「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

25年ぶりか!

2018年04月29日 | 家族・友達
っていうぐらい、久しぶりに、中学の同級生3人で飲みました!

はじめは、ややぎこちなかった雰囲気も、30分もすれば、昔にタイムスリップ(^^)d

19:00〜23:00まで、しゃべり尽くしましたわ(^_^;)

巧みな心理描写が美しい「武蔵野夫人」by大岡昇平

2018年04月25日 | 小説レビュー
~貞淑で、古風で、武蔵野の精のようなやさしい魂を持った人妻道子と、ビルマから復員してきた従弟の勉との間に芽生えた悲劇的な愛。
――欅や樫の樹の多い静かなたたずまいの武蔵野を舞台に、姦通・虚栄・欲望などをめぐる錯綜した心理模様を描く。
スタンダールやラディゲなどに学んだフランス心理小説の手法を、日本の文学風土のなかで試みた、著者の初期代表作のひとつである。「内容紹介」より


野火』に続く、大岡昇平氏の作品2作目です。
野火でもそうでしたが、とても哲学的な心理描写が巧みな作家さんです。

筆者は、教育召集で、東部第二部隊に入営し、フィリピンのマニラに到着。第百五師団大藪大隊、比島派遣威一〇六七二部隊に所属し、ミンドロ島警備のため、暗号手としてサンホセに赴いた。1945年(昭和20年)米軍の捕虜になり、レイテ島タクロバンの俘虜病院に収容される。敗戦後、帰国し、1949年に『俘虜記』を発表。横光利一賞を受賞。その後、1950年にこの『武蔵野夫人』を上梓し、さらに1952年に『野火』を書くんですね。

まさに自身の体験をもとに、戦中・戦後をリアルに書き続けた作家さんと言えるでしょう。

さて、この『武蔵野婦人』は、復員兵の勉と、その従姉の道子の恋が根底にあり、隣人である道子の従兄弟の大野と、その妻・富子、そして道子の旦那の秋山が絡み合った愛憎劇です。

しかしながら、戦後間もない武蔵野平野の雄大な自然と、それぞれの心理描写、情景描写が美しく、読んでいて苦痛ではありません。

道子と勉は、心の底では強く惹かれ合っていながらも、道子の固い貞淑から叶わぬ恋となってしまいます。

作中に、自宅の庭の池の上を飛ぶ二羽のアゲハ蝶についての描写が出てきます。羽の大きな黒いアゲハ蝶が上を飛びながら、ゆるやかに羽を煽っており、その真下を飛ぶ少し小ぶりの褐色のアゲハ蝶が、黒アゲハを下から突き上げるように、追いかけるように、忙しく飛んでいました。

この時、二人は同時に二羽の蝶を眺めながら、お互いの姿と重ね合わせます。

道子は、下の蝶が雌だと思い、勉を想い一生懸命、勉を追いかけますが、勉はその想いに気づくことなく、ゆったりと鷹揚に一歩先を優雅に舞っていると感じます。

一方の勉は、下の蝶が雄だと思い、道子への叶わぬ想いに焦れながらも、道子に手が届きそうになると、いつもフワリとかわされ、その虚しい試みを繰り返すしかないのかと心が折れそうになります。

こういう情緒的で巧みな心理描写が、至る所に登場し、思わず唸ってしまいます。

読んでいて感じたことは、全く表現方法も言葉遣いも情景も人物も間逆なんですが、ある意味では、町田康の『告白』などに代表される巧みで深い心理描写に通じるものがあります。

物語の内容としては、何か驚くべきことが起こる訳でもありませんし、全体的にゆったりと流れていきますが、この哲学的心理・情景描写を読むだけでも価値がありますね。

★★★3つです。

なかなかの気合い!「バリバリジョニー」草津店

2018年04月23日 | ラーメン
久しぶりに草津方面に出掛ける用事があり、せっかくなので美味しいラーメンでもと思い、前から気になっていた「バリバリジョニー草津店」に行きました。

インパクト抜群の店名なので、米原などで見かけたときに「なんちゅうネーミングや」と気になっていたんです。

お店に入ったのが15:00すぎだったので、ガラガラでしたが、とても美味しそうな雰囲気が漂っています。

もちろん僕は看板メニューの「バリとんラーメン」にし、嫁さんは「長浜ブラック」を注文しました。

バリとんは、見かけ通りの、ゴリゴリのコッテリラーメンです。初めの方は「旨いっ!」と思って、バリバリ食べましたが、やはり歳のせいなのか?だんだんと苦しくなってきて・・・。何とか完食しましたが、「しばらくコッテリはエエわ」と、残念な結果となりました。

嫁さんのブラックは、見た目よりアッサリしていて、とても美味しかったそうです。

また元気な時に行ってみたいですね。

75点です。

骨太のミステリー「灰色の虹」by貫井徳郎

2018年04月22日 | 小説レビュー

身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。
理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。
強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。
ひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、そのリンクを見出した。しかし江木の行方は杳として知れなかった…。
彼が求めたものは何か。次に狙われるのは誰か。あまりに悲しく予想外の結末が待つ長編ミステリー。「BOOK」データベースより


僕が好きな作家さんの一人、貫井徳郎さん作品ですが、貫井さんの文章は丁寧で緻密、物語全体を覆う緊張感が持続し、描写力が豊かです。やっぱり一流のミステリー作家さんは違いますよね

さて、本作のテーマは「冤罪」です。日本の警察、司法制度は世界一と言われていますが、それでもやはり「冤罪」はあるものです。状況証拠と自白で有罪と認められ、何十年も刑務所に入れられ、親族や関係者が一生懸命努力して、何とか再審の扉を開き、年老いてから「無罪」を勝ち取った方のニュースを見たことがありますが、本当に、その人の人生のうち何十年かはモノトーンの世界だったことでしょう。

この『灰色の虹」はタイトルが秀逸です。ずっと暗い暗い灰色の世界の中に覆われています。

罪を被せられた被疑者、そして冤罪を作り上げてしまった、刑事、唯一の目撃者、検察官、弁護士、裁判官、それぞれの視点で物語が進んでいきます。この構成がとてもよく、物語を緻密に作り上げていきます。

司法関係者は、決して冤罪を作り上げようとしてやった訳でも何でもなく、それぞれの立場では一生懸命というか、ある意味、忠実に職務を遂行したまでのことなんですね。その人たちにも、それぞれの生活があり、愛する家族がおります。貫井さんは、こういう登場人物一人ひとりをしっかりと描かれていますので、読んでいて違和感や不快感がないですね。

否が応にも高まる緊張感、「んで、結末は!?」と期待しましたが、最後のオチは今一つでした。これはなかなか難しいもので、あまり突拍子もないオチだと興ざめしますし、ある程度、予定調和を考えながら、オチをつけなければ仕方ないですよね。

復讐劇も、あまりに簡単に成功していくので、「警察もヤクザも何やっとんねん?」と、その体たらくぶりに少しがっかりします。もう少し、障害や小さな失敗とか、色々あっても良かったかもしれません。

また、「あの大人しくて何の取柄もない江木が、こんなに鮮やかに事を成し遂げていくことができるのか?」という疑問は常に付きまといましたから、この復讐劇を成功させるための周到な計画と準備が、どのようにして行われていたとか、殺された「市瀬」の、あの晩の真相がどうだったのかということも明らかにしてくれれば、もう少し納得できたかもしれません。

しかしながら、この状態で700頁ですから、そういうことに触れだすと、1000頁ぐらいになりますかね

それにしても、全てが終わったあと、振り返りの章がエピローグとして差し込まれております。その章だけはまさに「虹色」に彩られており、爽やかな読後感に包まれます。このような長編を破綻させることなく見事に完結させた貫井氏の手腕に拍手ですね。

★★★☆3.5です。

京都のビジネスマン必携『二人の京都市長に仕えて』by塚本稔

2018年04月21日 | 小説レビュー
京都市役所で34年間働いた元・副市長が見てきた桝本元市長と門川市長の京都変革の軌跡。「BOOK」データベースより


「日本の京都があってよかった」というコピーを目にしたことがあるでしょう?京都という場所は、世界中の人から「一度は訪れてみたい」と思わせるものがあるようです。

しかしながら、いわゆる「京都らしい」景観などが残っているのは「花見小路四条下がる」のあたりだけであって、テレビなどでも、「歴史都市京都・・・」というナレーションが流れると、東寺や大文字、嵐山などの遠景から、花見小路四条下がるのあたりをレポーターが歩いている姿しかありません。

観光地以外は、普通の都市となんら変わらないような姿になってしまっている京都ですが、その京都の将来を真剣に考え、守り、創造していく最前線に立っているのが京都市長ではないでしょうか?

僕らが物心ついたころには、賞状のところに「船橋求巳」とか「今川正彦」とかを見たおぼえがあります。その後、田邊さんになり、桝本さんになり、現在の門川市長へと繋がっていきます。

著者は昭和57年4月に京都市に採用されているので、今川市長時代ということになります。ちょうど古都税でもめたのも今川市長時代でしたね。

それからいろいろな仕事をこなされ、桝本市長誕生と同時に、秘書課に配属されたことをきっかけに、京都市の中心で仕事をしてこられたとのことです。

題名のとおり「二人の京都市長に仕え」られた訳ですが、地下鉄の大赤字のために、「財政再建団体」に指定されかかった厳しい時代に中枢におられたことになりますが、そこから二人の市長が、まさに「血の出るような」改革を断行され、何とか危機的な状況から脱出を図ったようです。

その間、この「京都」をどのようにしていくのか?という問題にタイプの違う二人の市長が粉骨砕身、努力をされるのですが、陰に陽に、その下支えをされたのが著者のようです。

本著の中には、京都市の政策決定のプロセスや、京都が抱える問題点、これから目指すべき姿などが詳細に書かれています。
また、著者自身が、京都市という大きな組織のなかにあって、「ホウレンソウ=報告・連絡・相談」がいかに大切か、情報を集めるにはどうすればよいのか?会議の目的は、トップとの距離感、上司、同僚や部下との接し方等々、ビジネスマンのハウツー本としても、なかなか良いことが書かれています。

京都の近代史が手に取るようにわかるという意味でも、また京都で働くビジネスマンとして最低限覚えておいて損はないことが書かれているので、是非とも読んでもらいたい本ですね。

★★★3つです。

描写がしつこい『池袋ウエストゲートパーク』by石田衣良

2018年04月17日 | 小説レビュー
〜池袋西口公園(おれたちはカッコつけるときはいつも「ウエストゲートパーク」と呼んでいた)の本当の顔は週末の真夜中。
噴水のまわりの円形広場はナンパコロシアムになる。ベンチに女たちが座り、男たちはぐるぐると円を描きながら順番に声をかけていく――。
ミステリーの「いま」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団……命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たちの現在を、クールに鮮烈に描く大人気シリーズ、第一作!
青春小説の爽快さとクライムノヴェルの危険さ。クセになります。「BOOK」データベースより


評価が高い、石田衣良氏の作品を初読でした。

垣根涼介氏の作品が好きなので良く読むのですが、amazonなんかで検索していると、「(〇〇))をご覧になったお客様は、こんな商品もご覧になっています」ってな表示が出ますよね。
それで、どうも石田衣良氏もオススメな感じやったんで、「読んでみようかな?」と思い、借りてきました。

この『池袋ウエストゲートパーク』は、石田衣良氏のデビュー作で、とても評価が高いんですが・・・、僕はダメでしたね(-_-;) 

よく小説のレビューや評価をする中で「描写が」と書いていますが、この作品はその「描写」が細かすぎるというか、悪く言うと「装飾しすぎ」なんですよね。

「まるで○○のようだ」みたいな感じのたとえも多く、そのたとえも、文章を格好良く、センスよく見せるために着飾ったような言葉だらけで、実像を想い描く時に、リアルに浮びすぎて、とてもチープに感じられました。

例えば、「白のテニスシューズが毛布の端からのぞいていた。」でいいところを、「白のテニスシューズ、アディダスのスタン・スミスが毛布の端からのぞいていた」ってな感じで、細かすぎるんですよ。いります?『アディダスのスタン・スミス』まで(^_^;)

全編こんな感じで、いちいち、しつこい描写の連発で、常に興醒めしながら読み続けました。

ストーリー的には悪くないし、キャラクターも立っていて、なかなかいいんですが、ある意味では又吉氏のデビュー作『火花』のような、くどさ・しつこさを感じました。

よって、★★★3つです。

これが、テレビドラマ化されていて、2000年4月14日から6月23日まで放送されていたんですね。18年前とはいえ、キャストが凄い\(◎o◎)/

主演:長瀬智也にはじまり、加藤あい、窪塚洋介、坂口憲二、西島千博、佐藤隆太、山下智久、高橋一生、須藤公一、酒井若菜、妻夫木聡、遠藤憲一、渡辺謙、きたろう、阿部サダヲ、森下愛子、小雪などなど・・・。

原作とは少し違っているようですが、観てみたいですね。

宝酒造杯でした!

2018年04月15日 | 囲碁
今年で4回目の挑戦でしたか、「何とか4勝したい!」と思って臨みました。

3勝1敗で、「最後に勝って、4勝1敗で帰るぞ!」と意気込んで臨んだんですが、残念ながら、激戦の末、三目半差で負けてしまい、3勝2敗で終わりました(ToT)

ホンマに悔しい悔しい一戦でした(T-T)

次は来年!もっと修行を積んで頑張りますp(^^)q

だんだん読み慣れて・・・『午前3時のルースター』by垣根涼介

2018年04月11日 | 小説レビュー
〜旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。
慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。
現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…
最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。「BOOK」データベースより


垣根涼介氏の作品は、いつも気持ちよく終わります。まさに予定調和。

オチは予想できますし、危ない目に遭っても「まぁ大丈夫やろ」と。

よって、盛り上がりも、そこそこですし、エンディングもそこそこ。

まぁ、読んで損はないですが・・・。

垣根涼介作品に飽きがきたのかねぇ〜('~`;)

★★★3つです。

多分、訳者が悪い『わたしを離さないで』byカズオ・イシグロ

2018年04月06日 | 小説レビュー
〜自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。
キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。
共に青春の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。
キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。
図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々がたどった数奇で皮肉な運命に…。
彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく―英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』に比肩すると評されたイシグロ文学の最高到達点。アレックス賞受賞作。「BOOK」データベースより


ノーベル文学賞を獲った、カズオ・イシグロ氏の2006年の作品で、綾瀬はるか、水川あさみ、三浦春馬の出演でドラマ化された有名作品です。

まぁ、外国人作家が書いた作品は、訳者によって大きく左右されるのは言うまでもありません。

多分、原作を英語で読めば素晴らしいのかも知れません。

しかし、この訳者の文庫本は読むべきではないと思いました(-_-;)

セリフや情景描写がピンぼけで、なぁ〜んにも伝わってきません。

序盤で心が折れそうになり、中盤で力尽きそうになり、まさに青色吐息で終盤まで頑張りました。
440頁を読み終えるのに、一週間かかりましたわ(^_^;)

「そろそろくるか!クライマックスぅ!」と、期待しましたが、全くの期待はずれに終わりました。

臓器提供の為のクローン人間として生を受け、自分たちの将来にどんな悲劇が待っているのか知らされず成長していくなかで、恋をし、友だちと喧嘩をし、先生にささやかな抵抗をしたり・・・、そして最後には・・・。

とても自分に置き換えて考えることすら出来ないような物語の設定だけに、描写が大切なんですよ。

イシグロさんの作品のほとんどをこの訳者が手掛けていると思うと、「日の名残り」に手を出しづらくなりましたね。

★★2つです。