「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

良かったですねぇ~『名も無き世界のエンドロール』by行成 薫

2021年11月23日 | 小説レビュー

『名も無き世界のエンドロール』by行成 薫


~ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。

30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した―。

一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。「BOOK」データベースより

 

作者の行成薫氏は、本作で『第25回小説すばる新人賞』を受賞してデビューされました。

読んでいてスピード感もあり、キャラも立っていて、グイグイと引き込まれます。他の方のレビューにもあるように「伊坂幸太郎テイスト」溢れる作品です。

岩田武典、新田真剣佑のW主演で映画化もされており、この作品の評価が高かったことを物語っていますね。

さて、本作のストーリーですが、いわゆる「成り上がり」のサクセスストーリーのように感じますが、映画の見出しにも書いてある通り、実は… な内容です

そういう大どんでん返し的なところも、「伊坂幸太郎テイスト」と言われる所以でして、読んでいて面白かったです。

しかしながら、たびたび登場する、キダとマコトとの会話シーンの中で、時々、「これ、どっちのセリフや?」と、混同する箇所も見受けられ、「新人っぽくていいね」と、寛大な心で楽しませてもらいました!

種明かしの場面では、とても良い緊張感の中、クライマックスを迎え、最後は静かにエンドロールがゆっくりと流れていくような心地よさがありました。

また、映画も観てみたいですね。

 

★★★☆3.5です!

 

 


そうですねぇ~(^^;)『君は月夜に光り輝く』by佐野 徹夜

2021年11月18日 | 小説レビュー

『君は月夜に光り輝く』by佐野 徹夜

~大切な人の死から、どこかなげやりに生きてる僕。高校生になった僕のクラスには、「発光病」で入院したままの少女がいた。月の光を浴びると体が淡く光ることからそう呼ばれ、死期が近づくとその光は強くなるらしい。彼女の名前は、渡良瀬まみず。余命わずかな彼女に、死ぬまでにしたいことがあると知り…「それ、僕に手伝わせてくれないかな?」「本当に?」この約束から、止まっていた僕の時間が再び動きはじめた。今を生きるすべての人に届けたい最高のラブストーリー。「BOOK」データベースより

 

読みましたよ最後まで… 何とも言えませんね。良い話ですし、表紙も甘い感じがします

さらに、今を時めく、北村匠海、永野芽郁の主演で映画化もされているんですよ。

絶対に良い物語で感動のストーリーだと思うでしょう?

しかし僕にはハマりませんでしたね

章立てが変わっていて、なんか変な感じがしたんですが、読み終えて筆者のあとがきを読んで納得しました。

それぞれが独立した短編を繋ぎ合わせたような感じで、それぞれの登場人物の目線で語られるんですが、統一感がないというか、なんとも薄い感じで、興ざめしました。

特に、香山が何故まみずに惹かれていったのかというところが弱く、卓也との絡み方も良く分かりませんし、香山の章が必要なのかどうか?本当に何とも言えない違和感が付きまとっていました。

映画を見てみたい気もしますが、どうなんでしょうね?

★★☆2.5です。


『じんかん』by今村 翔吾

2021年11月12日 | 小説レビュー

『じんかん』by今村 翔吾 

~民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?時は天正五年(一五七七年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かした時に直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。大河ドラマのような重厚さと、胸アツな絆に合戦シーン。ここがエンターテインメントの最前線!「BOOK」データベースより

今村翔吾氏の作品は、『八本目の槍』に次いで二作品目です。今村翔吾氏は、とても人物を描くの上手く、人の心の移ろいや、内面の苦悩などを巧みに描き出す素晴らしい作家さんだと思います。

『八本目の槍』の時も思いましたが、いわゆる「三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)」を描くよりも、その脇役にスポットを当てて、脇役から見た歴史の動きを見事に読ませてくれました。

悪名高き松永久秀は、今村翔吾氏の筆によると、実は誰よりも主君である三好元長、長慶、義興、義継と、代々三好家に仕え、三好家安堵の為に尽くした忠臣であったと書かれています。

作中に、『人間と漢字で書いて、にんげんと読めば人単体の事を指すが、じんかんと読めば人の世を指す』というような記述があります。『人間万事塞翁が馬』のことわざも、「にんげん」と読むのが普通のようですが、中国では「人間=じんかん」は世の中・世間のことを指すようです。一つ賢くなりましたね。

主人公の松永久秀=九兵衛が自分自身に問いかける、「私は何のためにこの世(じんかん)に生まれてきたのか?」と、その生きる意味を探し続ける、自分の存在意義を確かめるような人生であったと思います。

松永久秀の最期のシーンとして語り継がれる、名茶器の「平蜘蛛」を叩き割るエピソードは有名ですが、なぜ、その平蜘蛛を大切に大切にしてきたのかというところも、幼き九兵衛の生い立ちによるものだと描かれています。

歴史作家として直木賞を受賞された澤田瞳子さんが、何かのインタビューで「歴史小説は家づくりのようなもので、史実という柱を元に、壁を作り屋根を付け、装飾を施していく。史実として裏付けられているもの以外の部分は小説家の創作であるし、『きっと、こうだったんだろう』と考えながら作り上げていくところに小説の醍醐味がある」というようなことを語っておられました。

まさに、その通りだと思います。

今村翔吾氏の筆では、あえて悪名を被ることによって、主家を守ろうとする松永久秀の直向きな滅私奉公ぶり描かれています。

史実と比べてどのように感じるかは人それぞれだと思いますし、小説ですから、面白くしてナンボだと思いますよね。

余談になりますが…、 「BOOK」データベースに書いてある通り、合戦シーンは、もちろん胸アツなんですが、作中に出てくる、松永久秀を支える忠臣の中に、海老名権六家秀(宇治郡東野村出身)と、四手井源八家保(宇治郡厨子奥村出身)という武将が登場しますが、その二人の出身地は「宇治郡山科郷(現在の京都市山科区)」なんですね。

この地名と姓名が出てくるだけで山科人としては胸アツなんですよ!今でも、厨子奥(京都薬科大学の南側あたり)に行けば「四手井家」という表札はありますし、西野(一号線の山科西野交差点の北側)には西宗寺の海老名家があります。

もっと旧い名家旧家が沢山あると思いますが、少なくとも、この二つの家系は、西暦1400年代後半から500年以上にわたって、脈々と受け継がれてきた名家と言えるでしょうね。

いずれにしても、今村翔吾氏の歴史巨編といえる『じんかん』は素晴らしい作品だと思います。

★★★☆3.5です。


なかなか心に響きます。『GO』by金城 一紀

2021年11月11日 | 小説レビュー

『GO』by金城 一紀 

~広い世界を見るんだ―。僕は“在日朝鮮人”から“在日韓国人”に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった―。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。「BOOK」データベースより

 

評判が高い作品だったので図書館で借りました。後から気付いたら、直木賞受賞作品であり、行定勲監督で映画化されており、主人公の杉原を窪塚洋介、彼女役の桜井を柴咲コウ, 母親の道子役が大竹しのぶ、ボクサー上がりの父親を山崎努らが出演する映画にもなっていました。映画の評価も高いんですね、観てみたいですが、全く知りませんでした

中国的思想作品を読んだ後に、在日朝鮮人や在日韓国人が出てくる作品を読むのも、なかなか興味深かったですね。全く違う角度から国家とか民族とかを見つめ直す良い機会になりました。

さて、ストーリーですが、大方の予想通り、国籍によって差別を受けている少年が、その運命や宿命に抗って強くたくましく生き抜いていくという内容です。

杉原と桜井がお互いに惹かれ合って、エエ感じになっていくところは心地いいですし、同胞である友達や家族との交わりも熱いものがあります。

読後感は爽やかですし、あらためて国籍や婚姻などについて考えさせられる作品です。

★★★☆3.5です。


凄まじい中国の近代史『ワイルド・スワン 上・下巻』byユン・チアン 、土屋 京子 (翻訳)

2021年11月10日 | 小説レビュー

『ワイルド・スワン 上・下巻』byユン・チアン 、土屋 京子 (翻訳)

~15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の苛酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。中国で発禁処分となった衝撃的自伝!(上巻)

~迫害を受け続ける家族。思春期をむかえた著者は、10代の若者が遭遇する悩みや楽しみをひとつも経験することなく急速に「おとな」になった。労働キャンプに送られる両親。著者にも、下放される日がついに訪れた。文化大革命の残虐な真実をすべて目撃しながら生き、「野生の白鳥」は羽ばたく日を夢見続ける。親子3代、70年にわたる運命の記録!「BOOK」データベースより

『ワイルド・スワン』は、1991年に発表された中国人女性作家ユン・チアンの自伝的ノンフィクションであり、全世界で1000万部を超えるベストセラーになったそうです。日本語訳は講談社から土屋京子さんの翻訳で1993年1月に出版されたんですって。

1993年といえば、僕が22歳の頃ですから、少し小説とかを読んでいた頃なので、この『ワイルド・スワン』というタイトルは知っていましたし、何となく『纏足』のイメージしかなく、「纏足された可哀想な女の子の話」というぐらいで、どのような話か全く知りませんでした。

文庫版の上下巻合わせて1,100頁超えの超大作であり、親子三代が紡ぐ中国近代史の生々しくも凄まじい思想闘争の歴史を語ってくれている作品です。読むのに大変な時間がかかりました。

中国共産党設立時の毛沢東思想の激しい部分が強調されていて、「共産党員でなければ人ではない」というような話や、党の幹部として優遇された生活を送っていた人が、ある日突然、批判の対象となり、隣人や部下から吊し上げられ、糾弾され、あからさまな暴力を振るわれ、監禁され、最悪の場合、拷問死さえしてしまうというような恐ろしいことが現実にあったことが本当に生々しく語られています。

ユン女史の自伝的ノンフィクション作品なので、完全に史実と一致しているかというと、それはわかりませんが、かなり現実に近いものがあったと思います。

現在も中国本土では発売禁止本として指定されている作品であり、中国共産党、毛沢東思想を否定する内容になっているので、中国当局がナーバスになるのも頷けます。

それにしても、「ホンマにこんなことがあったんか?」と思いたくなりますが、思想教育ということは本当に恐ろしいですね。国の末端まで行き届く教育によって、昨日の友が今日の敵となってしまうんですから。

共産党思想の恐ろしい面ばかりが強調されていますが、中には手を差し伸べてくれた温かい人たちとの交流や家族の絆などが描かれており、読み応えと読後感は良いものがあります。

現在、世界の中心ともいえる中国の近代史として、読んでいただく価値はあると思いますね。

★★★☆3.5です。

 


いろいろとありまして…(^-^;

2021年11月01日 | 雑感・日記的な
気が付けば、9月末からブログの更新が止まっておりました。ご心配をしていただいた方には申し訳なく思います。
 
9月1日付で異動になり、高槻市まで毎朝JRで通っています
とても良い環境の職場であり、様々な課題の解決に向けて、新しい仲間と共に力を合わせ、知恵を出し合い、日々しっかりと仕事をしておりましたが、10月になって事態が急変しました
 
11月一杯は大変忙しい日々を過ごすことになると思うので また詳しいことは、12月になってからご報告しますが、いよいよ新しい?ステージ向かって動き出します