佐々木譲著「ユニット」文春文庫 2005.12.10 714+tax
妻がレイプされ殺された上、一才になる娘をも巻き添えで殺された真鍋。事件のトラウマにより酒に溺れる日々を送っていた。
門脇裕子は結婚以来の家庭内暴力に苦しみ、もう限界を感じて5歳になる息子を連れて家出をした。家庭内で暴力を振るう夫はあろうことか現職の刑事であり、たちまち居所を探られるのではないかと恐怖を感じる裕子であった。
小さな工務店を経営する波多野はいわゆる「熟年離婚」というやつで妻が突然出て行ってしまい、食事から会社の雑用まで妻にすっかり依存していた分途方に暮れるのであった。
そんなまったく違った世界に生きてきた三人が地下鉄での飛び込み自殺の事件をきっかけに結ばれることになる。
真鍋は波多野工務店での現場仕事、裕子は炊事婦として働き出すのだが、真鍋の妻子を殺した当時17歳の少年がわずか7年後に服役を終え刑務所を出所した事実を知った真鍋は許されえぬ犯人に対し猛烈な殺意を抱くのであった。
そして「制裁」の計画を練り実行しようとする。
一方、裕子の夫は警察という立場を利用して社会福祉事務所、女性救援介護センターのルートを辿り、裕子の隠れる波多野工務店にせまりつつあった。
物語の内容は今では日常のマスコミをにぎわしている「未成年者による凶悪事件」、「家庭内暴力」、「熟年離婚」などの問題を取り扱っているのだが、小説世界で描かれる事件が今や何の誇張も感じないほど現実世界での事件の方が陰惨であり過剰である気がする。
取り扱うテーマがあまりにも重過ぎるため、結末はどうなるのだろう?とページをくる手が止まらなくなるのはやはり佐々木譲の筆力によるものであろう。また表題となった「ユニット」の意味が最後にわかるのであるが、この辺りはやはり佐々木譲的カタルシスのあるエンディングではなかろうか。
ちなみに昨夜テレ朝系列「土曜ワイド劇場」で同名のタイトル「ユニット」として放映されていたのは何とタイムリーであった。
舞台が北海道から関東に変わった点といくつかの脚本上の変更を別として原作からの逸脱はそんなになかったかと思う。
妻がレイプされ殺された上、一才になる娘をも巻き添えで殺された真鍋。事件のトラウマにより酒に溺れる日々を送っていた。
門脇裕子は結婚以来の家庭内暴力に苦しみ、もう限界を感じて5歳になる息子を連れて家出をした。家庭内で暴力を振るう夫はあろうことか現職の刑事であり、たちまち居所を探られるのではないかと恐怖を感じる裕子であった。
小さな工務店を経営する波多野はいわゆる「熟年離婚」というやつで妻が突然出て行ってしまい、食事から会社の雑用まで妻にすっかり依存していた分途方に暮れるのであった。
そんなまったく違った世界に生きてきた三人が地下鉄での飛び込み自殺の事件をきっかけに結ばれることになる。
真鍋は波多野工務店での現場仕事、裕子は炊事婦として働き出すのだが、真鍋の妻子を殺した当時17歳の少年がわずか7年後に服役を終え刑務所を出所した事実を知った真鍋は許されえぬ犯人に対し猛烈な殺意を抱くのであった。
そして「制裁」の計画を練り実行しようとする。
一方、裕子の夫は警察という立場を利用して社会福祉事務所、女性救援介護センターのルートを辿り、裕子の隠れる波多野工務店にせまりつつあった。
物語の内容は今では日常のマスコミをにぎわしている「未成年者による凶悪事件」、「家庭内暴力」、「熟年離婚」などの問題を取り扱っているのだが、小説世界で描かれる事件が今や何の誇張も感じないほど現実世界での事件の方が陰惨であり過剰である気がする。
取り扱うテーマがあまりにも重過ぎるため、結末はどうなるのだろう?とページをくる手が止まらなくなるのはやはり佐々木譲の筆力によるものであろう。また表題となった「ユニット」の意味が最後にわかるのであるが、この辺りはやはり佐々木譲的カタルシスのあるエンディングではなかろうか。
ちなみに昨夜テレ朝系列「土曜ワイド劇場」で同名のタイトル「ユニット」として放映されていたのは何とタイムリーであった。
舞台が北海道から関東に変わった点といくつかの脚本上の変更を別として原作からの逸脱はそんなになかったかと思う。
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