ご無沙汰しておりましたな。目先を変えて日本のエンターテーンメントから一冊。
まえに確かハヤカワだったか、日本のハードボイルドとかいう本を読んだんですが、いやはやこれが、、、。私はこの方面が疎いものですからそこにあったリストから何冊か読んだんですが、これがそうかよ、というのが多かった。藤沢周平ってんですか、なんと言ったかな、消された女とか消えた女だったかな、これまでハードボイルドというんですね。なるほどと勉強した次第です。
そこで北方氏の名前があったかどうか、本を捨ててしまったので記憶がないのですが、印象に残っていないから、この本の著者は重視していないのでしょう。
北方氏と言うのは最近はシナものを書いておられるそうですが、この檻はハードボイルドというか冒険小説というジャンルらしい。30年くらい前のものだそうです。解説がよかったですな。北上次郎氏。この人はほめ言葉がうまい。それで買ったわけ。
印象は「ほう、ふむ」ですな。少しの感心といくばくかの驚きの平均値が「ほう、ふむ」のアタイです。
へえ、こんな文章を書く人がいるんだ、という印象。日本ではハードボイルドといえども文章がべとついている。湿っている。北方氏は異質ですな。悪くありません。
ただ、小道具の使い方がくどい。主人公は冷えたコーヒーしか飲まない、のはいいが、彼が主語になるたびに、コーヒーの飲み方の注釈が入る。これは余計ですな。すこし刈り込んだほうがいい。刑事のほうは出てくるたびにライターの火打石がなかなかつかない。こんなのも毎回書く必要はありません。
枕詞のつもりで使うなら二回目からは短くしないと。
内容についてはやたらと「男の友情、掟」みたいなことが芸もなく繰り返されている。画一的なことが出てくる。東映の任侠映画みたいですな。文章のドライさに比べて明確な欠点です。こう友情が出てくると、あるいは先輩に対する体育会系みたいな盲目的な崇拝があからさまに出てくると、ホモ小説と間違われます。
拳銃よりも刃物のほうが、はるかに恐怖感を与えるあたりはよく書けています。
ま、ロンググッドバイで勉強するんですな。