「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

ホンワカと気持ち良く『間宮兄弟』by江國香織

2018年11月29日 | 小説レビュー
~もてなくとも幸福に生きる兄弟の日常の物語 。
女性にふられると兄はビールを飲み、弟は新幹線を見に行く。
そんな間宮兄弟は人生を楽しむ術を知っている。
江國香織がもてない男性の日常を描いて話題になり、森田芳光監督の映画化も大ヒットした小説の待望の文庫化。(内容紹介より)


ホンワカとした雰囲気の中に、時折ピリッと効く世界観があります。

間宮兄弟は、そのタイトルからして、とてもインパクトがあり、僕も何となく内容は知っていました。

さて、ストーリーですが、早くに父親を亡くした兄弟は、お互いを尊重し思いやりながら同居しており、遠くで祖母と暮らす母親を労り、小さな幸せをコツコツ積み上げながら暮らしています。

そんな中に魅力的な女性が次々と登場し、兄弟は一生懸命にもてなし、恋に落ちたり、相談を持ちかけられたり、ドタバタのハートフルコメディの要素があります。

ただのお人好しのように映る兄弟なのですが、自分たちの生き方に誇りを持っており、ある意味では孤高の(二人ですが(^_^;)))生き方を貫いています。

趣味は、映画観賞、読書、音楽鑑賞、やりだしたら寝食を忘れて没頭してしまうことから「おもしろ地獄」と二人が名付けたジグソーパズル、その他、プラモデルやボードゲームなんかも大好きです。

小学生のピュアな心のまま大人になってしまたような二人の物語は、読んでいて気持ちの良い文章とキャラクター達に彩られており、万人から支持される作品だと思います。

2004年に映画化されているんですが、キャストがスゴい!

ドランクドラゴンの塚地と佐々木蔵之介が兄弟役で主演。女優陣が、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子、戸田菜穂、岩崎ひろみ、そして母親役が中島みゆきですよ!

その他、佐藤隆太、高嶋政宏など、豪華キャストで、映画を観たくなりました。

★★★3つです。
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読み応えある短編集『初陣―隠蔽捜査3.5』by今野敏

2018年11月27日 | 小説レビュー
~警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。
彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。
原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。
ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。
『隠蔽捜査』シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。(内容紹介より)

とっても面白い『隠蔽捜査シリーズ」の3.5ということで、『3-疑心』と『4-転迷』の間で発刊された、竜崎と伊丹のこれまでの裏話のような短編集です。

しかし、短編集と侮るなかれ!一つ一つの物語にとても意味があり、それぞれに教訓があります。

社会に出て働いている人なら、誰しもが直面する可能性がある「上司と部下との板挟み」や、「原理原則を大切にするあまり軋轢が生じる」や、「無理が通れば道理が引っ込む」という無茶な上司への対応や、社会の中で生きていく上で、とても参考になるエピソードが満載です。

それにしても、今野敏という作家は『竜崎伸也』というキャラクターを世に生み出した天才といえるでしょう!こんなキャラは見たことありませんし、グイグイ引き込まれて「このピンチ、竜崎はどうやってクリアしていくのか!?」と、息を呑みつつも、「きっと竜崎ならサラッと乗り切るよ!」と期待しながらページをめくります。

いつも明快に、そして誰もが納得する形で事を収めていく竜崎の手腕と発想に、心から敬意を表します。

『事実は小説より奇なり』と言われるので、こんなにうまくいくことばかりではないでしょうが、こういう組織としての理想像をひたむきに追いかけ、それを実現するであろう、竜崎の今後の活躍に期待です!

職場の同僚が今野敏の大ファンで、全巻貸してくれているので、楽しみながら読み進めていきたいと思います。

★★★☆3.5です。
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死生観について考えさせられる作品『死の島』by小池真里子

2018年11月26日 | 小説レビュー
~澤登志夫、69歳。文芸編集者としてエネルギーに満ちた時代を送った。
激しい恋愛の果てに妻子と別れ、痛恨の思いも皮肉に笑い飛ばして生きてきた―
彼を崇拝する26歳の宮島樹里の存在が、澤の過去と現在を映し出す。
プライド高く生きてきた男が余命を知って辿り着いた、荘厳な企み。
この尊厳死は罪か―現代をゆさぶる傑作長編。「BOOK」データベースより


「自分は何歳まで生きられるのか?」、「何歳まで生きたいか?」、「どのように死にたいか?」etc....。
人それぞれに死生観というものを持っていると思いますし、僕らのようなアラフィフ世代にも、着実に最期の時は近づいてきていると思います。

さて、物語では、末期ガンに身体を侵された69歳の元編集者が、自分の死に方について深く考え、また人生を振り返り、そして理想とする最期に向かっていくという話です。

かつて家庭を持ち、不倫の末に一人になり、枯れたような晩年を過ごしてきた澤登志夫は、小説家志望の若き女性・宮島樹里との出会いによって、これまで、なおざりにしてきた自分自身と向き合います。

この世に何の未練もないと思っていた澤でしたが、樹里の存在によって葛藤します。
澤の頭の中では、様々な逡巡が繰り返され、読んでるものが一緒になって考えているような気持ちにさせられます。

人生の最終到達点に向かって、澤自身が描くシナリオ通りに進んでいく訳ですが、果たして・・・。

という話です。

僕自身、『死の島』という題名と同じ絵画作品が存在していることも知りませんでしたので、作中に出てきた際に、すぐにスマホで調べました。



『死の島:アルノルト・ベックリン


1880年から1886年までの間に、同じコンセプトで、計五枚の『死の島』が世に出されました。僕は、その中でも、一番クッキリと描かれており、ヒトラーが買い取ったとされる三作目(ベルリンの旧国立美術館蔵)が一番好きですね。

この絵の印象が何とも不思議な感じで、一目見て、何となく不気味な雰囲気が漂っていますし、暗いイメージが残ります。しかし、よくよく眺めてみると、この絵のバランスというか、一種、神々しさを感じる、ほのかな温もりのようなオーラが滲み出てきます。

末期ガンの病床にあった、かつての恋人・貴美子が、常に枕元に置いていた絵画であり、その絵画を見た澤が感じた印象が同じだったということは、やはり二人は、ただの不倫関係ではなく、心の深いところで価値観を共有し、互いに認め合う関係であったことが窺い知れます。

僕が太鼓判を押しまくっている小池真里子さんの文章なので、とても読みやすく描写も美しいです・・・。
しかしながら、この絵画をはじめ、貴美子、樹里の父・祖父・母、澤の元妻・娘、小料理屋の女将、医師などが良いテイストを加えてくれているのに、若干深みに欠けている為に、全体としてまとまりが無くなったというか、もう少し意味を持たせて、役割を果たさせて欲しかったですね。

残念ながら締まりのない物語になってしまいましたし、結局、小池真里子さんが、何をどのように書きたかったのかが伝わりにくい作品でした。

★★☆2.5です。※それでも『死の島(絵画の方)』は素晴らしいです。
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相変わらず巧みです『疑心 隠蔽捜査3』by今野敏

2018年11月23日 | 小説レビュー
~キャリアながら息子の不祥事で大森署署長に左遷された竜崎伸也。
異例の任命で、米大統領訪日の方面警備本部長になった彼のもとに飛び込んできたのは、大統領専用機の到着する羽田空港でのテロ情報だ―。「BOOK」データベースより


相変わらずの一気読み作品です!ストーリー展開が巧みですねぇ~(^_^)

竜崎という完璧な警察キャリア官僚が、今回も敏腕をいかんなく発揮!かと思いきや、部下である一人の美しい女性キャリア官僚に恋をしてしまい、悶々としてしまう何とも滑稽な一面を露呈します。

アメリカ大統領の来日警備という重大な責務の中にありながら、年下の美しい後輩に対する初めての身を焦がすような情感に身悶えながら過ごす竜崎の姿に人間味を感じました(^_^;)))

合理性や筋論だけで世の中の諸問題は解決しません。

ましてや、内包する複雑な悩みを解決するには、親しい友人や先輩に相談したり、本を読んだりすると、突然「スッ」と霧が晴れるような気付きを得ることがあります。

悩んだときは、後ろ向きに足元からズブズブと沈んでいくのではなく、いっそ開き直って、ありのままの自分で身体ごと悩みの中に飛び込んでみるのもいいかも知れませんね。(なんか支離滅裂な感じですが)

いずれにしても、今野敏は素晴らしい!
一日で読めるし、面白いし、勉強になるし、とても良い小説です。

★★★☆3.5です。
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やはり読みやすい「世に棲む日々①、②、③、④」by司馬遼太郎

2018年11月21日 | 小説レビュー
~嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。
この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。
変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。(「BOOK」データベースより)


4巻セットなので、読破するのに10日あまりを要しました。

相変わらず司馬遼太郎氏の文章は読みやすく、無駄な描写が一切なく、それでいて、物語の要点をしっかりと抑えながら見事に描ききっています。

歴史教科書のような書き方で、幕末にペリーが来航して以来、日本全国に沸きあがった攘夷思想の成り行き、各藩の苦悩、若き志士たちの熱き憂国の思い等々、とてもわかりやすく書かれています。

小学校や中学校の歴史の授業で日本史を学ぶのですが、ちょうど幕末から明治維新のあたりにかかってくると駆け足で進み、日清、日露、そして世界大戦へと一気に終わってしまいます。

そもそも年号を覚えるのが日本史のテストのようになっているので、そういうことも大切かもしれませんが、その時代の人々がどのようにして国家を形成していったのかという、思想・心理・行動などについて、深く掘り下げることの方が重要だと思います。

縄文時代から順を追って歴史を紐解いていくことは大切なことだと思いますが、江戸時代の鎖国を解除して、開国へと向かう中での様々な葛藤や、近代日本の国としての成り立ち、身分制度の崩壊、外国との関係性などを学んでいないと、これからの混沌とした世界情勢を生き抜いていく素地のようなものが醸成されていかないと思います。

そういう意味でも、若い人たちに、「とにかく司馬遼太郎の作品を片っ端から読んでください」と言いたいです。

そうすることによって、同じ日本人の先達が、どのようにして諸外国とわたりあったか、どのようにして組織革命を成功させていったかということなどは、社会に出てから必ず役に立つと思いますし、何か自分の胸のうちに何か熱いものが滾ってくることは間違いありません。

さて、物語の方ですが、高杉晋作は山岡荘八の作品で読みましたので、大体のあらすじはわかっています。

山岡荘八が高杉晋作の心の裡に秘められた思いや、類稀なる交渉術、その度胸などについて詳細に書かれているのに対し、司馬遼太郎の作品では、割とざっくりと書かれています。

そういう意味でも、山岡荘八のものは小説的であるし、司馬遼太郎のものは歴史教科書的であるともいえます。

歴史教科書的ながら、これほどまでに読む人の心を惹きつけてやまない司馬氏の文章力に感嘆します。
★★★☆3.5です。


司馬遼太郎氏の歴史小説で評価が高いものは、「世に棲む日日(吉田松陰&高杉晋作)」、「関ヶ原」、「項羽と劉邦」、「燃えよ剣」、「竜馬がゆく」、「新史 太閤記(豊臣秀吉)」、「国盗り物語(斎藤道三&織田信長)」、「最後の将軍(徳川慶喜)」、「功名が辻(山内一豊)」、「新選組血風録」、「坂の上の雲(秋山好古&秋山真之&正岡子規)」、「殉死(乃木希典)」、「翔ぶが如く(西郷隆盛)」。
などです。

太字の4作品は読みましたが、まだまだ先は長いですね・・・。

次は、同じ時代の、「竜馬がゆく」か、「翔ぶが如く(西郷隆盛)」にいくべきなんですが、「竜馬がゆく」は8巻セット、「翔ぶが如く」は10巻セットなんですよね(^_^;) 

「殉死(乃木希典)」は珍しく1巻なので、殉死にいくかもしれませんね(^-^ゞ
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献血推奨!

2018年11月17日 | 雑感・日記的な
皆さん、献血してますか?
僕は一年に一度くらいのペースですが、出来るだけ行くようにしてます(^_^)

今日は昼からの出勤やったんで、10:00のオープンと同時に入りましたが、すでに5.6人の人が来てましたわ。恐るべき献血人気(^_^;)))

やっぱり、血液ってドロドロになっていくもんですし、健康の為にも、定期的に400mlずつ抜いておく方が絶対にいいですからね(^-^ゞ

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とても品のいい作品です『小さいおうち』by中島京子

2018年11月13日 | 小説レビュー
~昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。
だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて―。
晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。
著者と船曳由美の対談を巻末収録。「BOOK」データベースより


松たか子と黒木華のダブル主演で映画化されている名作です。

『家政婦は見た』じゃないですが、昭和初期の女中が垣間見た家庭の秘密、何気ない日常のお話です。

戦前の上流階級の家庭に女中として仕えるタキが、自分史のような形で書き連ねた文章となっており、時折顔を出す甥孫の健史が茶化しながらもエエ味を出しています。

最終章では色々なことが明らかになり、タキの儚くも凜とした生きざまと、時子と板倉の叶わぬ恋路の思い出が昇華されていくように、読む者の心にストンと落ちていきます。

激動の戦前・戦中・戦後を生き抜いた女性の物語でありながら、悲惨で禍々しいような描写は一切なく、とてもサラッとフワッとした気持ちで読み終えられます。

老若男女問わず、色々な世代の人に受け入れられる名作だと思います。

★★★☆3.5です。
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期待が大きすぎた『九月が永遠に続けば』by沼田まほかる

2018年11月12日 | 小説レビュー
~高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。
愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。
息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。
悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか―。
人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。「BOOK」データベースより


ふ~ん・・・。アタリ続きだった「沼田まほかる」なので、期待して読んだのですが、感想としてはイマイチでした。

一人息子の失踪事件が主題となっているのですが、いささか求心力が弱かったですね。

物語の下地となっている亜沙実の凄惨な過去の事件が明らかになる過程では、あまりの酷さにしんどくなってきました。

沼田まほかる女史のデビュー作品だということなので仕方のないことですが、『ユリゴコロ』や『彼女がその名を知らない鳥たち』で見せた、匂いたつような、手に取るような描写の片鱗は窺えるものの、そこまでの完成度はなかったです。

事件のオチとしても軽い衝撃で、真犯人が明らかになる過程もイマイチです。物語の締め方も中途半端な感じで、期待が大きすぎた為に、落胆も大きかったです。

服部のキャラクター設定に対しても、「そこまで汚くて、無遠慮なオッサンに仕立てんでもエエやん(^_^;)」って思うぐらい、ヒドい書かれ方ですが、そこまで落とす意味もわかりません。

服部を含めて、全ての登場人物の描き方に中途半端さを感じました。
残念ですが、
★★☆2.5です。
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春高予選はベスト16で(T-T)

2018年11月10日 | 家族・友達
高二の次女のバレーボールですが、くじ運もよく、ベスト16まで駒を進め、いよいよベスト8をかけた府大会に臨みました!

綾部市の総合運動公園体育館で開催された大会には、さすがに京都府下の強豪チームが集いました。

何とか初のベスト8を目指して熱戦を繰り広げましたが、やはり相手チームの力が少し上で、粘りはしたものの最後には力尽きました(T-T)

3年生と過ごす公式戦最後の大会となったので、涙涙のフィナーレとなりました。

いよいよ、次女たちの代になる来春の新人戦に向けて今日から始動です!

来年のこの日に笑顔で終われるように祈ってます(^人^)
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待望の!『ギケイキ2』by町田康

2018年11月07日 | 小説レビュー
~兄頼朝との対面&対立、恋人静との逃避行。
源義経本人が語る、源氏千年の祈り。
抱腹絶倒の超大河小説。「BOOK」データベースより


相変わらず抜群の面白さ&読みやすさです!

聞くところによると、『ギケイキ』は4巻まで出る予定だそうです。そのうちの『2』ですので、起承転結の『承』の巻となります。

『ギケイキ』の最後で「いよいよ、頼朝と義経が顔を合わせて、これから打倒平家や!」というところで終わっていたので、『ギケイキ2』では、1.いざ挙兵! 2.VS木曽義仲編 3.一ノ谷の合戦 4. 屋島の合戦 5.壇ノ浦の合戦を経て「鎌倉幕府樹立」というところまでいくのかな?と勝手に思い込んでいました。

しかしながら、内容は全くの肩透かしで、源平合戦の内容については、全く触れられておりません(-_-;)

讒言により頼朝の怒りをかった義経は、鎌倉にも入れず、腰越の地で有名な「腰越状」を大江広元宛に書いているところから始まります。

「ほな、どんな見せ場があるんや?」と問いたくなりますが、そこは町田康ですよ!最高にオモシロおかしく、時に哀愁漂う、とても可哀想な義経が描かれています。まさに判官贔屓ですよね。

義経の戦いぶりについては、それほどありませんが、義経の部下である弁慶や、新キャラクターである片岡八郎、そして佐藤忠信などが大活躍してくれて、とても読み応えがあります。

義経の最期がわかっているだけに「どれだけ読者を惹きつける事が出来るのか?」ということが課題ですが、町田氏の筆力なら、これからの3、そして4も見事に描ききってくれることでしょう!

★★★☆3.5です。
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