ちょっとマンネリですが・・・

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国民のだれもが否定することのできない国民作家・・・

2010年05月22日 | Weblog
「作家の条件」森村誠一著より。

森村氏は時代と共に生きた人間がいるという。その中で昭和という時代と共生した人間として思い浮かべるのは、(氏にとっては)石原裕次郎、美空ひばり、作家の松本清張だった。そして松本清張を論ずることは、戦後の昭和文芸だけでなく、戦後の昭和そのものを論ずることでもあると考えている。

作家以外では昭和という時代を思い出すときはそれぞれ、いろいろなヒーローがいるだろう。力道山、長嶋、王、司馬遼太郎、吉永小百合なども入るだろうか。しかし、作家となると、やはり松本清張は外せないだろう。

清張文学は幅が広い、社会派ミステリーが中心だが、デビューは芥川賞作家だった。時代・歴史小説、古代史、ノンフィクション、評伝まである。膨大な作品群は今でも豊富に書店に並べられ、映像化もされている。

森村氏は、清張ほど時代に求められ、そのニーズにジャストミートする形で登場した作家はいないとまで語っているが、これは誇張ではなさそうだ。一時期は、月産二千数百枚を誇ったという。今でもこれほどの作家は考えられない。

松本清張はお上の褒章をなに一つ受けていないというのも意外だった。作家にとっての最大の勲章は、作品を多くの読者と共有することだと森村氏は語る。作家は読者を楽しませてくれればそれで十分だ。これは実にわかりやすい。上記フレーズは、「松本清張反権力の栄光」と題して書かれている部分で目にしたものだった。