min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙 東雲ノ空』

2012-02-12 00:07:00 | 時代小説
佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙 東雲ノ空』双葉文庫 2012.1.15 第1刷 

おススメ度:★★★★☆

姥捨ての郷での死闘を切り抜けた磐音一統はいよいよ江戸へ戻る決意をした。
しかしこの時おこんに第二子が宿っていることが判り、第二子もここで出産するよう住民から強く勧められたのだが、おこんの望郷の念は強く妊娠が安定するのを待ち江戸へ旅たったのであった。
磐音一行は真っ直ぐに江戸へ向かったわけではなく、往路にて多くの助力を得た京の茶屋本家中島屋に立ち寄り、高野山奥の院光然老師の縁で帝にも会うことが出来た。
この地で帰京後の対田沼一派の対応策を協議した。
また尾張名古屋では尾張徳川家の重臣たちとも会い、今後の田沼降ろしの秘策を練ったのは言うまでもない。ある程度の根回しを終え、磐音一行はいよいよ江戸へと向かった。
一行の江戸入りを阻む田沼一派の目を欺き、わりとすんなり上京した磐音らはおこん、空也と共に両国橋の上から江戸の町の賑わいを眺め、万感胸にせまるものがあった。
更に磐音を驚かせるものが待っていた。それは江戸随一の両替商今津屋が江戸郊外にある御寮の一角に新たに尚武館を建て、磐音の再興を図っていたのだ。
弟子の再結集を阻むべく、それぞれの所属藩に圧力を加えたり、刺客を差し向けることも怠らなかった。だが、そのような嫌がらせに屈する磐音ではなかった。
江戸に再結集した旧尚武館の門弟たちと早速稽古に打ち込む磐音であったが、一方、愛弟子の二人デブ軍鶏こと利次郎と霧子との恋の行方やヤセ軍鶏こと辰平の恋も描く。
また早苗の尚武館奉公の復帰やら磐音を取り巻く人々の人間模様がとりこぼしなく描かれてゆく。
前述の対田村意次戦の端緒は“山流し”に会った速水左近の江戸への復帰工作であった。この裏には磐音の徳川御三家への準備周到な作戦が功を奏した。
かくして対田沼一派との最終戦争がいよいよ始まろうとしている。今後の展開が楽しみになってきた。