!

始まる前までは

芳しくおしゃべりしたりお菓子を食べていたデンデラたちも

映画が始まると、食い入るように画面にひきつけらていた。

 

物語は「楢山節考」のその後。

お山に捨てられた老女たちは生きていた!

虚飾を剥ぎ取ったガチの

本音のぶつかり合いに観客全員、身につまされっぱなし!!?

 

生きることとはなんぞや

この世とはなんぞや???

 

浅丘ルリ子さま(神がかり)

山本陽子さま

草笛光子さま

倍賞美津子さま

赤座美代子さま

角替和枝さま

白川和子さま

山口果林さま

・・・・・

 拝みたいです。

 

 実力バッチリの女優さんたちの

ものすごい女優魂に感服した。

カメラ、音楽もよかったです。

 

浅丘ルリ子と山本陽子のツーショットでは

かつての楚々とした山本陽子の着物姿と、

日活時代の愛らしいルリ子ちゃんの

姿が脳裏を駆け巡り

あまりのギャップに頭がぐらぐらした。

ルリ子ちゃんがすごいのはわかりきっていたけれど

他に

山口美也子がカッコよくてぶるぶるしてしまいました。

東映さまの、

鑑賞券1000円均一という英断にも拍手を送りたい!

舞台は酷寒の山奥だけれど、

猛暑に向けて、

ものすごい

パワーをもらった!

出演者、スタッフの皆さんほんとにありがとう。お疲れ様でした。

全女性必見!!

(男性には怖すぎるかも)

●「デンデラ」公式サイト

映画のカテゴリーを何にするか考えたのですが

これは

ハードボイルドだ!

 

蛇足ですが 浅丘ルリ子って芸術ですね・・・