「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

ハートフルミステリー『ラットマン』by道尾秀介

2016年06月29日 | 小説レビュー
~結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。
次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。
事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。「BOOK」データベースより


「読んで良かった!」と思える小説って、なかなか出会えませんよね。

僕も、そう思えたのは30冊ぐらいですかね?もちろん、この『ラットマン』は、出会えて良かったと思える作品です!

1ページ目から、エレベーターの中でのやりとりに「これは何やっっ?」と、一瞬で引き込まれます。

そしてバンドマンたちの何気ない日常へと舞台は移り、23年前に話が戻るあたりから、「ハイハイ、いつもの道尾さんのサスペンス的な要素が出てきたね」と、思いながらも、グイグイ引き込まれます。

そして事件が起こり、一気に終盤まで持っていかれます。

夜中に、残り数十ページまできたところで、「クライマックスは明日ね!」と思い、一旦、本を閉じましたが、やっぱり結末が気になり、最後まで読みきってしまいました。

終盤に目まぐるしく動いていく展開の後に、「これが真相か!」・・・、「んっ!?」・・・、「ええっ!?」・・・、「そうやったんや・・・。」と、静かに物語は閉じられます。

そしてエピローグでは、救われたような穏やかな気持ちになり、巻末の大沢在昌氏の解説によって、さらに清々しい気持ちで本を閉じられました。

『シャドウ』を読んだ後で、『ラットマン』を読んだ順番は成功だったと思います。

『シャドウ』よりも、登場人物に感情移入しやすく、叙述トリックの仕掛け、回収の仕方などが、とってもきれいに収まっています。

隠れキャラ的な人物や、お店が出てくるので、そういう見方も楽しませてくれた要因のひとつです。

読み終えた後で、自分の物事の捉え方や、考え方についても深く考えさせられる作品で、また道尾秀介氏の作品を読みたくなる秀作でした!

★★★★4つです!
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おおっ!びっくり!

2016年06月28日 | 家族・友達
今日は、お昼ゴハンを買いに、職場の近所の「ほっともっと」に行きました。

チキン南蛮弁当を買って、職場までの道を戻っていると、懐かしい先輩にバッタリ

「おおっ!shuちゃん!久しぶりやん!なんや?弁当買ってんのか?ウチの会社、すぐ近くやから、おいでぇや!」と、誘われるままに、先輩の会社にお邪魔して、応接でお弁当を食べさせてもらうことになりました

お茶はもちろんのこと、お味噌汁も出してもらい、さらに食後のコーヒーまでご馳走になりました

懐かしい昔ばなしに花が咲き、ついつい休憩時間ギリギリまで話し込んでしまって、慌てて職場まで戻りましたわ

それにしても、ホンマに、人のご縁というものは有り難いなぁ〜と、感じた午後のひとときでした
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良くできています!『シャドウ』by道尾秀介

2016年06月27日 | 小説レビュー
~父とのささやかな幸せを願う小学校五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? 今最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作、待望の文庫化! 第七回本格ミステリ大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)


以前、貫井徳郎氏のことを「叙述トリック(読者をミスリードする仕掛け)の巧者」と書きましたが、さらに巧妙な仕掛けを施すのが、この道尾秀介氏でしょう!

大好きな作家さんの一人です!

巻末の解説にも書いてあるのですが、この『シャドウ』は『向日葵の咲かない夏』を読んだ方からの感想や評判等に応える形で書かれたとも言える作品のようです。

「向日葵の・・・」は、叙述トリックとしては、超一流の技法が用いられていますが、「それはナイやろ!」と思えるようなところもあり、設定自体に好みがわかれるところかと思いますので、万人から絶賛される作品ではありませんでした。(僕は好きですけどね)

そういう意味からも、この『シャドウ』は、道尾秀介氏を語る上で、押さえといた方がいいというか、入門編として読む作品かも知れません。

特に中盤の終わりあたりで「お父さんは◯◯◯◯じゃなかったんだよ!」と息子が叫ぶシーンでは、ドキッとするのと同時に、胸に熱いものが込み上げてきて、「相変わらず道尾さんはスゴいよなぁ!」と、感嘆しました。

伏線もしっかり回収してくれてますし、ラストも爽やかです。

★★★☆3.5です。
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最後にクスっと『疾風ロンド』by東野圭吾

2016年06月24日 | 小説レビュー
~強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え―そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。「BOOK」データベースより


軽い方の東野圭吾が出てきました(^_^;)

東野圭吾作品って「緊張の連からの大どんでん返し!」という作風と、非常に軽いタッチで最後に「はっはぁ〜ん、そうきたか( ̄∇ ̄*)」的な作品があると思うんです。

今回は後者ですね。

非常に軽いタッチで、ポンポンと、新雪の上を滑るように物語が進行します。

とても読みやすく、東野圭吾の入門編にはいいと思いますよ。

★★★3つです。
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しっとりと美しい描写『四日間の奇蹟』by浅倉卓弥

2016年06月22日 | 小説レビュー
~第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化。
脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。「BOOK」データベースより


筆者は、このデビュー作品で「第一回 このミステリーがすごい」大賞の金賞を受賞した作品とのフレコミだったので手に取りました。

読み終えた感想は「ミステリーよりもファンタジー」という感じです。

あっ!と驚く結末や、大どんでん返しなどはなく、物語も中盤までは、ゆったりと流れていきます。

途中で大事件(事故)が起こってからは、緊張感が増しますが、題名と登場人物のセリフから、結末が予想できて、その通りになります。

東野圭吾の『秘密』のような設定です。

500頁あるんですが、筆者独特の描写が美しく、なめらかで、読んでいて苦痛はありませんでした。

文中に出てくるクラシックの名曲をyoutubeで聴きながら読むと臨場感が増して、心地よかったですね。オススメです。

特にクライマックスの礼拝堂でのシーンでは、「月光」の第一楽章〜第三楽章まで順番に流しながら読んだので、感動もひとしおでした。

涙がボロボロと流れるまでには至らないんですが、「別れの曲」をBGMにしながら読むと、とても穏やかな気持ちでラストを迎えられました。

最終章で、後日談として、登場人物の近況に触れられますが、読んでいて目尻が下がるような粋な演出が施してあり、最後に清々しい気分になります。

もう半個☆をつけようか迷うところですが、他の作品との兼ね合いもあり、

★★★3つですね。
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伏線回収率70%(´Д`;)『修羅の終わり』by貫井徳郎

2016年06月17日 | 小説レビュー
~「あなたは前世で私の恋人だったの」。謎の少女・小織の一言を手がかりに、失った記憶を探し始める。自分は一体何者だ?姉はなぜ死んだ?レイプを繰り返す警官・鷲尾、秘密結社“夜叉の爪”を追う公安刑事・久我、記憶喪失の〈僕〉が、錯綜しながら驚愕のクライマックスへと登りつめる、若き俊英の傑作本格ミステリー。「BOOK」データベースより


『慟哭』に続く、貫井徳郎氏の2作目です。『慟哭』は、まさに「衝撃のラスト」やったんで、今回も期待しながら読みました。

790ページにわたる長編小説なんですが、「叙述トリック(文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法。登場人物の性別や国籍等を意図的に伏せることで、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与え、読後の衝撃をもたらすテクニック)」の巧者として名高い貫井徳郎氏の作品なので、最後の大どんでん返しに期待しながら読み進めました。

3人の人物の物語が、別々に進行していくストーリー(慟哭は2つの物語が同時進行)で、一回一回の話の区切りが短く、スラスラと読めます。

それぞれの物語が進むにつれ、疾走感と緊張感が増していき、張り巡らされた伏線が絡み合い、「いよいよ、3つの物語が結びつくでっ!」と、期待しながらクライマックスを迎えました。

しかし、結末は・・・、「まぁそれはわかっていたけど・・・」という感じで、『慟哭』を超えるような衝撃はありませんでした。

伏線回収率も70%ほどでしょうか?クライマックスを迎えるまでは、「これは期待できる!」と思って読んでいただけに、最後の落胆も大きく、「あいつは何者?」とか、「あの伏線は意味なかったんちゃう?」など、?が残る終わり方で残念でした。  

よって、★★★3つです。
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心温まる傑作!『ナミヤ雑貨店の奇蹟』by東野圭吾

2016年06月13日 | 小説レビュー
~悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。
廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。
時空を超えて過去から投函されたのか?3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。
次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?「BOOK」データベースより


一つめの話を読み終えた時に「あぁ~、短編集ね(^_^;)」と、少しガッカリしました。

しかし、しかし!読み進めていく内に「これはっ!傑作の予感っ!」と、なりました。

以下は少しネタバレの要素がありますので、ご注意下さい。

「時系列組み換え小説」は、伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』なんかが、僕のイチオシです。

この『ナミヤ雑貨店の奇蹟』も、短編集のようで、それぞれの話の登場人物がみんな、「ナミヤ雑貨店」を通じて、時空を超えて繋がっていたという、見事なプロット!最後の最後まで綺麗に伏線を回収してくれています!さすがは東野圭吾さんです!

それぞれの相談事が、とてもリアルに感じられ、現実に「私と同じや・・・」とか、自分の悩みと重ねられた読者も多いのでは?

いずれにしても、とても読みやすく、それでいて心に響くセリフや設定の数々、サラッと読めますが、実はとても深~イイ、快作だと思います。

★★★★4つです!
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緊迫感が足りんわ『王とサーカス』by米澤穂信

2016年06月09日 | 小説レビュー
~二〇〇一年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。
現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。
太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり…。
「この男は、わたしのために殺されたのか?あるいは―」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?
『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に遭遇する。
二〇〇一年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、米澤ミステリの記念碑的傑作!「BOOK」データベースより


「インシテミル」以来、2作目の米澤作品です。

インシテミルは、途中までは中々良かったんですが、最後に弛んでしまい、残念なオチになりました。

この「王とサーカス」は、題名からも、帯からも、「内に秘めたる熱気」のようなものを感じていました。

異国の地(ネパールのカトマンズ)が舞台で、何ともエキゾチックな雰囲気の中、エエ感じで物語が始まります。

がっ!いかんせん緊張感が足りません(-。-;) 終始、ダラダラと展開します。

題材と物語の設定は、とても素晴らしいと思うだけに、このテーマとエンディングのアイデアを東野圭吾や伊坂幸太郎に渡せば、もっともっと緊迫感があり、スリリングな展開になっていたことを思うと残念です。

まぁ、これはあくまでも僕の主観なので、絶賛されているレビューも多く見られることから、単に僕が米澤さんの文体を好まないだけなのかも(^_^;)

最後に大どんでん返しがありますが、
★★★3つです。
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