「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

程よい緊迫感『掏摸(スリ)』by中村文則

2016年11月30日 | 小説レビュー
~お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。
彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。
男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。
木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。
悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。「BOOK」データベースより


先日テレビで、又吉と加藤シゲアキが作家を訪ねる「タイプライターズ」という番組をたまたま観ていて、ゲストの中村文則を二人が絶賛していたので興味を持ちました。

図書館に『教団X』があるんですが、評判がイマイチなので、読みやすいとの評判の『掏摸』から入ることにしました。

その名の通り、スリを生業としている若者の話です。

スリのテクニック?について非常に詳しく書いてあるので、僕でも簡単にスリが出来るような気持ちになります(^_^;)

文章も読みやすく、程よい緊迫感の中、物語が進行し、「んでっ!最後はどうなるのよ!」と期待を持ちながら読みましたが、結果は「ふぅ~ん・・・」という感じでした。

もう一作ぐらい中村作品を読んでみたい気もしますが、本作は・・・、

★★★3つですね。

京都好きなら・・・『古都』by川端康成

2016年11月28日 | 小説レビュー
~捨子ではあったが京の商家の一人娘として美しく成長した千重子は、祇園祭の夜、自分に瓜二つの村娘苗子に出逢い、胸が騒いだ。二人はふたごだった。互いにひかれあい、懐かしみあいながらも永すぎた環境の違いから一緒には暮すことができない……。古都の深い面影、移ろう四季の景物の中に由緒ある史蹟のかずかずを織り込み、流麗な筆致で描く美しい長編小説。(「BOOK」データベースより)


う〜ん、川端康成は初読やったんですが、松雪泰子主演で映画化されるので、「とりあえず京都人としては読んでおかなければ!」と思い、手に取りました。

まぁ、戦後の京都の呉服業界と林業界に暮らす娘達の「涙あり、恋あり、家族愛あり」のお話です。

はっきり言って、盛り上がりゼロで、「淡々と」というよりは、「悶々と」物語が進みます。

花見や祇園祭などのお話も出てきますが、全体的に「暗く、重く、寒く・・・」のしかかってくる様な小説でした。

京都の歳時記や伝統文化が良く登場しますので、京都好きの人なら読んでいて楽しいと思いますが・・・。

★★2です。

とても深〜い『永い言い訳』by西川美和

2016年11月20日 | 小説レビュー
~長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。「BOOK」データベースより


妻が友人と二人でスキーに出掛けた道中で、スキーバスが転落事故を起こし、突然、妻を失ってしまった作家の物語です。

この物語の主人公である「津村啓」は、有名小説家なんですが、性格に難があり・・・、本当に自己中心的で幼児性があり、身勝手で言い訳がましく、とても好感が持てない人物です。

ある日、亡き妻の友人の旦那(大宮陽一)と出会い、ひょんなことから、大宮家での家族との暮らしが始まります。

この大宮家の子ども達(真平:小6と、灯:4歳)が、とても素直で可愛くて癒されます。

330頁あるうちの200頁は大宮家の家族と過ごす日々が描かれています。

その中の暮らしが、涙と笑いに溢れていて、とても癒されます。津村の心の移り変わりが、とても上手く描写されていて、「さすがは映画監督さん」と、拍手を送りたいですね!

最後の最後で主人公が語ります。

「・・・生きているうちの努力が肝心だ。時間には限りがあるということ、人は後悔する生き物だということを頭の芯から理解しているはずなのに、最も身近な人間に誠意を欠いてしまうのは、どういう訳だろう。愛するべき日々に愛することを怠ったことの代償は小さくない。・・・中略
・・・あの人が居るから、くじけるわけにはいかんのだ、と思える『あのひと』が、誰にとっても必要だ。生きていくために、想うことの出来る存在が。つくづく思うよ。他者の無いところに人生なんて存在しないんだって。人生は他者だ。僕にとって、死んだ君が今の今になって、『あのひと』になりつつあるような気もするよ。遅いか―。」

と、長文になりましたが・・・(^_^;)、文字にしてしまうと当たり前のことなんですが、皆さん思い当たる節もあるのでは?

という自分もそうですけどねf(^_^;

限られた人生を大切に過ごしたいと思います。

さて、この作品は映画にもなっていて、このどうしようもない主人公を本木雅弘氏が好演しているようですが、どんな風に演じているのか、とても興味があります。またDVDで観たいです!

★★★☆3.5です。

あなたも!?『白ゆき姫殺人事件』by湊かなえ

2016年11月18日 | 小説レビュー
~化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。
ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。
人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。
ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。
噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。「BOOK」データベースより


相変わらず、湊かなえさんの書き方は上手いですよね。

この物語は、ある美人OLが惨殺され焼死体で発見されるところからスタートします。

そして、その同僚OLの所在が不明なため「きっと、あの人が殺したんだ!?」と、周りのみんなが疑い始めます。

その関係者達に、週刊誌の記者がインタビューをしていく・・・。

とてもオモシロイ組み立て方がされていて、色んな形でどんでん返しが用意されており、楽しめます。

まぁ自分もそうですが、自分の主観で勝手に他人の性格を「あの人はこんな人や」とか、周りの誰かが言っていた「あの人は、◯◯らしいよ」ということをまるで自分が直接見てきたかのように別の人に話すことがあります。

この物語は、そういう人達が、ある一面から見た主観だけで、いい加減に物事を捉え、それが全てであるかのように語ってしまう恐ろしさ、愚かさを表しています。

自分自身にも言えることなので、戒めたいと思います。

物事のプロットは相変わらず「湊かなえ流」でスラスラと読めますし、とても考えさせられる部分も多いので・・・、

★★★3つですね。

いやぁ〜オモシロイ!『傘をもたない蟻たちは』by加藤シゲアキ

2016年11月16日 | 小説レビュー
~無限の悲しみはどこまでも僕を埋め尽くす――。いまを生きる人々の「生」と「性」を浮き彫りにする6編の物語を収録。累計20万部のデビュー小説『ピンクとグレー』の映画化で注目の加藤シゲアキ、最新刊!「BOOK」データベースより


加藤シゲアキ作品二作目です!なんの前情報も持たずに図書館で予約して、二ヶ月ぐらい待ちましたかね?ようやく一昨日借りてきました。

6つの短編が収められているんですが、短編でありながら、「ちゃんと始まって〜ちゃんと終わる」という当たり前のことを丁寧な仕事で表現してくれています。

その上、ウイットに富んでいて、ジャンルも幅広く、作者の知識の豊富さが感じられます。また、トリックの使い方、プロットの組み立て方も秀逸で・・・。本当にスゴい才能の持ち主だと思いますd(^-^)

全体を通して、やや粗削りな部分や、大仰な言い回しなど、少し目につく箇所もありますが、とてもクオリティが高い作品です。

6編のどの物語も、それなりに考えさせられる話で、心に残る台詞や情景があります。

「喜びは有限、悲しみは無限・・・」なんかは、「ほほぅ~」と感心させられます。

加藤シゲアキ作品を食わず嫌いなあなた!是非、この作品から入ってください。とても読みやすいですよ。

それにしても・・・
「イガヌを食べてみたいっっ!(´д`;)」

限りなく4つに近い、★★★☆3.5です!

南禅寺天授庵の紅葉(*^▽^)/★*☆♪

2016年11月15日 | 雑感・日記的な
今日は仕事の関係で南禅寺の天授庵に行って来ました。

あいにくの雨模様やったんですが、南禅寺に着くと雨も上がって良かったです。

良く手入れの行き届いたお庭に、赤・黄色の紅葉と、松の緑のコントラスト、そして美しい砂の白が、より一層引き立ててくれていて、一枚の絵画の様でした!

いつまでも、ここに留まっていたくなるような見事な紅葉でしたね。

今日も応援に来ました!

2016年11月13日 | 家族・友達
エエ天気のもと、またまた友達の息子の応援に太陽が丘まで来ました!

準々決勝を見事に勝ちきってくれましたよ!

いよいよ、次が正念場の京都橘戦です!

この勢いで勝ち抜いていってもらいたいものです!
ガンバレp(^-^)qガンバレ

渇いた現代社会の投影か『砂の女』by安部公房

2016年11月12日 | 小説レビュー
~砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。
考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。
そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺めるの人々。
ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。「BOOK」データベースより


安部公房という作家さんの名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう?『壁』とか有名ですよね?

そんな僕も安部公房作品は初めて読みました。

色んなレビューを読んでいると、「安部公房を読むなら最初に『砂の女』を」と書いてあります。

しかしまぁ、どこを読んでも「砂、砂、砂・・・砂」始めっから終わりまで砂だらけです(×_×)

口の中や身体中が砂にまみれているような錯覚に襲われるほど、作者の描写に引きずり込まれます。まさに蟻地獄にハマったような・・・。

ふとした不注意?から、砂の穴底で暮らすはめになった30歳過ぎの教師の物語です。

何とか脱出を試みようと、思い付く限りのあらゆる手段を講じますが、どれも叶わず・・・(´д`;)

もがけばもがくほど、深みにはまり、そしてとうとう砂底での生活に甘んじてしまいます。

まさに我々が暮らす日々、その環境も似ている部分もあるかもしれません。

「砂を噛むような日々」から、何とか抜け出そうとする主人公、まさに自由を渇望しながら、地上での生活を夢見ます。

そして最後には・・・。

人生、望んでも望んでも、叶わないことが沢山あり、どこかで折り合いを付け、小さな幸せを見つけて暮らしていくほかありません。

悲しくもあり、「これで良かったんかも・・・。」と思えるような結末でした。

★★★3つです。

冒険長編スペクタクル!『ガダラの豚』by中島らも

2016年11月10日 | 小説レビュー
~アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。
彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。
8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。
妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。
超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。「BOOK」データベースより


題名からして、「どんな話なん?」と、思うでしょう(^_^;)

いきなり聖書の一文を引用したところからスタートし、何とも言えないゾクゾクするような心のざわめきを覚えながら読み始めました。

なんせ3巻セットなんで、読み応えがありました!

1~3巻を簡単に解説すると、

1.『新興宗教と奇術』日本
2.『呪術信仰と暮らし』アフリカ
3.『呪術家最終決戦!』日本

とまぁ、「なんじゃこりゃ?」という感じですが、これがホンマにオモシロイんです!

巻末の膨大な参考文献の数々を見るときに、「恐れ入りました」と言いたくなりました。

まさに中島らもさんが、自分で見て聞いて体験してきたかのような記述ですから、その筆力には感服します。

まぁ、クライマックスからエンディングに向けては、少し物足りなさを感じましたが、1〜2巻までの求読力は素晴らしい!

読後感も爽やかで、読んで良かったと思える作品です。

★★★★4つです。

東山VS久御山観戦

2016年11月06日 | 雑感・日記的な
今日もエエ天気のもと、高校サッカー観戦に行って来ました!

一点を争う好ゲームでしたし、友達の息子たちも一生懸命走り回っていましたよ。

選手権までの道は厳しいですが、一戦必勝で勝ち抜いてほしいものです!

ガンバレp(^-^)qガンバレ