素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

新しく始まったNHK連続テレビ小説「あさが来た」

2015年10月03日 | 日記
  新しく始まったNHK連続テレビ小説「あさが来た」には強く惹かれる。1週間欠かさず見た。朝の連続テレビ小説をこのようにきちんと見るのは久しぶりのことである。時代と人物に関心がある。

 主人公のモデルである廣岡浅子さんを知ったのは玉岡かおるさんの『負けんとき』である。主人公の一柳満喜子(ヴォーリズ満喜子)を物心両面から支えてくれた人物である。本の題名になった言葉も浅子のものだった。傷心を抱いてのアメリカへの遊学の出発を間近に控えている満喜子とのやりとりの場面

 「アメリカへ行ったら全部忘れておいで。子供の頃から一緒やったんなら同じだけの時間をかけて忘れたらよろし。遠い異国なら、時間は二倍で進むやろし」
 そんな日が来るのだろうか。すべて忘れて楽になれる、そんな日が。
 「負けんときや、おマキはん」
浅子が言う。弥生の雨のように優しく心に降る言葉だ。だが自分は何と戦うのだ?彼と過ごした思い出とか。それとも、彼を捜してしまう聞き分けのない自分の心とか。
 「私、一生は結婚しません。祐之進のほかには、きっと誰も考えられないから」
 言葉に出せば、あとはもうからっぽだった。だが浅子はさらに優しい言葉を降らす。
 「そないに肩肘張らんと。ーあのな、勝とうとしたらあかんのどす。大阪は勝たへんのが華。相手を勝たしてなんぼが商売どす。けどな、負けへんのどす、絶対自分に負けんと立っとるのどす」
 強い、確かな言葉であった。負けんとき、かー。


 本を読んだ時、こういう魅力的な人がいたんやと驚いた。今度は毎朝15分間、その生い立ちを見ることができるのである。楽しみである。原案となった古川智映さんの『小説 土佐堀川』は読まずに残しておこう。先入観抜きで筋を楽しんでいきたいから。

 
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