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良くできています!『シャドウ』by道尾秀介

2016年06月27日 | 小説レビュー
~父とのささやかな幸せを願う小学校五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? 今最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作、待望の文庫化! 第七回本格ミステリ大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)


以前、貫井徳郎氏のことを「叙述トリック(読者をミスリードする仕掛け)の巧者」と書きましたが、さらに巧妙な仕掛けを施すのが、この道尾秀介氏でしょう!

大好きな作家さんの一人です!

巻末の解説にも書いてあるのですが、この『シャドウ』は『向日葵の咲かない夏』を読んだ方からの感想や評判等に応える形で書かれたとも言える作品のようです。

「向日葵の・・・」は、叙述トリックとしては、超一流の技法が用いられていますが、「それはナイやろ!」と思えるようなところもあり、設定自体に好みがわかれるところかと思いますので、万人から絶賛される作品ではありませんでした。(僕は好きですけどね)

そういう意味からも、この『シャドウ』は、道尾秀介氏を語る上で、押さえといた方がいいというか、入門編として読む作品かも知れません。

特に中盤の終わりあたりで「お父さんは◯◯◯◯じゃなかったんだよ!」と息子が叫ぶシーンでは、ドキッとするのと同時に、胸に熱いものが込み上げてきて、「相変わらず道尾さんはスゴいよなぁ!」と、感嘆しました。

伏線もしっかり回収してくれてますし、ラストも爽やかです。

★★★☆3.5です。
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