今回は “クソ”が付く言葉です。“クソ”と聞くと、つい「糞」をイメージしてしまいますが、少し違うようです。
◆「なにくそ」
困難な事態に出会ったときに、くじけそうな気持ちを奮いたたせるために発する語に「なにくそ」と言う言葉があり、時には<何糞>と言う漢字を当てられている事もあり、この語源が気になっていました。
「日本語の語源 ~目から鱗の語源ブログ~」によると、下記の説明があり、何となく腑に落ちました。
・「くそ」のつく言葉があります。例えば、ヘタクソ、ヤケクソ、クソマジメ、ボロクソなどがあります。また、クソ度胸。クソ面白くもない、などとも使われます。
・ これらの言葉におけるクソは、排泄物の糞(くそ)ではないようであり、必ずしも付ける必要はないと思われることから、本体語を強調するための言葉ではないかと思われます。
・ 一音節読みで、酷はクと読み、程度が著しことを表現するときに「とても、非常に、著しく」などの意味で使われ、総はソンと読み「総じて、すべて、まったく」の意味です。
つまり、ここでのクソは、「酷総」の多少の訛り読みであり、一つの表現で代表するとすれば、「まったく」の意味になり、これがこの言葉の語源のようです。
したがって、例えば、ヘタクソとは「全くヘタである」、クソマジメとは「ほんとうにマジメである」のような意味になります。
◆また、元ヤクルトでメジャーリーグにも在籍したことのある野球の岩村選手(現在はベースボール・チャレンジ・リーグの福島レッドホープスの球団代表の由です)が、「何苦楚(なにくそ)魂」を自分のキャッチフレーズとして、ヘルメットに「何苦楚」と書き、ブログのタイトルも「何苦楚」としている事で、非常に有名になっている様です。
同氏によればこの「何苦楚魂」は同氏の師匠的な存在であった有名な中西太さんの座右の銘である「何苦楚」に由来し、中西太氏はその意味を“人生は何ごとも苦しい時が自分の基礎(楚)を作るのだ”と言われていたようです。
元々はどこかの寺院の僧のような言葉のような気もしますが、この説も中々面白いです。
◆「やけくそ」
切羽詰まってなげやりな行動をとってしまうような心の状態を「やけくそ」といいますが、「笑える国語辞典」に拠れば、
・「やけ」は「自棄」と当てるが、もとは「焼け」。
「焼け」がなぜ「自棄(自分をかえりみず、大事にしないこと)」の意味になるのかについては諸説あるが、火事で焼けた銭を「焼け銭」「焼け」といい、悪貨として排斥されるのを「焼けになる」といったようなことが関係あるのではないかといわれる。火事にあったら、銭が使い物にならなくなるか否かを問わず、誰でも自暴自棄になるだろうから、ことさら「焼け銭」にこだわらなくてもよいかと思われる。
・「くそ」は大便のことではなく、「下手くそ」「胸くそが悪い」「くそおもしろくもない」などのように、前後の言葉を強調したり、強く卑しめたりする語だと普通は解釈される。
とありますが、上記の「なにくそ」の「くそ」と同じ用法でしょう。
また、余談ながら大阪人はこの「やけくそ」を使う場合に、直接「やけくそ」とは言わずに、「便所の火事」と言う洒落言葉を使う人が多いです。
◆「けたくそわるい」
いまいましい、しゃくにさわる、気分を害された、といった感情を表すのに、大阪弁ではよく、「けたくそ悪い」とか「けったくそ悪い」と言います。
この「くそ」は上記の「くそ」と同じく強調する言葉だと思われますが、その前の「けた」が判りませんでした。
「おおさかブランド」というホームページでは、
「けた」は、大阪弁の「けったい」と同じ語源で、易占いに現れた卦木の形「卦体」のこと。卦木の形が悪いのは、凶事の前触れであったことから、「縁起が悪い」「いまいましい」「奇妙な」といった意味で使われてきた。とありました。
尚、「くそったれ」と言う言葉は、そのものずばりの「糞垂れ」でしょう。(まさ)
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