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ファンタジーですが無茶ではない「雨の日も神様と相撲を」by城平京

2017年06月21日 | 小説レビュー
~「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?「BOOK」データベースより


名探偵に薔薇を」が、中々面白かったので、城平京氏の作品を検索していると「雨の日も神様と相撲を」の評判が高そうだったので、図書館で借りてきました。

表紙の絵からもわかるように、初めは距離があった中高生の男女が次第に惹かれあい恋におちていく青春ラブストーリーに『相撲』が絡んだラブコメディであることは想像に難くありません。

しかしながら、飽きさせることなく最後まで読ませる筆者の筆力には恐れ入ります。相撲に対して真摯な生き方をしている、真面目で小憎らしいほど冷静沈着、洞察力にすぐれた15歳の小柄な少年・文季。一方、無口で大柄、それでいて端正な顔立ちの美人怪力処女・真夏(14歳)。この二人が相撲と神様を通じて惹かれあい、恋を実らせていく姿には清々しいものがあります。

また、相撲の歴史、神事をはじめ、カエルの生態などが大変詳細に記されており、筆者が丹念に調べた跡が伺えます。

ストーリー的には全くのファンタジーですが(^_^;)、そこに一つの殺人事件が絡み、ミステリー要素を加えております。しかしながら、この殺人事件の底が浅く、ストーリーに絡めていくほどの効果があったとは思えません。例えば同じ中学の同級生が殺されたとか、自殺したとか?そこには陰湿なイジメの可能性が・・・?等々、もう少し主人公たちに絡んだ内容であれば、面白みも増したかも?

いずれにしても、重たい小説の合間に読む、『箸やすめ』的な読み物としては良いと思いますよ。
★★★3つです。
コメント
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