穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

ヘーゲルのイディオレクト

2019-01-24 08:02:29 | 妊娠五か月

 Idiolectとはギリシャ語源です。Idiot(平民、無知な人、転じてまぬけ))とLect(話す)の合成語です。転じて個人言語、幼児ことば(マーマー語)となります。

 ちなみにDialecticはやはりギリシャ語源で『Dia(横断的に)とLect(話す)、つまり問答、複数人による議論』から来ています。

  前に哲学の翻訳用語の不適切さに触れましたが、明治時代?ディアレクティックを弁証法と訳したのは間違いとはいえない。訳者は弁証法とは『弁じたてて自分の主張の正しさを証明する技術』ととらえたのでしょう。プラトンの問答法やアリストテレスの用語(dialektike techne)が念頭にあったと思われる。適切な訳語と言えるでしょう。

  間違いはカントやヘーゲルが全然違う意味で自分たちの説をDialectic(X弁証法)と呼称したことです。しかもカントとヘーゲルでは同じ弁証法といっても全然関係のない別のことを言っている。プラトンの問答法とも関係がない。しいて関係をこじつければヘーゲルの場合『すべての存在や概念には自分のうちに否定のモーメントを含み、お互いに相争い、浸透しあい(正反)、そして止揚(合)する、という無限の果てしない掛け合い(ひとり漫才すなわち問答)のことだ』と強弁すれば一理あるかもしれないが。

 

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