「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

惜しい・・・「まほろ駅前多田便利軒」by三浦しをん

2015年06月19日 | 小説レビュー
~まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。
ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。
多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。「BOOK」データベースより


嫁さんがDVD を観て「良かったよ!」と言ってたので、前から三浦しをんは気になっている作家さんでした。

図書館で「まほろ・・・は、どうかな?」と、聞くと、「少し薄いかなぁ?って思われるかも知れませんねぇ。登場人物は中々いいですよ」とのことで、借りて読んでみました。

サラサラと読み進められる文体で、この作家さんの持つ世界観は好きな雰囲気です。

それだけに、「人物描写や、セリフ回し等に、もう少し味を持たせてくれたら、もっと物語にダイブできたのにぃ!」と、思えて少し残念です。

それはそれとして、印象に残ったセリフを少し紹介しますね。

「誰かに必要とされるってことは、誰かの希望になるってことだ。」
「不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはないと思う。」

ねっ?なかなかいいでしょ?

文章だけで、表情や場の空気感を出すのは本当に難しいと思いますが、あと一歩、もう一段高いところまで登って欲しい作家さんです。

★★★3つです。

ちなみに映画版のキャスト陣は、とっても豪華なんです!
・多田啓介(瑛太)
・行天春彦(松田龍平)
・ハイシー( 鈴木杏)
・三峯凪子(本上まなみ)
・山下(柄本佑)
・山田(大森南朋)
・シンちゃん(松尾スズキ)
・星(高良健吾)
・早坂(岸部一徳)

ねっ!?とっても魅力的なキャストでしょ?次は映画を観ますわ!

追伸:いま、Amazonのレビューを読んでいたら「直木賞受賞作」やったんですね!色んな意味でビックリしました(*_*;

それはないわ!「葉桜の季節に君を想うということ」by歌野晶午

2015年06月14日 | 小説レビュー
~「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。「BOOK」データベースより


「ミステリー」って何ですか?皆さん何となく「推理小説」を連想しませんか?

Wikipediaで引っぱってみると、「神秘的、謎、不可思議なこと」、「発端の不可思議性」、「結末の意外性」と書かれています。

まさにこの小説は「結末の意外性」です!
現在公開中の映画「イニシエーションラブ」にも大概驚かされましたが、この結末にはかなりビックリ!しました。

じゃあ、この作品を手放しでオススメしたいかと言えば、そうでもありませんねぇ(*_*;

題名と表紙の挿し絵、そして作者の名前からして、「ピュアな恋愛物語」のような雰囲気を醸し出しています。レビューや書評を全く見ることなく読みはじめることにしました。

がっ!まず、初っぱなの出だしから「あぁ~、この手の文脈、文体、描写、好きじゃないわぁ」から始まりました。

まぁ、せっかく買った小説なので、もったいないので読みすすめましたが、クライマックスまでは二流のハードボイルドのような雰囲気です。

最後に全てが繋がって、「マヂかぁ!ええっ!そやったん!?」って、目ん玉飛び出そうになりますが、小説としての評価は「うーん・・・」って感じですね。

最後に一言、「100%!絶対に映画化は無理です!」

う~ん難しい判定ですが...、

★★☆2.5です(*_*;

クライマックスでは震えます!「プリンセス・トヨトミ」by万城目学

2015年06月13日 | 小説レビュー
~このことは誰も知らない―四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。
秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。
特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。「BOOK」データベースより)


またまた「万城目学」作品です。

この「プリンセストヨトミ」は映画化されてますので、非常に有名な作品ですね。僕も題名だけは知っていました。でも何となく「パロディっぽいんとちゃうの?」と、いささか怪訝な瞳で見ていました。

がっ!読んでみて、良い意味で期待を裏切ってくれた快作でしたね!

最初っから最後まで、物語をつないでいく技法が本当に巧みです! 特に430ページあたりからの緊迫感には、ページをめくる手が止まりません!「父と子の絆」、「親から子へ語り継ぐ大切なもの」にあたりの対話シーンは、涙なしでは読めません。(電車やバスでは不審がられると思います。)

途中で「なんで?こんなうまくいかんやろ?」と思ったりもしますが、最後の最後で見事に解説を入れてくれてますので、とても心が落ち着きます。まさに「大阪人の心意気(男女とも)」を見せ付けられます。※京都人の僕からすれば少し羨ましいような気もします

モヤっとしたところがなく、スッキリと読み終えられました。やっぱり万城目さんは素晴らしい作家さんだと再認識させてくれます。

★★★☆3.5です!

インターハイの応援に来ました!

2015年06月06日 | 家族・友達
先週の予選リーグを勝ち抜いての二次予選までコマを進めましたが、残念ながら、2セットとも、いつもの雰囲気を出せないままズルズルと負けてしまいました。

また、夏に向けて仕切り直しです!
ガンバレ!!p(^-^)qガンバレ!!

まさにスピンオフ「悟浄出立」by万城目学

2015年06月06日 | 小説レビュー
~俺はもう、誰かの脇役ではないのだ。「西遊記」の沙悟浄、「三国志」の趙雲、司馬遷の娘…。人生の見方まで変えてしまう連作集。「BOOK」データベースより


題名を見たら「はいはい、孫悟空の沙悟浄の話ね」と思いますよね。

まぁそうなんですが(^^;)、この「悟浄出立」をはじめ、五つの短編が収められています。

どれも聞いたことがあるような話ですが、中国の有名な伝記などを主人公目線ではなく、脇役目線で描かれているところが面白いですね。

三国志の趙雲や、司馬遷の娘・榮などです。(司馬遷の話はグッときます。)

司馬遷は史記を遺した偉人ですが、その史記に書かれている「項羽と劉邦の戦い(楚漢の戦い)」で、「四面楚歌」の語源となった記述の中で、漢の軍勢に包囲され、進退窮まった項羽が詠んだ歌が以下です。

力拔山兮氣蓋世 (力は山を抜き、気は世を覆う)
時不利兮騅不逝 (時利あらずして騅逝かず)
※騅は項羽の愛馬です。
騅不逝兮可奈何 (騅逝かざるを如何せん)
虞兮虞兮奈若何 (虞や虞や汝を如何せん)

この「虞や虞や」の虞が、項羽の愛人・虞美人ですね。

虞美人の立場でこの戦いを捉えているのも面白い描き方ですね。

主人公の活躍は物語の大切な要素ですが、味のある脇役が居てこそ、さらに深みのあるストーリーへと昇華していきます。

まさに、風太郎における「黒弓」、「蝉」、「百市」であり、「常世」であります。

万城目さんの作品は二作目ですが、すでに「万城目ワールド」にドップリ心酔してます!

万城目さん!風太郎のスピンオフも是非!

★★★3つです。

スタンディングオベーションものです「とっぴんばらりの風太郎」by万城目学

2015年06月01日 | 小説レビュー
~天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?「BOOK」データベースより


素晴らしいっ!大スペクタクルロマンですっ!エンターテイメントてすっ!そして泣かせます(T_T)

題名を一見すると、非常に軽い感じがしますが、なんのなんの!久しぶりに100点満点の小説に出会いました!

図書館の人いわく「イチオシです!」とのことでしたが、700ページを超える超大作に一瞬怯みつつも、その言葉を信じて読み始めました。
ところが、本当にいい意味で期待を裏切る展開!まさに目が離せない状態のまま、ハラハラ、ドキドキしながら読みました。

「仲間との絆」、「親子愛」、「師弟愛」が描かれ、そして「使命、運命とは?」、「自分の生きる道」というようなことをスゴく考えさせられます。

とにもかくにも、そんなことさえ考える暇もなく、物語に引き込まれていきます。

出てくるキャラクターが全員、とても個性的で躍動感があり、魅力に溢れていますが、どこか物寂しさも感じさせるストーリーです。

そして最後の最後には、グワーッと込み上げるものがあり、何とも言えない清々しさのようでもあり、虚しさのようでもある、複雑な感情が湧いてきます。

万城目学さんという素晴らしい才能に出会えたことに感謝すると同時に、小説の素晴らしさを改めて実感します。

もちろん!★★★★★5つ!です!