老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

人工知能(AI)の将来  ~期待と不安~

2016年05月30日 21時11分51秒 | その他
 コンピューターに関する分野は、パソコンは文書作成とメール、そして写真の編集などには重宝して使っていますが、元々文系の私には、コンピューターの仕組みや、ましてコンピューター言語などは全く理解できない分野です。
従って、人口知能についても、産業用ロボットなどあくまで、使用する人がプログラムした通りに人間の手助けをしてくれる程度のことと思っていました。

 しかし、3月に米グーグルの研究部門であるGoogle DeepMind(※)が開発した囲碁AI(人工知能=Artificial Intelligence)の「AlphaGo(アルファ碁)」と、韓国最強のプロ棋士イ・セドル氏の5番勝負で、AIが4勝1敗の結果となったことが大きな話題になり、関心を持つようになり、新聞などを拾い読みしていました。
(※ 英国のベンチャー企業Deep Mind社はチェスの天才少年と呼ばれたDemis Hassabis氏らが2010年に創業し、2014年1月にGoogleが4億ドル以上で買収したようです)
 
 つい先日のTVで日本の代表的将棋棋士である羽生善治さんと、このAlphaGoの開発者であるDemis Hassabis氏との対談や、AIに関する色々な話を聞き、AIに対する理解が少し深まると共に、今後のAIの進化に対する期待や不安なども浮かんできました。

◆このAIは従来の人間が色々なプログラムを作成して、それに基づいて働きをする仕組みのコンピューターとは根本的に違い、ディープラーニング(Deep learning =深層学習=多層のニューラルネットによる機械学習)という手法を用いるようです。
この方法の詳細は、小生の頭では理解できませんが、AlphaGoのソフトウエアには、囲碁のルールすら組み込まれておらず、過去の棋譜をニューラルネットに入力する「教師あり学習」と、勝利を目標に囲碁AI同士を対局させて鍛える「強化学習(教師なし学習)」で、世界最強と称されるプロ棋士を破るまでに成長させたとのことです。
要するに、簡単な情報提供をして、後はコンピューター同士の相互学習を繰り返すことで、経験を深めて、目的への対応能力を蓄積するようなのです。

◆イ・セドル氏も対戦前には、“コンピューターがプロの人間に対戦するのは10年早い”と豪語していましたが、その背景には今まで言われていたような、“想像力・創造性・独創性や大局観は人間だけに特有”という思い上がりがあったことは歪めないでしょう。
しかし、大敗後は逆にさばさばした表情で負けを認め、AIの思いもよらない想像力・創造性・独創性・大局観と思えるような能力を認められたようです。

◆AlphaGoはその計算速度の速さにより、2015年10月の時点で、人間では到底なし得ない3000万局以上の自己対局をこなしたといわれており(人間が仮に1日当り3局を30年間続けたとしても、精々3.3万局位です)、これで蓄積した戦法は人間の想像以上に進化し、人間が今までの経験で“定石”(将棋では“定跡”)と信じている戦法などは、AIにとっては何も定石ではなく、取るに足らない手法だったのかもしれません。
こうなると、人間の思考の優位性は崩れ去り、“知能とは何か?”ということの定義を考え直す必要が出てくるかも知れませんね。

◆事実、AIのディープラーニングを利用して、車の自動運転システムや、交通渋滞を防ぐ信号システムなどの開発も、極めて近い将来にAIで対応出来るようになるようです。
更に、医学などの分野でも、経験を積んだ医師に負けない癌の発見などや、人間の声や表情から体調の変化や感情なども読み取るAIも簡単に期待できるようです。

◆しかしながら、一方でこのようなAIに恣意的に一方的な情報を集中して与えると、人種差別的な見解を持つようになったAIの例もあるようですし、個人番号制度を利用して人間一人ひとりの行動パターンを把握し恣意的に誘導することなどいとも簡単でしょう。
厄介なのは、現在ではディープラーニングには、人間が読解できる倫理コードはなく、ブラックボックス的な存在なので、この点を慎重に対応することが必要でしょう。

◆このようなスピードでAIが進化を重ね、更に最大の課題である倫理性を確立出来れば、現在の人間が“神”という名で呼んでいる精神的な領域にまで高まることが可能でしょうし、そうなれば現在の人類が直面していながらまだ解決できていない、環境/資源や富の分配/色々な差別というような分野もAIの力を借りて、飛躍的に解決方法が見つかるかも知れませんね。
そこまで行かなくても、自己顕示や金銭欲丸だしの、チマチマしてつまらない政治家は一掃してAIに任せた方が良いかも知れませんね。(まさ)