穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

万引き

2010-03-22 07:31:32 | 本と雑誌

前にあげた「本屋のビニール袋」という記事に割とアクセスがあるので、本屋ものをもう一つ。

万引きの被害が多いらしい。それで書店では万引き防止対策を店員に教育しているらしいが、とんでもない教育をしているらしいので注意しておこう。

立ち読みをしていると、後ろから足音もなく近付いて、いきなり「いらっしゃいませ」とか「こんにちわ」とか大きな声を出す。お客様の後ろから挨拶するのが無礼千万なことが分からないのかね。

挨拶は正対して行うものだ。客が入るとすぐに後ろをつけてきていきなり「こんにちわ」という。万引きを牽制するために効果があると思っているようだ。やみくもに声をかけるように教育されているのだろう。

このあいだ、店員を見たらちょっとかわいい女の子だったので「待ちなさい。客に挨拶をするときは正面から頭を下げてするものだよ。そういう風に教育をされていないのかね」とイチャモンをつけてやった。

美少女の女店員はパニック状態だ。「いったいどういう店員教育をしているのだ。すぐに店長を呼んできなさい」と追い打ちをかけるが美少女は金縛りにあったように動けない。あんまり品のない意地悪をしてもしょうがないかな、と考えていると目が覚めた。

あれは腹がたつものだ。おそらく入ってきたときから目をつけているのだろう。あるいは裏の事務所から隠しカメラで店内を監視しているのかもしれない。怪しいと思う客が入ってくると店内の店員に連絡がいくらしい。

そうすると、納得がいくね。オイラは疑われそうな格好をしている。どういうのが疑わしいと思えと教育されているのだろう。大きな紙袋を持っていることがある。あれは便利だからね。たくさん入るし、地面や電車で床に直接おいても汚れが気にならない。大体袋は消耗品だから何回か使えば捨てる。

それにああいう紙袋はよくくれるだろう。ほうっておくと家にたまってしまう。家に置いておいても場所をとるだけだから活用する。大きな口の大きな紙袋が万引きの目安になるのかな、と思い当った。

本屋業界共通の社員教育用の万引きマニュアルがあるのだろう。しかし、マイノリティだが常識的に、良識的に運用している書店もまれにある。そこでは後ろからいきなり挨拶とも思えない挨拶を客に浴びせて驚かせることもない。

書店業界にはいろいろ問題があるよ。衰退を嘆く前に良識をもって店員(ほとんどアルバイトなのだろうが)を教育したまえ。

思い出したから、もうひとつ書いておく。個人書店だ。棚から出して中身を確かめたが買うほどのことはないな、と元に戻したが、ぎちぎちに詰まっていて奥まで入らない。そこですこし端が飛び出したままにしておくと、口のひんまがった老人が飛び出してきてどなりだした。

ちゃんと戻せというのだ。しかし、固くて入らないよ、というとますます怒りだした。こんな男は珍しいのだろうが、大書店でも棚にギチギチに本をつめているところがある。これも万引き対策らしい。立ち読みをさせないためか、あるいは目立つためかもしれない。