「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

三部作の序章「ギャングスター・レッスン」by垣根涼介

2017年07月31日 | 小説レビュー
~渋谷のチーマー百人を率いたアキは、チーム解散後、海外放浪を経て帰国。
犯罪プロフェッショナルへの参加を決意する。そんな彼を、あらゆるクライム・テクニックを修得するための過酷な試練が待ち受けていた。長篇ピカレスク・アクション。「BOOK」データベースより


垣根涼介ファンとしては、「ヒートアイランド(2001年発刊)」を読めば、「ギャングスター・レッスン(2004年発刊)」、「サウダージ(2004年発刊)」、「ボーダー(2010年発刊)」という3部作を完読しなければなりませんp(^-^)q

早速、図書館で借りてきて読み始めましたが、やっぱり僕は垣根涼介氏の文章が合うんでしょうねぇ!
昨日の夕方から読み始めたのですが、寝る前には2/3ほど読み終え、今朝の通勤、そしてお昼ご飯を食べながら読んで、読了しました。

物語としては、「ヒートアイランド」のエンディングで、プロフェッショナル強盗の2人(柿沢と桃井)から「仲間にならないか?」と持ちかけられたアキが、ギャング(と言っても、悪い奴等から世の中に明らかに出来ない悪銭を強奪する、現代版ねずみ小僧のようなもの)見習いからスタートするというまさに「ギャングスター・レッスン」を受けます。

裏戸籍や拳銃の入手、各種裏社会データの熟読、心構え等々を学び、そしていよいよ実践(実戦)へと進んでいきます。

残念ながら、「ヒートアイランド」ほどの緊張感や激しさはなく、「ワイルドソウル」ほどのスケールのデカさもなく・・・。
今回の相手ヤクザも間抜けで、あっという間に強奪に成功します。
巻末についている『おまけ』は「別に付けんでも良かったんちゃう?」と思いましたが・・・。

今後の2作品を読んだあとで最終的な感想を述べたいと思います。

まぁしかし、垣根氏のお蔭で、「ピカレスク」・・・(悪漢小説、悪者小説などと訳される。スペイン語のピカロ(picaro)=悪漢・ならず者に由来。このような人物が時に激しく時に華麗に、一般的に悪と言われる行為を成す内容。)ということを知り、ひとつ賢くなりましたよ(^_^)v

★★★3つです。

一気読み!「夢幻花」by東野圭吾

2017年07月29日 | 小説レビュー
〜花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。
第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。
一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。
宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。「BOOK」データベースより


いやぁ〜、相変わらず東野圭吾さんの作品は読ませます!一気に読ませます!
わずか2日で読みきってしまいました(^o^)

本当に良く練られた内容です。最初の2ページで心を鷲掴みにされ、目まぐるしく展開するストーリーを追いかけるうちに、一気にエンディングまで持っていかれました。

東野圭吾さんの作品は、当たり外れが少なく、いつも平均的以上です。

とはいうものの、「絶対読んで欲しいっ!」とまでは、なかなかいきません。

本作でも、種の入手ルートが「そんな簡単に?」と思えたり、「蒼太は院生、梨乃も大学生やろ?バイトとかしてた?結構経費かかってるで?」とか思ったり、やや強引まとめ方をしています。

しかしながら、さりげなく、原発問題に触れてみたり、キチッと計算されたラストに落とし込んでいく手法は、「さすがは東野圭吾!」と、拍手を送りたくなります。

東野圭吾作品の中では並みなので、
★★★3つです。

良い出来です「偉大なるしゅららぼん」by万城目学

2017年07月27日 | 小説レビュー
~高校入学を機に、琵琶湖畔の街・石走にある日出本家にやって来た日出涼介。
本家の跡継ぎとしてお城の本丸御殿に住まう淡十郎の“ナチュラルボーン殿様”な言動にふりまわされる日々が始まった。
実は、日出家は琵琶湖から特殊な力を授かった一族。日出家のライバルで、同様に特殊な「力」をもつ棗家の長男・棗広海と、涼介、淡十郎が同じクラスになった時、力で力を洗う戦いの幕が上がる…! 「BOOK」データベースより



濱田岳主演で映画化されている有名作品です。お隣の滋賀県:琵琶湖が主役?となっている物語で知っている地名とか出てくるので親近感が沸きます。

万城目さんは、京都、大阪、奈良、そして滋賀県が舞台になっている作品が多く、「近畿好き?」と思われます。次は神戸でしょうかね?

さて、僕ら山科育ちは、夏の水泳といえば「日本海?・・・太平洋?・・・ノンノン、びわこ!」でした。

その琵琶湖から特殊な力を授かった一族のお話で、まさにファンタジーなんですが(^^;、さすがは万城目学氏ですよね。ファンタジーながらバカバカしくなく、低俗にならず、とても良い仕上がりです。

文章も読みやすく、キャラも立っている(もっと尖っていても良かったかも?映画版の方が立っているかも?)し、読んでいておもしろいです。緊張感もあって、クライマックスでは二転三転する感じも良かったです。

淡十郎や清子の内面が、もう少しわかりやすくストレートに表現されていれば、かなりダイブできたかもしれません。

最後の最後で、「あぁ〜、そうなんか(^-^)」って、読者に明るい期待を持たせて終わるという、爽やかなエンディングでした。

★★★☆3.5です。

やはりこういう形式は・・・『アクロイド殺し』byアガサ・クリスティー

2017年07月23日 | 小説レビュー
〜深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。
容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。
だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を…
驚愕の真相でミステリ界に大きな波紋を投じた名作が新訳で登場。「BOOK」データベースより


ミステリー界の巨匠、アガサ・クリスティーの名作といえば、『そして誰もいなくなった』が有名ですが、その双璧をなすと言われているのが『アクロイド殺し』です。

僕は基本的に、同じミステリーでも、推理小説的な、最後の最後で名探偵が「真犯人はあなたです!」って感じの物語は、あまり好まないんですよねぇ(-_-;)

でも、「読まず嫌い」はダメなので、とりあえず図書館で借りてきました。

まぁ、好みじゃないってのも関係してると思いますが、一週間かかりましたね(T-T)

僕は、だいたい図書館で三作借りるんですが、今回は『燃えよ剣 上下巻』があったのと、この『アクロイド殺し』に時間を取られて、二週間経ってしまい、『偉大なるしゅららぼん』が読めずに、初めて『延長措置』をとりました。

さて、前置きはこれくらいにして、感想ですが、色んなパターンのミステリーに慣れ親しんでいる僕にとっては、「うん!この人が真犯人ね」と推測できましたが、発刊当時(1926年) には、
「衝撃的( ̄ □ ̄;)!!」やったんでしょうね。

また、書き方も斬新(当時にしては)で、一人称かと思いきや、日記やったという結末等々は、賛否両論あったそうです。

いずれにしても、「まぁ、こんなもんでしょう」というのが正直な感想でした。

★★★3つです。

さすがの出来栄え!「燃えよ剣 上・下」by司馬遼太郎

2017年07月16日 | 小説レビュー
〜幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。
武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。
「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。「BOOK」データベースより


自称「小説好き」と称しながらも、初『司馬遼太郎』ですf(^_^;

僕は幕末の英雄の中では新撰組びいきで、特に土方歳三が大好きです。

早乙女 貢の「新選組斬人剣―小説・土方歳三 」は読んだんですが、司馬遼太郎作品を初めて読むに当たって、『竜馬が行く』よりも(なんせ単行本で8巻組なので(^^;) こちらから始めました。

誰でも知っている幕末の歴史の1ページで、土方歳三がどのような最期を迎えるかということがわかっていても「もしかしたら勝つんじゃないか?」と思わせるような素晴らしい書き方です。

映画「ラストサムライ」でも描かれていたように、明治維新によって、時代に置き去りにされていく武士、武人達の凄まじい生きざまです。

特に土方歳三は、「鬼の副長」と呼ばれた通り、人に厳しく、そして自分にも厳しい人であったようです。

僕は人にも甘いですし、自分にはもっと甘々ですから、土方の爪の垢を煎じて飲まなあきませんねぇf(^_^;

いずれにしても、司馬遼太郎氏の文章は、とっても読みやすく、時折挿し込まれている解説も明確で、無駄がありません。

色気のあるシーンも描かれているんですが、非常に淡白で美しく、いやらしさがありません。

全く無駄がないというか、余計な贅肉を削ぎ落とした快作でした!

★★★☆3.5です。

まさに緋色の宝玉!

2017年07月15日 | 雑感・日記的な
このところ、週末なると激しい雷雨に見舞われたり、夕立が降ったりと、天気が良くなかったんで、なかなか梅干しが干せなかったんです(^^;

ようやく、終日晴れの予報が出たので、朝から梅干しを干してます。

今年の梅自体も、かなり状態が良いものが多かったのと、ジップロック漬けも慣れてきたこともあって、皮が破れていたものは数個と、上々の出来でした(^o^)v

あとは太陽の恵みを一杯に受けて、旨味が増すことを祈りましょう!

何とも言えず「母性」by湊かなえ

2017年07月08日 | 小説レビュー
〜女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。……
遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。
母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも――。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語(ミステリー)。


最近、読む本、読む本に大当たりがなく(-_-;) しかも平日で図書館に行けなかったので、職場の図書館にあった『母性』を借りました。

『聖母』を読んだあとで『母性』とは、洒落にもなりませんが・・・、「まぁ、湊かなえなら間違いはないやろ」と信じて読み始めました。

全体的に暗〜く、どんよりした内容で、読んでいて全く救われません。

湊かなえさん流の、語り手が順番に入れ替わるタイプの構成(今回は母と娘の交互)で、冒頭にある事故の真相が明らかになっていきます。

と、思いながら読んでいると、途中で「これは事件とは別の話やね」と気づきます。
そして、「さぁこい!大どんでん返し!」と期待は高まりますが、そのまま終わってしまいます(-_-;)。

最後の解説を読んでも、あまりスッキリせず、湊かなえさん自身が「これが書けたら、作家を辞めてもいい。その思いを込めて書き上げました。」という帯封がついていたようですが、残念ながら、それほどの作品とは思えませんでした。

歪んだ母性と、歪んだマザコンの母子によって語られる内容なので、最後まで何を信じて良いのかわかりません。

色んなタイプの女性がたくさん出てきますが、案外、普通の女性やったんは、意地悪な「義母」やったのかも?

★★★3つです。

感動!までは(^^;「あと少し、もう少し」by瀬尾まいこ

2017年07月05日 | 小説レビュー
〜陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。
部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが…。
元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。
あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。内「BOOK」データベースより


う〜ん・・・。なんかこういう『青春ランナー物語』は、かなり泣けるとの触れ込みなんですが、『風が強く吹いている』by三浦しをんと同様に、全く心が震えませんでした。

中学駅伝の1区〜6区までのそれぞれを走るランナー達の主眼で語られる6章に分かれています。

周りの部員から見た人物像と、当の本人の内面、考えていることのギャップが楽しめ、多感な中学生の心の内に秘めた思いがリアルに語られています。

構成としてはおもしろく、読んでいて飽きません。

それぞれ小さなアクシデントや心の悩みなどがあります。

それらをすべて呑み込んで、一本の襷を繋ぐために、一所懸命に大地を蹴ります。

そして予想を裏切らないf(^_^;エンディングを迎えて「チャンチャン(^-^)」となります。

文庫版の解説を三浦しをん氏が絶賛しているのを読んで、さらに気持ちが萎えますが・・・(-_-;)。

もっと素直に物語を楽しめばいいんでしょうが、色んな本を読みすぎて?心がひねくれてしまってるんでしょうかね?ストレートな展開では物足りなさを感じずにはいられません。

★★☆2.5です。

予測可能な展開「聖母」by秋吉理香子

2017年07月03日 | 小説レビュー
~幼稚園児が遺体で見つかった。猟奇的な手口に町は震撼する。そのとき、母は―。
ラスト20ページ、世界は一変する。『暗黒女子』の著者が放つ驚愕の長編サスペンス・ミステリー!「BOOK」データベースより


いわゆる叙述ミステリーです。

クライマックスでは、二重の仕掛けが施してあり、「マジか・・・そうやったんか」と驚きもしますが、( ̄□ ̄;)!!っと、なる程ではありません(^^;

『慟哭』『殺戮にいたる病』『ハサミ男』等と比べてみても、驚愕度数は低く、「まぁ、こんなもんでしょ」という感じです。

『長編サスペンス・ミステリー』と紹介されていますが、『中編ソフト・ミステリー』でしょう(^^;

文章自体は読みやすく、女性らしく描写もソフトなので、幅広い方に読んでいただけると思います。

★★★3つです。