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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

しっとりと美しい描写『四日間の奇蹟』by浅倉卓弥

2016年06月22日 | 小説レビュー
~第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化。
脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。「BOOK」データベースより


筆者は、このデビュー作品で「第一回 このミステリーがすごい」大賞の金賞を受賞した作品とのフレコミだったので手に取りました。

読み終えた感想は「ミステリーよりもファンタジー」という感じです。

あっ!と驚く結末や、大どんでん返しなどはなく、物語も中盤までは、ゆったりと流れていきます。

途中で大事件(事故)が起こってからは、緊張感が増しますが、題名と登場人物のセリフから、結末が予想できて、その通りになります。

東野圭吾の『秘密』のような設定です。

500頁あるんですが、筆者独特の描写が美しく、なめらかで、読んでいて苦痛はありませんでした。

文中に出てくるクラシックの名曲をyoutubeで聴きながら読むと臨場感が増して、心地よかったですね。オススメです。

特にクライマックスの礼拝堂でのシーンでは、「月光」の第一楽章〜第三楽章まで順番に流しながら読んだので、感動もひとしおでした。

涙がボロボロと流れるまでには至らないんですが、「別れの曲」をBGMにしながら読むと、とても穏やかな気持ちでラストを迎えられました。

最終章で、後日談として、登場人物の近況に触れられますが、読んでいて目尻が下がるような粋な演出が施してあり、最後に清々しい気分になります。

もう半個☆をつけようか迷うところですが、他の作品との兼ね合いもあり、

★★★3つですね。
コメント
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