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これが歴史であってほしい!『風神雷神 上下巻』by原田マハ

2024年09月05日 | 小説レビュー
風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) 原田 マハ (著)
美術(アート)という名のタイムカプセルが、いま、開かれる――。
日本が誇る名画『風神雷神図屏風』を軸に、海を越え、時代を超えて紡がれる奇跡の物語!
20××年秋、京都国立博物館研究員の望月彩のもとに、マカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンと名乗る男が現れた。彼に導かれ、マカオを訪れた彩が目にしたものは、「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書、そしてその中に記された「俵…屋…宗…達」の四文字だった――。
織田信長への謁見、狩野永徳との出会い、宣教師ヴァリニャーノとの旅路……
天才少年絵師・俵屋宗達が、イタリア・ルネサンスを体験する!?
アートに満ちた壮大な冒険物語! (上巻)

風神雷神 Juppiter,Aeolus(ユピテル アイオロス)下
「芸術に対する造詣の深さ、絵に対する慈しみと、限りない愛情が言葉の端々に感じられる」
佐々木丞平さん(京都国立博物館名誉館長)推薦!
雷神(ユピテル)と風神(アイオロス)が結んだ数奇な縁(えにし)とは――。
織田信長の命を受け、天正遣欧少年使節と出立した宗達。苦難の航海を経て、一行はついにヨーロッパの地を踏んだ。そこで彼らを待ち受けていたのは、絢爛華麗な絵画の数々と高貴な人々、ローマ教皇との謁見、そして一人の天才絵師との出会いだった。
謎多き琳派の祖・俵屋宗達とバロックの巨匠・カラヴァッジョ。芸術を愛する者たちの、時空を超えた魂の邂逅の物語、ここに完結。(下巻) 『BOOKデータベース』より

これはフィクションですが、『実際の史実がこの通りであって欲しい』と願わずにはいられない、素晴らしいストーリーでした。

俵屋宗達と聞いて、『風神雷神図』を思い浮かべる人も多いと思いますし、とても有名な絵師ですが、その人生は謎に満ちているミステリアスな人物です。

その俵屋宗達が、同じ時代に生きたとされる、天正遣欧少年使節の伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノと一緒に、遥かローマのヴァチカンを目指して旅をするという物語です。

実際に使節団は、1582年から1590年という8年の歳月をかけて日本とローマを往復するのですが、当時は動力のない帆船での旅ということで、とんでもない行程であったと思われます。
歴史上の人物がたくさん登場しますし、史実に基づいて?ストーリーが展開するのですが、壮大なスケールで『信仰と芸術』『祈りと救い』『慈愛』『友情』『師弟愛』などが、日本からヨーロッパにかけての旅路の中で早大に濃密に描かれています。

上下巻を通して、原田マハさんの芸術に対するリスペクトは相変わらず圧巻ですし、後半は『信仰』がバックボーンとして、どっしりと物語を支え続けます。

本当に原田マハさんの文章は素晴らしいですし、途中、涙がこぼれることもありました。原田マハさんの作品を読むと、必ずその作者の絵画を見に行きたくなりますし、芸術に対する尊敬の気持ちが溢れてきます。
感動の芸術・冒険巨編です。

★★★★4つです。


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