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老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

どこかに「真理省」が?  その②  ~「1984年」と“真理省”~

2020年03月09日 19時47分56秒 | その他
(昨日は、ジョージ・オーウェルの紹介に終わりましたが、この項はこれからが本番です。)

 さて、ジョージ・オーウェルの代表作とでもいうべきディストピア小説の『1984年』ですが、その時代背景は大戦後では世界は3大ブロックに分割され、ユーラシア(当時のソ連が中心となり、ヨーロッパ大陸やアジア大陸の北部を含む広大な地域)、更にオセアニア(英米連合が中心となり、豪州やアフリア大陸を含む地域)、それにイ―スタシア(中国、日本などのアジア地域)が、お互いに競争しつつ、またお互いの離合を繰り返しながら、微妙なバランスを保って共存していますが、そのオセアニアが舞台になっています。

◆そして、この主人公であるウィンストンが暮らすオセアニア国では、テレスクリーンという一方通行的な強制メディアを通じて、政府からの伝達が一方的になされると共に、各人の行動は漏れなく把握されるようになっています。

◆更に、この国には真理省・平和省・愛情省・潤沢省という4つの省庁があり、その名称の持つイメージとは違ってそれぞれの管轄部門は下記の様になっています。
  真理省:報導・娯楽・教育・芸術
  平和省:戦争
  愛情省:法と秩序の維持
  潤沢省:経済問題


◆その中でも、特に重要なのはウィンストンが勤務する真理省で、「戦争は平和なり」「自由は隷従なり」「無知は力なり」という党の三つのスローガンを徹底させるために、あらゆる対応を担当しています。

 その為に、現在の党の方針に合致するように過去の歴史を書き換えることは極めて重大な課題で、そこでは過去の保存文書を破棄するとともに、人々の記憶力にも配慮して“かってあった事が、ない事にされたり”、“かってなかった事が、あった事にされたり”するために多くの公務員の労力が結集され、改ざん文書の作成に勤しんでいるのです。


 この小説が書かれてから約70年後の現在の我が国では、総理大臣自らが先頭に立って、身内優遇の施策を行うものですから、人事権を握られた優秀な(?)ヒラメ官僚達は、一丸となって小説の真理省の役人さながら保存すべき文書の抹消や書き換えに追われているのです。

 正に恐るべきは、小説家の想像力でしょう。(まさ)

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1 コメント

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そっくりですね (Genkinekojp)
2021-01-31 18:26:54
『1984年』はまさに原題の日本そのものですね。いくら小説といえども、ここまで予測できるとは凄い小説家ですね。今や日本のすべての省庁が「真理省」になってしまっています。それを防ぐ手立てをオーウェンは書き残しているのでしょうかね。渓谷的な小説に感謝しなければいけませんね。
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