〜ならず者の頭目・骨皮道賢は幕府に食い込み、洛中の治安維持を任されていたが、密かに土倉を襲撃する。
浮浪の首魁・蓮田兵衛は、土倉で生き残った小僧に兵法者への道を歩ませ、各地で民百姓を糾合した。
肝胆相照らし、似通った野望を抱くふたり。その名を歴史に刻む企てが、奔り出していた。動乱の都を駆ける三人の男と京洛一の女。超絶クールな熱き肖像。内容「BOOK」データベースより)
垣根涼介作品の4作目です。日本が戦国時代に突入する1450年頃、室町時代の物語です。
栄華を極めた足利義満以降、堕落した幕府の体制をぶち壊そうと、牢人達が身一つで立ち上がり、下人、農民を煽動して一揆を巻き起こしていく革命的なストーリーです。
この大一揆を端緒として応仁の乱が起こり、それまでの体制が崩れ去り、戦国時代に突入していく一連の流れをつくったのは、一介の牢人であったことは驚きでありました。
坂本龍馬などの維新の志士が土草の中から現れ、京へ上り、革命を起こしていった江戸末期のように、安穏として堕落した今の世の中を重ねてみると、こういう熱い志を持った革命の志士が出現する頃かも知れませんね。
垣根涼介氏は、世の中の仕組みから外れた無頼漢を格好よく描くのが本当に巧みです。
主人公の才蔵は、地を這う虫けらのような幼少期を経て、土倉の用心棒として身を立てていた頃、ならず者達の頭目でありながら市中警護役の隊長である骨皮道賢に拾われ、その後、浮浪の兵法者・蓮田兵衛に預けられます。
この二人は、史実にある実在の人物でありながら、全くと言っていいほど、スポットが当たらなかった人物たちです。
その後、才蔵は、唐崎の老師のもとへ兵法者としての修行に出されます。
北琵琶湖畔での10ケ月に及ぶ命懸けの修行の末、17、8歳の若武者が棒術の達人へと成長する姿は、映画『ベストキッド』のミヤギ氏とダニエルを思い起こさせます。
兵衛のもとに戻った才蔵は、来るべき蜂起の時に向けて、さらに腕に磨きをかけます。
いよいよ京都の町全体を巻き込んだ土一揆が起こり、その先陣に立って縦横無尽に立ち回る才蔵の姿、兵衛の天才的な指揮官ぶりには心が踊ります!
また、妖艶な遊女・芳王子の存在も物語に色艶を与えてくれます。
「どんなエンディングが用意してあるんやろ?」とワクワクしながら読みましたが、最後は若干尻窄みした感は否めません(-_-;)。
応仁の乱前後の京都や滋賀県の地名、史跡、歴史上の有名人物などが多数出て来て、読んでいて楽しめました。
室町時代の相国寺の境内に、高さ110mの巨大な大塔(京都タワーが131mです(^^;))が聳え立っていたこともビックリです( ̄□ ̄;)!!)
登場人物のキャラクターに、もう少し深みを持たせて
、クライマックスからエンディングへの流れに、もう一捻り加えてくれれば、『ワイルドソウル』や、『とっぴんぱらりの風太郎』の域まで達したと思います。
それでも素晴らしい作品だと思います。
★★★☆3.5ですねぇ。
浮浪の首魁・蓮田兵衛は、土倉で生き残った小僧に兵法者への道を歩ませ、各地で民百姓を糾合した。
肝胆相照らし、似通った野望を抱くふたり。その名を歴史に刻む企てが、奔り出していた。動乱の都を駆ける三人の男と京洛一の女。超絶クールな熱き肖像。内容「BOOK」データベースより)
垣根涼介作品の4作目です。日本が戦国時代に突入する1450年頃、室町時代の物語です。
栄華を極めた足利義満以降、堕落した幕府の体制をぶち壊そうと、牢人達が身一つで立ち上がり、下人、農民を煽動して一揆を巻き起こしていく革命的なストーリーです。
この大一揆を端緒として応仁の乱が起こり、それまでの体制が崩れ去り、戦国時代に突入していく一連の流れをつくったのは、一介の牢人であったことは驚きでありました。
坂本龍馬などの維新の志士が土草の中から現れ、京へ上り、革命を起こしていった江戸末期のように、安穏として堕落した今の世の中を重ねてみると、こういう熱い志を持った革命の志士が出現する頃かも知れませんね。
垣根涼介氏は、世の中の仕組みから外れた無頼漢を格好よく描くのが本当に巧みです。
主人公の才蔵は、地を這う虫けらのような幼少期を経て、土倉の用心棒として身を立てていた頃、ならず者達の頭目でありながら市中警護役の隊長である骨皮道賢に拾われ、その後、浮浪の兵法者・蓮田兵衛に預けられます。
この二人は、史実にある実在の人物でありながら、全くと言っていいほど、スポットが当たらなかった人物たちです。
その後、才蔵は、唐崎の老師のもとへ兵法者としての修行に出されます。
北琵琶湖畔での10ケ月に及ぶ命懸けの修行の末、17、8歳の若武者が棒術の達人へと成長する姿は、映画『ベストキッド』のミヤギ氏とダニエルを思い起こさせます。
兵衛のもとに戻った才蔵は、来るべき蜂起の時に向けて、さらに腕に磨きをかけます。
いよいよ京都の町全体を巻き込んだ土一揆が起こり、その先陣に立って縦横無尽に立ち回る才蔵の姿、兵衛の天才的な指揮官ぶりには心が踊ります!
また、妖艶な遊女・芳王子の存在も物語に色艶を与えてくれます。
「どんなエンディングが用意してあるんやろ?」とワクワクしながら読みましたが、最後は若干尻窄みした感は否めません(-_-;)。
応仁の乱前後の京都や滋賀県の地名、史跡、歴史上の有名人物などが多数出て来て、読んでいて楽しめました。
室町時代の相国寺の境内に、高さ110mの巨大な大塔(京都タワーが131mです(^^;))が聳え立っていたこともビックリです( ̄□ ̄;)!!)
登場人物のキャラクターに、もう少し深みを持たせて
、クライマックスからエンディングへの流れに、もう一捻り加えてくれれば、『ワイルドソウル』や、『とっぴんぱらりの風太郎』の域まで達したと思います。
それでも素晴らしい作品だと思います。
★★★☆3.5ですねぇ。